これは、パーソルテンプスタッフカメイを通じて派遣社員として働いていた神農さんのお話です。
アパレル関係に10年ほど勤めていた仙台在住の神農さんは、未経験から事務の派遣スタッフへと転身し、現在は直雇用に切り替わり就業されています。
神農さんがなぜ10年勤めたアパレル業界を辞めることになったのか、なぜ未経験ながら事務の業務で直雇用にまでなれたのか。詳しく探っていきました。
神農さんはもともとアパレル業界にいらっしゃったんですか?
いえ、最初は父の友人の会社で受付の仕事をしていたんですけど……。もともと接客とか、人と話をするのが好きだったんですよね。なので、まあ退屈で退屈で(笑)
受付は1年もたず、アパレルは10年続いた
受付の仕事は合わなかったと。
1年ももたなかったですね。それで、洋服が好きだったし友人にもアパレル関係が多かったので、アパレルの会社に履歴書を出して。
そこからアパレルの仕事をはじめたんですね。
ええ、直接雇用ではないですが、いろんなブランドの店舗に派遣されるような感じで。最初はフレンチカジュアルのブランドでしたね。

ブランド店ですか。受付とは違って、やっぱり合ってました?
そうですね。それなりのブランドだとお客様も試着をじっくりされるので、接客に時間がかかって楽しかったです。
ハイブランドだと確かに時間がかかりそうですね。
ええ、お客様に合うものを色々と提案して、結果として選んでもらえた時はすごく嬉しいんですよね。
じゃあ結構長くやられたんですか?
そうですね。いくつかのブランドを経験しながら10年くらいやっていましたね。
10年はすごい!でも、逆になんで辞めてしまったんでしょうか。
販売の仕事は好きだったんですけど、10年もやっていると上の立場になっていくわけですよ。
アパレルを辞めるまでに至った理由とは
まあ、そうなりますね。
そうすると、色々なしがらみが出てくるんです。たとえば、数字への責任ですよね。お客様に合った服を売りたいけれども、「今回はこれを売りなさい」という指示が来てしまうとか。
ああ、そういうこともあるんですね。
そう、数字を作るためには仮に似合ってなくても「お似合いですよ」って言わなくちゃいけない。でも私、そんなこと言えるタイプじゃないんですよ。だからモヤモヤしちゃって。
それはモヤモヤしますね。

あとは、ちょっと売り上げが良くない店舗の“立て直し”として、売れる人がヘルプで全国各地へ行かされるとか。
わあ、それも大変。
それと、対テナントとの関係もありますね。ちゃんと売り上げも予算もクリアしているのに、テナントの事情で「新しい店舗が入ってくるので、どいてくださいね」って、隅っこの方に追いやられたりもして。
あらら。なんか大人の事情があるんですかね……。
分からないですけど、あれはつらかったですね。頑張っていたのに人通りの少ないところに移動させられて。ほかにも、スタッフの育成に時間を使うようになるので、接客から遠ざかってしまうとか。
ああ、長くやることの大変さもあるんですね。
未経験ながらも事務職へ転換
そうなんです。昔はそんな感じでしたけど、最近はまた別の大変さがあると思います。
別の大変さ?
ネットショッピングが一般的になったじゃないですか。だから、店頭にお客様が来ても、実際のサイズとか色を確認するだけで、「あとはネットで買います」みたいなことが起きてるんですよね。
ああ、なんか分かる気が……。
だから、数字の責任がより厳しいんじゃないかと思います。今の時代は、アルバイトや派遣でお洋服を売るのが一番楽しいのかもしれません。好きなブランドとか服に囲まれて、数字も持たず。
なるほどなあ。そういった理由でアパレルを離れようと。
ええ、仕事してる時間って人生で一番長いじゃないですか。それがしんどいのって嫌ですからね。やっぱり仕事は楽しくやりたいので。

それで、次はどう考えたんですか?
アパレルの後半が色々と大変だったので、次は安定を求めて事務職をやってみようかなって。
事務的な仕事って、アパレルの時に経験があったんでしょうか。
いえいえ、まったく。キーボードも人差し指だけで打つ感じでした(笑)
ものすごい初心者だったんですね。
派遣で産休を取得するも、職場には戻れず
だから、まあ派遣で未経験者でもやれそうなところを探して。
なるほど、そこで派遣を。いくつか登録されましたか?
実は、私の友人がパーソルテンプスタッフカメイにいまして。その子に相談したら「じゃあ、派遣登録してみれば?」って言われて。それで、登録して健康食品の会社を紹介してもらいました。

未経験での事務、どうでしたか?
そこは販売と事務のちょうど半々みたいな仕事だったので、入りやすかったですね。
販売もあったんですね。
ええ。そもそも販売は経験があったので、スムーズにできて。パソコン触るのは初めてぐらいでしたけど、色々と学んで覚えていきました。
それは良かったです。長く続きましたか。
6年くらいいましたね。そこで結婚して妊娠したので、産休をもらって。
産休明けに戻られた、と。
いえ、色々あって戻ることができず、辞めることになって……。それで、アルバイトを探してCDショップで働きはじめました。
そうでしたか。
東日本大震災で住んでいたマンションが全壊
そこで働いている時に、ちょうど震災もあって……。
あ、東日本大震災……。仙台だと大変だったのでは。
ええ、住んでいたマンションが全壊しましたね。
全壊! そ、それは大丈夫だったんですか?
子どもは保育園に預けていて、私は職場にいたので大丈夫でした。保育園も職場もそんなに被害はなくて。ただ、マンションの1階部分がダメで。
1階が。
そう、うちは7階に住んでいたので部屋は大丈夫なんですけど、1階がダメだとマンションとしては全壊認定になるみたいで。それで近くの実家に避難しました。
ご無事でなによりです。
その後、夫の転勤で盛岡に行ったんです。仕事は短期でいくつかやっていましたけど、保育園がなかなか見つからなくて大変でした。
どうされたんですか。
またパーソルテンプスタッフカメイからの派遣で働かせてもらいました。それで、6年ぐらい働いたら子どもも小学校の高学年になってきて、進学の問題とかもあるので子どもと私で仙台に戻ろうということで。

岩手よりも地元の仙台を選んで。お仕事は?
派遣先の会社はそのままに、岩手支店から仙台支店に異動する形でやらせてもらいました。
なるほど。それは良かったですね。
派遣から直雇用に切り替えることに
それで、仙台に移ってから「直接雇用で仕事をしませんか」と言っていただいて、直接雇用に切り替えて今3年目ですね。
アパレルから事務派遣になって、派遣から今度は直雇用に。すごい変遷ですね。

振り返るとそうですね。ただ、私は『入ってしまえばこっちのもの』っていう意識があって。
なるほど。
正社員って、入るまでが難しいんですよね。履歴書とか面接とか。でも、派遣って門戸を広くしてくれている感じがするので、まずは入らせてもらって、あとから勉強すればいいと思ってて。
未経験でも受け入れてくれる職場は多いですからね。
そう。それで、分からないことがあったら素直に聞いて、すぐに身につけてしまえばいいんですよ。「未経験だからどうしよう」じゃなくて、「まずは行っちゃいなよ」って思います。
度胸や行動力が素晴らしいです。
単に図々しいだけかもしれませんけど(笑)
いえいえ。人差し指だけだったタイピングはどうなりましたか?
今はさすがにブラインドタッチですよ(笑)。もうショートカットとか関数とかも使ってます。
すごい! あとから勉強されていったわけですね。
ええ。派遣は私にとって“経験を積ませてもらう場”でしたね。やっぱり経験ってすごく大事で、いろんな場数を経験していれば何があっても対応できるようになりますから。
おっしゃる通りです。神農さんの今後の活躍も期待していますね。ありがとうございました!
