これは、パーソルエクセルHRパートナーズを通じて派遣社員として働く予定だったヴィンさんのお話です。
ベトナム出身のヴィンさんは、ホーチミン市工科大学に通っていましたが、現在は大阪のパーソルエクセルHRパートナーズでシステム開発エンジニアとして働いています。
ヴィンさんがなぜ大阪でシステム開発エンジニアとして働いているのか、なぜ日本に来ることになったのか。探っていきました。
ヴィンさんはベトナム出身なんですよね。
はい、ベトナム南部の海の近くで生まれました。Phan Thiet(ファンティエット)という町です。
ベトナムの大学では「自動化」を研究
海の近くの町がご出身なんですね。
有名なホーチミン市から200kmくらいですね。そこで高校を卒業するまで住んでました。

高校を卒業した後は大学へ?
はい。ホーチミン市工科大学に入って、卒業後に研究室で1年間働きました。
何の研究でしょうか。
研究は2つのプロジェクトがありまして、1つはベトナム人向けのコーヒーの自動マシンです。
コーヒーの自動マシン?
はい。ベトナム人は『ベトナムコーヒー』が好きで、お店もたくさんあります。でも、淹れるのにすごく時間が掛かるんです。ですから、それを自動でできるマシンを開発していました。
なるほど!面白いですね。もう1つのプロジェクトは?
もう1つはお店用のウェイトレスロボットです。
あ、ウェイトレスロボットって、ファミレスとかで見るお皿を運ぶような……。
そうです。ベトナムのコーヒーショップでもウェイトレスは忙しそうですから、そういった人をお手伝いするようなロボットの開発です。2016年の時点では、多分このロボットの研究は最高レベルのものをやっていたと思います。
へえ、そうなんですね。すごい。

出張で日本に来て、「いつか日本で働きたい」
研究室での研究の後は、就職したんですか?
はい。日系の半導体メーカーに就職しました。仕事は自動車のソフト開発エンジニアです。日本のやり方にも慣れていって、2018年に初めて出張で日本に行きました。
へえ、自動車のソフト開発エンジニアとして来日も。どうでしたか?
もともと先進国の良い印象を持っていましたが、出張で来日した時に「本当にいい国だな」と思いました。
どんなところが良かったですか?

東京に行ったんですが、交通インフラがとても便利でしたね。あと、時期が11月でしたけど、秋の空気が良くて、初めて紅葉もいっぱい見ました。
仕事の面ではどういった印象でしたか?
日本人は皆さんとても責任感が強くて、すごく尊敬できました。
それは何だか嬉しいですね。その後、どうしたんですか?
すごく良い印象だったので、ベトナムに帰ってから「いつか日本で働きたい」と思って日本語を勉強していきました。
おお、日本語の勉強を始められたんですね!
ただ、本当に日本語は難しいですね。ベトナムではアルファベットを使っていますが、日本語は「ひらがな」とか「カタカナ」とか「漢字」とか色々あって、勉強するのがすごく難しいと思いました。
そうですよね。日本人でも難しく感じますから……。

日本語を勉強し、パーソルエクセルHRパートナーズへ
その後は、どうされたんでしょうか。
日系の半導体メーカーから、ドイツの自動車部品メーカーに転職しました。
え、ドイツの会社?
はい。でもお客様は日本の会社ばかりでしたので、仕事の中でも日本語を使いました。日本語の勉強も続けて、だんだんスキルアップしていきました。
なるほど、そうでしたか。
その間も日本に行くチャンスを伺っていました。その時にパーソルエクセルHRパートナーズの求人情報を見つけたんです。
お、その時に見つけたんですね。
はい。日本語クラスで3カ月間、研修を受けてから現場に派遣されるということでしたけど、場所がハノイの方だったので悩んでしまいました。ホーチミンからハノイまではとても遠いですから。1,000km以上あるんです。
それは遠いですね。
でも、日本に行きたかったし、日本語の勉強もしたかったので、行くことにしました。

それじゃあ、3カ月間の研修を受けて。
いえ、実際は6カ月になってしまいました。
え?
派遣社員の予定が、いきなり受託案件に抜擢
ちょうどコロナウイルスが流行ってしまって。
ああ、そのタイミングだったんですね。
緊急事態宣言もありましたけど、一瞬だけ収まっていたタイミングで、日本に入国することができました。2020年11月ですね。1週間はホテルに隔離されてしまいましたけれど。
でも、ちょうどいいタイミングで入国できて良かったですね。
はい、ラッキーでした。
それで、派遣社員として現場に配属されたわけですか。
いえ、派遣社員として現場に行く予定でしたけれど、私の場合は違いました。
え?
パーソルエクセルHRパートナーズが受託している仕事の機械開発チームに入ることになりました。
派遣の予定が、すぐに受託案件に。それは大抜擢ですね。
いえいえ。
どんなお仕事ですか?
CADで機械の図面を作る時に、ショートカットキーを押すだけである程度の3D図面が自動で作れるツールの開発です。

なんだかヴィンさんは「自動でできる」みたいな開発が多いですね。
そうですね。オートマチックの分野には興味があります。私自身が疲れる仕事が嫌いなので(笑)。 だから、周りの皆さんの仕事もなるべく自動化させていきたいと思っています。
正社員になり、大阪での生活も充実
なるほど。3D図面が自動で作れるツールの開発の後は、どんなお仕事を?
車載機のソフト開発を1年くらいやりました。
へえ、車に携わることも多いですね。
はい。ベトナムでは車はすごく高級品なんです。「国産車」がありませんので自動車税がすごく高くて、以前は車両の200%くらい掛かっていました。
え?じゃあ200万円の車が600万円?……だからベトナムはバイクが多いのかあ。
そうです。だから車には憧れがありましたね。車載システムは大きなシステムですし、国際基準で活用できる知識もたくさん得られるので、すごく魅力的でした。

なるほど。その後はどうなりました?
2年間は契約社員でしたけど、今年の初めに正社員にしていただきました。
わあ、すごい!
それと、2022年の4月にはベトナムの時から付き合っていた彼女と結婚もしまして。
じゃあ、奥様も日本に?
はい。最初は北海道の会社に勤めていたので遠距離でしたけど、2022年からは大阪で一緒に暮らしています。
そうですか、じゃあ大阪での生活も充実していますね。
ベトナム人の後輩にも、自分の経験や知識を伝えたい
はい。日本では静かに過ごすことができますし、四季があって、自然の景色がとてもいいですね。
どこか旅行に行かれたりとかは?
奈良には行きましたね。あと、最近は大阪港にある『海遊館』にも行きました。動物や魚がたくさん見れて良かったです。ベトナムには、ああいった施設は無いですから。
それは良かったです。
でも、大阪に住んでいると大変なのが「関西弁」ですね。
そうか、日本語も勉強中だというのに関西弁は大変でしょうねえ。
海遊館でジンベイザメを見た時にも、周りが「でっかい」「でっかい」と言ってて意味が分かりませんでした。あとで「大きい」ということだと分かりましたけど。
ああ……、色々と苦労しそうですね。
でも、食べ物は美味しいですね。たこ焼きとか、蓬莱の豚まんとか。大阪は美味しいものがたくさんあります。
確かに。じゃあ、公私ともに充実してますね。
はい。ベトナム人の後輩もできましたし、今も大きなプロジェクトに参加させてもらっています。

そうですか。日本語の勉強も続けられているんですよね。
仕事をしながら、帰ってからは深夜まで日本語の勉強をしていて毎日大変です。でも、上司が私の能力をちゃんと評価してくれるので嬉しいですね。
今後はどうしたいですか?
さらに大きなプロジェクトに携わって、活躍していきたいですね。それと、ベトナム人の後輩たちに自分の経験や知識を伝えていけたらと思っています。