大学受験に失敗してしまった小林は、フリーターとして倉庫で商品のピッキングをするアルバイトをしていました。

小林:書いてある品番の商品を持ってくる仕事だったのですが、当時はこの先に何がつながっているのか、社会や人の役に立っているのかまったく見えずに孤独を感じていました。「自分は何のために存在しているんだろう」って考えさせられましたね。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

東京第一キャリアコーディネート部 小林 拓未

『もっと人に貢献したい』と悶々としながら、小林は“自分の好きなこと”を改めて考え直すことにしたのです。

小林:子どもの頃から「食べる」ことが好きだったので、『食』に関わる仕事がしたかったことを思い出しました。でも、やりたかったのは飲食店とかではないんです。

実は小学生の時に、祖父を病気で亡くした小林。祖父はまだ若く、60代でした。

小林:祖父の死を機に、病気で困ってる人とかを助けられたらいいな、と思うようになりました。それで、高校生ぐらいになると「日本は高齢化社会になっていく」という話をよく耳にするようになり、すごく気になっていました。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

そうして“自分の好きなこと”を振り返った小林は、ある行動を起こしたのです。

小林:やっぱり、『食』を通して、自分の両親や家族を健康面でサポートしたいなと思うようになりました。それで、「栄養士」という職業を目指して専門学校に行くことにしたんです。

2年間学校に通った小林は、卒業後にフードサービスの会社に入社します。

小林:病院や老人ホームで配る『給食』を作る会社です。献立を作ったり、食材を発注したり、鍋を振ったりする仕事ですね。

老人ホームへと配属になり、栄養士としてカウンター越しに給食を手渡しする仕事は非常にやりがいがあったといいます。

小林:「今日、おいしかったよ」とか「今日はイマイチだったな」とか素直に感想をもらえるのがすごく良かったですね。人の役に立っている感覚がダイレクトに感じられました。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

3年目には結婚もして生活も充実していた小林でしたが、4年目になってくると“あるジレンマ”が生じてきたのです。

小林:材料費を切り詰めて利益を高めるほど、会社から評価されるようになっていました。ただ、ホームのおじいちゃんやおばあちゃんは気付くんです。「最近この食材多くないか?」「前の方が良かったぞ」って。

「目の前の人に貢献したい」という思いが強かった小林は会社に相談をしてみるものの、「利益が大事だから」という話をされ、向き合ってはもらえなかったようです。

小林:会社の経営としては理解できるんですが、徐々に僕自身のやりがいや楽しさが見いだせなくなってしまいました。それで、転職エージェントに相談に行くことにしたんです。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

話を聞いてくれた転職エージェントは、まず同業の仕事の中から小林に合いそうなものを探して提示してくれました。

小林:これまでの話をしながら希望の条件を伝えていったら、いろんな提案をしてくれたんです。そうしているうちに、エージェントの姿を見ながら「そっち側の仕事が楽しそうだな」と思うようになっていきました。

仕事を探している目の前の人に、真摯に寄り添って提案をする。小林は、そんな仕事に惹かれ始めていったのです。

小林:「仕事を紹介する仕事」は、求職者の方も喜ぶし、企業側も喜ぶじゃないですか。どちらもWin-Winだと思って「このサービスって、すごく魅力的だな」と思いました。

そうして“人材を扱う職業”に舵を切っていくと、転職エージェントからはいくつかの「派遣会社」が勧められました。

小林:何社か選考に通ったんですが、そのなかからパーソルテンプスタッフを選びました。面接でしっかりと目を見て会話してくれたのが、すごく印象が良くて。「“人”にしっかりと向き合っている会社なんだな」というのが伝わってきました。

そうして契約社員として入社すると、「思った通りの会社だ」と感じたようです。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

小林:どのコーディネーターの先輩も、「この派遣スタッフの方はどういう人生を経ていて、今どういう選択をしようとしていて、それはこの人にとって正解なのか、そうじゃないのか」っていうことを、ものすごく考えていたんです。

しかし、自分が望んでいた環境に身を投じることができた喜びからか、小林は自分らしくない行動をしてしまいます。

小林:最初、「とにかく成果を出さなきゃ」と思って張り切りすぎてしまいました。数字ばかりを追ってしまって……。結果を出すことはできたんですが、マネージャーに呼び出されてしまいまして……。

マネージャーに会議室に呼び出された小林は、「調子に乗っちゃいけないよ」と諭されたといいます。

小林:その時は落ち込みました。「こんなに頑張ったのに評価されないのか」って。でも、今思えばそんな考えは間違っていたし、僕に向き合ってくれてありがたかったです。あそこでしっかりと釘を刺してもらって、良かったなと。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

最初こそ空回りをしてしまったものの、小林は本来の「やりたかった仕事」のスタイルに落ち着いていきました。

小林:先輩を見習って、スタッフの方の話を深くまで聞くようになりました。その方に合った働き方や仕事を、考え抜いて提案できるようになっていったんです。

そして、契約社員から正社員への登用を目指すことにした小林。

思い描いていた通りの環境でしたし、大好きな会社になったので「この会社が業界トップクラスの会社であり続けられるように僕自身も関わっていきたいな」と思いました。なので、正社員に上がるための登用試験を受けました。

無事に正社員として登用された小林は、スタッフに向き合って仕事をしていきました。すると、担当したスタッフの方からも、自分の名前が挙がるようになっていったのです。

小林:スタッフの方が派遣先から戻ってきて次の仕事を探すというタイミングで、「小林さんいますか?」「前回お世話になったので次も……」といった声を掛けてもらえるようになりました。ものすごく嬉しかったですね。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林

『食』に関わる仕事に就き、目の前のご老人に食事を渡していた小林。今は『職』に関わる仕事に就き、目の前のスタッフにお仕事を渡すことに喜びを感じる日々を送っているのです。

そんな小林に、「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。

小林:スタッフの方の“可能性”を絶対に見落とさないようにしたいです。

目の前の人が就きたい仕事があったとして、その仕事に就ける可能性が低かったとしても、必ずあると思っているんです。ゼロはなくて、0.1%でも可能性はある。

だとすると、それを自分の中でどう言語化して、どう企業の方に伝えて実現させていくか、というのが自分の仕事だと思っているんです。

だから、どんな方が来ても、「この人は会社の社長にだってなれる可能性があるんだ」と考えて、「この人の良さは何か」「どんな可能性を秘めているか」というのを見つけ出せるように意識しています。

転職して契約社員から正社員への登用を目指した小林