「派遣先の上司と合わないんです」
南保が担当していた30代の女性スタッフから、相談がありました。

南保:50代のある社員の方と上手くコミュニケーションが取れない、とスタッフの方がお困りでした。周囲の方々も同じように感じているようで、他の派遣スタッフもその方に強く言われてしまって辞めてしまった方がいるみたいで。でも、自分としてはどうにかその方に寄り添って一緒にお仕事をしていきたい、という希望だったのです。

広域第一事業本部 北関東営業部 高崎オフィス南保 浩美

派遣スタッフからの真剣な相談に、南保はまず上司である社員の方の人物像を詳しく把握しようと試みました。

南保:まず、どんな方なのか特徴を聞かないと分からないので、苦手な事や得意そうな事などをしっかり観察してみて欲しいとお願いしました。そして一週間後にあらためて確認させていただくと、パソコンが苦手だとか、業務を並行して進めていくことが苦手だということなどが分かったんです。

派遣スタッフからの情報をもとに、解決策を探る南保。「どうすればいいのか?」と模索を続けるなか、ある提案をすることにしました。

南保:その社員の方はパソコンが苦手だということなので、まずは自分のほうからパソコン業務のところをちょっと気にかけてあげて、お手伝いできるところがあればお手伝いをしてあげてくださいと言いました。それから、業務についての報告も順番を追っていつも以上に丁寧に伝えていったほうがいいんじゃないですか、ということもアドバイスしました。それは口頭だけでなく、スタッフの方にも分かりやすいようにメール等で活字としてもお伝えしておきました。

実は、南保のアドバイスの背景には心理学に裏付けされた仮説がありました。南保は普段からさまざまな学びを積極的に行い、それを自身の仕事やスタッフの働き方改善に活かしていたのです。

南保:コミュニケーションに関して何らかの勉強をしていかないと、派遣スタッフの気持ちに寄り添うことは難しいだろうなと思っていました。そこで、対人コミュニケーションに関する研修が近隣であった際には、積極的に応募して勉強しに行っていたんです。そうすると、仕事のなかでも「なるほど、このパターンの人か」と分かるようになっていきました。

それまで、派遣スタッフの就業フォローという仕事にやりがいを感じながらも、南保は自身の未熟さを感じていました。それを補うために辿り着いたのが「学ぶ」ということだったのです。
南保は、講座や本で積極的に学んだことをすぐに実践していきました。

そうして学びと実践を続けることで、新しい道を切り開いていきたい。
そんな南保の思いが一つ、結果につながろうとしていました。

南保:怒りっぽかった社員の方が、当社の派遣スタッフに対しては明らかに違う接し方になってきたようでした。もしかしたらその社員の方も、精神的なコントロールの難しさをご本人で感じられていたのかなと思います。「やっと自分のことを理解してくれる人が近くにできた」と思ってくれたのかなと。

南保:何よりも、派遣スタッフとお話した時に声が1トーン高くなっていて、モヤモヤが晴れたかのような雰囲気になっていたのがすごく嬉しかったですね。

この体験は、派遣スタッフの方にとっても自信に繋がった出来事だったようです。

南保:もともと保育士さんをやられていた方なのですが、前職で人間関係に困ったことがあったと伺っていました。今はまったく畑違いのお仕事に挑戦されているわけですし、人間関係でも困っていたことを乗り越えられたので、すべてが自信に繋がったのではないかと思います。

この出来事から数年後。
現在もテンプスタッフを通じてご就業いただいているスタッフの方から「心理学に興味を持ったので勉強を始めました」と連絡があり、南保は喜びを噛み締めていました。

仕事で心がけていることは何なのか、南保に聞いてみました。

南保:自分自身が勉強をし続けて派遣スタッフに寄り添っていく、ということは常に心がけています。引き続き勉強をしながら、派遣スタッフの就業フォローに力を入れていきたいですね。