これは、パーソルマーケティングを通じて派遣社員として働く田中マコさん(アバター名)のお話です。
神奈川県出身の田中さんは、短大を卒業後、都内の大手百貨店で販売員として働きました。10年間ほど勤務していましたが、ご両親の介護を経て、現在はメタバース空間でテレワークをしています。
田中さんがなぜメタバース空間で仕事をするようになったのか、“メタバース空間での仕事”とはどのようなものなのか、探っていきました。
田中さん、今日は顔出しNGということで。
すいません、後ろ姿で。普段からメタバースで仕事をしていることもあり、顔出しがNGでして……。どうぞよろしくお願いします。
販売職は私にとって「天職」だった
「メタバースでのお仕事」ということで聞きたいことが色々あるんですが、もともと田中さんはどういったお仕事をされていたんですか?
短大を卒業してから都内の百貨店に就職しました。それで、販売員の正社員として働いていたんです。
販売員ですか。それは、もともとやりたくて?
ええ、私は子どもの頃から人前に出たりするのが好きで。親からも「できもしないのに出たがるんじゃない」って言われていたくらいで(笑)
じゃあ、人が大勢いる場所とか、人と接することが好きだった、と。
そうです。だから、学生時代のアルバイトもファーストフード店とか、イベントでの店頭販売とか、とにかく人が集まる場所で接客業をやっていたんです。
それで「社会人になったら販売の仕事をしよう」と。
ええ、販売職しか考えていなかったですね。
なるほど。実際にやってみてどうでしたか?
すごく楽しかったです。「仕事に行きたくない」なんて思うこともまったくなかったですし、周りからも「天職だよね」って言われるぐらいで。
へえ、天職だったんですね。
販売職を辞め、訪れた「父の介護」
ただ、10年ほどやってきたところで、結婚を機に退職したんです。当時はまだ「結婚したら女性が会社を辞める」っていう風潮の時代で。
ああ、『寿退社』っていう言葉があった時代ですかね。
そうです、そうです。まあ、夫と休日が合わなかったこともあったので、思い切って辞めようかなと。
でも、販売職が好きで人と接するのも好きだったら、辞めてしまうと退屈だったんじゃないですか?
そうなんですよね。ただ、家で飼っていた犬が「ペットモデル」の仕事をするようになったんです。テレビに出たりCMに出たり、雑誌にも載ったりするようになって。
へえ、すごい!
それでテレビ局に行くとか、いろんな人に会うことも多かったので、それはそれで楽しかったですね。
なるほど。えっと……、ここからメタバース空間でのお仕事につながるとは思えないんですけど……。
そうですよね。ペットモデルも10年くらいやったんですが、その辺りから父の介護がはじまってきて……。
そうですか。あの、よければ続きはメタバース空間でお伺いしましょうか?
あ、はい。じゃあ一緒にログインしましょう。
両親と同居して、10年におよぶ介護がスタート
はい、ログインしました。あ、目の前にいるのが田中さんですね。よろしくお願いします。
はい、こちらでもよろしくお願いします。
なんか不思議な感じがしますね。
ふふふ。どうぞこちらへ。
ここは、会議室ですか?
はい。どうぞこちらにお掛けください。
失礼します。
で、介護の話でしたよね。
あ、はい。お父様の介護がはじまった、と。
えっと、最初は両親と同居して、自宅で介護をしていたんです。
その時もまだ、お仕事はされていなくて?
もちろんです。急に何かあってもいけないので、あまり外には出れなくて……。たまに単発で1日だけの仕事をする、という感じでした。
どのくらいの期間、お父様の介護を……。
10年ぐらいです。最後の方は施設に入っていて、認知症もかなり進んでしまいました。母も高齢であまり病院に連れていけなかったので、私が介護をするしかなくて。
施設に通ったりするのも大変でしたよね。
そうですね。でも、ヘルパーさんがご飯を食べさせようとしてもあまり食べたがらなくて。だから、私が行って食べさせてあげたほうが良かったんです。
なるほど。
それに、認知症で分からないながらも、私が行くと「あっ」という顔をしてくれて。
お父様も喜んでいたんですね。「仕事がしたい」とは思わなかったですか?
介護により「社会とのつながりがなくなる」ことへの不安
いえ、仕事をするからにはしっかり取り組みたかったんですよね。「今日は父の調子が悪くて」とか「今日は母を手伝わないといけないんで」って休むと、周りの方にも迷惑を掛けちゃうじゃないですか。
腰を据えて仕事に打ち込みたかったと。
そうですね。それに、そんな気持ちが両親に伝わってしまっても嫌だな、と。私もあまり器用な方じゃなくて、色々なことをうまくこなせれば良かったんですけど……。
いえいえ。それでも10年間の介護は大変ですよね。
ええ。やっぱり毎日介護だけを続けていて大変だったのは、社会とのつながりがまったくなくなってしまうことでしたね。介護関係の方と介護の話しかしなくなっていたので、すごく危機感があって。
危機感というと、具体的には?
人と普通に話すことができなくなっちゃうんじゃないかなって。それで、「家で何かできる仕事はないかな」って探したんです。ただ、家でやる仕事だと、結局はあまり人と喋ることもないものばかりで。
かといって外にも出れない、と。
そうなんです。でもある日、たまたま『メタバース』をテレビで見て「こういう世界があるんだ!」って驚いたんです。それで、気になって調べていったら、メタバースを活用したお仕事を募集しているところがあって。
ちなみに、どんな仕事ですか?
それはパーソルマーケティングではないんですけど、アニメとかエンタメがメインの短期間のイベントのお仕事でした。
やってみて、どうでした?
すごく楽しかったですね。リフレッシュにもなりましたし。ただ、私がアニメとかエンタメに詳しくなかったので、その部分は「しんどいな」と思ってて。
メタバースでの接客業にめぐりあう
それで、どうしたんでしょう。
そんな時にまたテレビを見ていたら、パーソルマーケティングのメタバースのお話が出てきたんです。「接客業でメタバース事業に乗り出す」っていう内容で、「おっ」と思ってすぐに動きました。
すぐに動いた、と言いますと?
その場でメールを打ったんです。今考えてみたら、募集が出ているわけでもなかったんですけどね。「今こういう仕事をやっていて、もしお仕事があるならやりたいです」って。
すごい行動力ですね。それで登録いただいて。
そうですね。実際にお話を伺ってみると、接客の仕事を増やしていくということだったので、私はパーソルマーケティングの方が合ってるんじゃないかなと思いまして、それで「ぜひ、お仕事があればお願いします」ということで。
具体的にはどういったお仕事をされましたか?
最近あったのは、愛知県豊田市さんが開催した「製造業フェア」ですね。豊田市さんの企業様のブースがあって、そこにいらっしゃったお客様をご案内したりですとか、取り次ぎをしたりするお仕事です。この画像は、その時の様子ですね。
なるほど。販売職の経験が活きる感じですね。
そうなんですよ。あと、このフロア内の飾り付けなどもさせていただいて、それもすごく楽しかったんです。
へえ、飾りつけも。
ええ。リアルでイベントをするとなると、飾り付けは時間がかかるし、労力もかかるし、けがのリスクもあるんです。でも、バーチャル空間ですから、そういうのが一切なくて、撤収もあっという間で。
メタバースを活用したリモートワークが広がってほしい
いいことばっかりですね。
はい、本当に魅力的な仕事だと思いますね。こういったお仕事がなかったら「人と話をする機会」がまったくない状態が続いてしまうので、私にとってはなくてはならない仕事です。
今は、ご家庭はどういった状況でしょうか。
今は母も病院にお世話になっているような状態なので、自宅にいながらリモートワークとして接客のお仕事ができるというのは助かっていますね。
出勤するようなお仕事だと大変ですものね。
ええ、完全に家を留守にしてしまうと、その間に倒れてしまうとか、何かあったらどうしようもないですから。
じゃあ田中さんにとってメタバースのお仕事はドンピシャだったと。
そうですね。本当にいいタイミングで、私が求めていたものと世の中の流れが合致したという感じがしています。ただ、お仕事がそんなに多くないようなので、パーソルマーケティングさんには頑張っていただかないと(笑)
営業してもらわないといけませんね(笑)
それに、スタッフの方も含め、多くの人に体験してもらいたいですね。顔を見て話すのが苦手な人でもできますし、機材もパソコンとマイクとイヤホンがあればできますから。
手軽に世界とつながってお仕事ができますよ、と。
はい。ぜひいろんな方にメタバースの世界に入ってきてもらって、一緒にお話ができたら嬉しいなと思います。