韓国出身のチェ ミンジュは、日本に来て間もない頃、毎日のように涙を流していました。

チェ:韓国の大学を卒業して、初めての仕事で日本に来てから、半年ぐらいはずっと泣きながら過ごしていましたね。

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第一営業本部 Global Job Office チェ ミンジュ

就職と同時に日本に来たチェは、東京にある携帯電話の販売会社で働きはじめていました。

チェ:学生時代はソウルで接客とか販売系のアルバイトを色々とやっていました。それで、人と関わるのが楽しくて、そんな仕事がしたかったんです。

チェが就職先として日本を選んだのも、理由がありました。中学の時に英語以外の「第二外国語」を選ぶことになり、そこで初めて日本の文化に触れたのです。

チェ:初めて着物を着たり、平仮名やカタカナを知ったり、日本のことに触れて興味を持ちました。それで勉強しはじめたら「面白いな。もっと勉強してみたいな」と思うようになって。

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高校でも日本語を専攻したチェは、大学に入ってから日本に留学します。

チェ:半年間、京都に留学したんですが、「意外と日本でも生活できるんだな」って感じました。日本人の方とコミュニケーションを取れることも、すごく楽しかったですし。

そして就活のタイミングになり、チェはそれまでの学生時代を振り返ったのです。

チェ:小学校から大学までを振り返って一番楽しく過ごした時間っていうのを考えたら、日本に留学した時の思い出が一番大きかったんです。それで、結構悩んだんですが「日本で就職しよう」って。

チェが日本に行くのを悩んだ理由としては、家族からの反対がありました。

チェ:お父さんや弟、それに子どもの時からかわいがってくれた祖母からも「できれば韓国で、近いところにいてほしい」って反対されていました。でも、どうしても日本に行きたいって言ったら、最後は「分かった。後悔のないようにね」って送り出してくれたんです。

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しかし、就職した携帯電話の販売会社では、苦労の連続でした。

チェ:とにかく「言語の壁」というか……。伝えたいことは頭にあるのに、細かいニュアンスまでは伝えられないとか。契約関係の要望がくみ取れないとか。いろんなキャリアが入っている店舗でしたので、自分が担当するキャリア以外のことも全部勉強しないといけなくて大変でした。

ただでさえ覚えることの多い携帯電話販売の仕事に加え、言語の壁。それでも、チェは諦めませんでした。

チェ:「自分が決めたんだから、やるしかない」と思いながらやっていました。幸い、職場の先輩たちは本当に良い方ばかりでしたし、お客様からも「頑張ってね」と励まされたりして、ありがたかったです。

しかし、そんなチェにとって「働き方」を考えさせられる事態が起きました。

チェ:接客業なので休みもあまりなくて、なかなか韓国の実家にも帰れずにいました。そんなある時、祖母が病気になったんですが、手術途中に亡くなってしまったんです。

なんとか休みをもらって病院に駆けつけようと帰国したものの、コロナ禍ということもあり2週間の隔離。会うこともかなわず、お葬式の参列のみになったといいます。

チェ:それを機に、「家族との時間」の優先順位を考え直すようになりました。それで、自分の好きな「人と関わる仕事」に加えて「働きやすさ」という2つを軸に、転職を考えはじめたんです。

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転職エージェントに登録すると、様々な企業を紹介されたチェでしたが、その中で目に留まったある“コピー”がありました。

チェ:パーソルグループの掲げていた『はたらいて、笑おう。』が目に飛び込んできました。自分も今まで働いてきて「笑っていたい」と思いましたし、家族も含めて笑っていることが一番大事だと思っていたので、単純に「いいな」って思ったのがきっかけでした。

そうして面接をクリアし、パーソルテンプスタッフの「フォロー営業職」になったチェでしたが、すぐに壁にぶつかってしまいます。

チェ:頑張って職場見学まで行っても、なかなか結果まで結びつかないとか。スタッフから悩みを持ちかけられたと思ったら、すでに退職まで決意されているとか……。

再び立ちはだかった言語の壁。日本語での微妙なニュアンスをどうしても伝えることができなかったせいか、思うような結果を出せずにいたのです。

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チェ:私にできたことが何もありませんでした。「はたらいて、笑おう。」に共感して入社したのに、自分はおろか誰も笑顔にできていない。性格的にも自分のことばかり責めてしまって、休みの日も休みじゃない状態になりました。それでつらくなってしまい、上司に退職の相談をしたんです。

「もう辞めたい」と相談されたマネージャーは、すぐに受け入れるのではなく、何度も何度も面談を重ねました。

チェ:本当に週に何度も面談をしてくださって、それで、最終的に「外国籍のスタッフを担当するGlobal Job Officeに異動するのはどうか」と提案してくれました。

そうして異動したチェは、韓国人スタッフを担当することになったのです。

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チェ:自分の母語を使いながらスタッフにお仕事のご案内ができるということが、こんなにも嬉しいことかと思って、仕事が楽しくなっていきました。

韓国語で仕事ができ、会社に貢献できる喜びを感じながらも、過去の経験に思いをはせました。

チェ:最初にうまくいかなかった経験が、Global Job Officeに来てからすごく活きていることに気づきました。クライアントの目線や、スタッフの方の悩み、営業とのコミュニケーションもそうです。当時は大変でしたけど、やっぱり「経験して良かったな」って今になって思いますね。

今では韓国から来たスタッフからの相談にも親身になって乗っていて、ときに営業へ提案するようにもなったといいます。

チェ:日々いろんな経験を積ませてもらって、スタッフの方と話すのも本当に楽しいなって心から思えるようになりました。

そんなチェに、「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。

チェ:派遣社員という形態にどうしても不安を感じていらっしゃる方も多くいます。ですので、そういった方々がなるべく長くお仕事できるように、紹介して終わりではなくて「しっかりと支え続けてあげたいな」とずっと考えています。

それと、なるべくご自身の希望に近しい案件で、できるだけ言語を活かせて、ご自身の「好き」を活かせるお仕事を中心にご紹介することを心がけています。そうして、笑顔で働くスタッフが増えてくれたら、私も嬉しいですね。

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