本記事では派遣営業の1日のスケジュールを通じて、派遣営業が日々「何を考えながら仕事をしているのか」を紐解いていきます。

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今回の派遣営業:森田 朝香(モリタ アサカ)1998年パーソルテンプスタッフ入社
所属:中四国営業部 広島オフィス マネージャー
勤務地:広島
担当エリア:広島市、廿日市市、大竹市、呉市、東広島市

派遣営業(マネージャー)の1日(森田 朝香の場合)

朝は9時前に広島の紙屋町にあるオフィスに出社します。9時から朝礼をやっていて、そこで全員の1日のスケジュールを共有するんです。そうして、1日の流れを確認したり、業務の方向性を決めていったりしています。

午前中は外出することもありますが、週に1度は午前中を費やして営業の会議をしっかり行っています。

ランチ

hakken20230210_3_morita.jpgお昼はお弁当を買ってきて食べたりもしますし、オフィスビルの地下にお好み焼き屋さんがあるので、そこで買ってくることも多いですね。

もともと福岡出身なんですけど、広島に勤務することになった時、「いろんなお好み焼き屋を回って美味しいお店を探してみよう」と思っていたんです。でも、「ここが絶対1番美味しくておすすめですよ」って紹介されたのがオフィスビルの地下にあって、探す必要がなくなってしまいました。

やっぱり人気なので予約しておいた方がよくて、電話で予約してから取りに行って、オフィスで食べてますね。誰かが食べていると匂いに釣られて「私も買ってくる!」って連鎖して、オフィス内がお好み焼きの匂いで充満していることもよくあります(笑)

午後

少し前までは50人ぐらいスタッフの方を担当していて、“プレイングマネージャー”という形で動いていました。ただ、最近は営業部内のプロジェクトを担当することが増えてきて、その打ち合わせに追われている感じです。

夕方になると、外出先から帰ってきたメンバーの相談に乗ることが多いでしょうか。スケジュールが空いていたら空いている分だけ相談の時間になりますね。オフィス内を歩いていると、いろんなところから声を掛けられて席までなかなかたどり着けない時もあります。

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交通事故で入院した派遣営業の代わりに……

今でこそ派遣会社の営業をずっとやってきて、マネージャーとして忙しくしていますけど、もともと営業は大の苦手でした。農学部出身で、人が嫌いとまでは言いませんが、新卒の時には細菌検査の会社に就職したくらい人と話をするのを避けていました。でも、その細菌検査の会社はすごく忙しくて、体力的に持たなくて辞めてしまって……。

それで次の仕事をどうしようかと思っている時に、大学の助教授に20代こそ苦手なことをしたほうがいい」と言われたことを思い出したんです。

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それで、地方新聞にあった『佐賀県のホテルで営業の派遣スタッフを募集中』という広告を見て、「まずは派遣スタッフとして営業をやってみよう」と考えました。

ちょうど私の母親も派遣で働いていて、「派遣は働きやすいわよ。登録だけでも行ってみたら?」と言われていたので、それも後押しになりました。そのホテルの案件を扱っているのがテンプスタッフだったので、テンプスタッフに派遣社員の登録をしに行ったんです。

そうしたら、「森田さん、営業職になりたいなら、うちでやりませんか?」って言われたんです。どうやら、採用したばかりの社員が交通事故で入院してしまって、「入社できない」ということになったらしくて、派遣営業のポジションが空いたというんです。それで「じゃあ、やります」ということで契約社員として入ったんですよ。

つらくて半泣き。周りからも「あいつは辞めるだろう」

ただ、営業として働きはじめても、もともと『営業が苦手な人』ですから、うまくいきませんでした。いつも自信がなくて、ブルブル震えている感じで(笑) 今でも覚えているんですけど、ある旅行代理店に飛び込み営業をしたら、支店長に「じゃあ話しを聞きますよ」と通していただけて。

そこで「え、通されるんだ」って思ってしまって、すごく嫌な顔をしたようなんです。営業なら喜ぶべきなのに。さらに、自社の説明もロクにできないし、相手の質問にも答えられなくて……。それで、その支店長に「キミ、大丈夫?もうちょっと勉強したほうがいいよ」と言われて、半泣きになりながら帰ったんです。

もう本当につらくてつらくて。社内の皆さんも分かっていたので、「森田はすぐ辞めるだろう」って言われていたみたいです。でも、そう言われながらも、「自分らしくやったら良いんだよ」とアドバイスもいただいて、肩の力が抜けた感じがしました。

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そうしたら、徐々にクライアントとつながりができるようになって、ご依頼をいただいたり、「森田さん、ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と言われたりして、だんだん「面白いな」と思うようになっていったんです。

「苦手」の先に、見えてくる風景があった

実は、前職の細菌検査の仕事を辞めてから、なかなか次の仕事が見つからなかった時期がありました。いろんな会社の試験を受けては落ちまくっていて、「私なんて世の中から必要とされていないんじゃないか」って思ってしまうほどで……。

だから、営業をやっていて「森田さん、ちょっと」「こんなことできるかな」って相談されはじめたら、「ああ、私でも役に立ってるんだ」っていう実感が湧いてすごく嬉しくなりました。

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しかも、派遣営業はクライアントから声がかかって頼られるだけでなく、スタッフからも感謝されるし「何だか、すごくいい仕事かもしれない」って思うようになっていきました。それに、周りの先輩もずっと支えくださるのがすごく嬉しくて。何年もやっていくと「これ以上、面白い仕事はないんじゃないか」って思えるようになりましたね。

だから、助教授に言われた「20代こそ苦手なことをやりなさい」という意味が後になって分かった気がしました。それからも、「少し苦手だな」とか「自分にできるかな」と思うような仕事には、どんどん挑戦していくようになりましたし。

たとえば、山口県のオフィスの立ち上げを任されたことがありましたが、その時も少し怖かったんです。自分で立ち上げて、初めて責任者になるので「自分にできるだろうか」っていう恐怖がありましたけど、結果的にはそこでもすごくいい出会いがありました。

苦手を克服したというよりも、壁を超えた先に見える風景があるというか、「毎回発見がある」っていう体験を重ねていくことができたんです。恐怖を乗り越えると「やっぱり、やってよかったな」と思える。そんな体験をもっと味わいたくなって、『富士山の登山』にも挑戦して登頂したくらいです。

自分の成功体験を、メンバーに押し付けてはいけない

3年前に広島オフィスを任された時も、やっぱり怖さがありました。広島は大きい拠点ですし、“地域密着”な空気感が強いので、外部から来た自分が通用するだろうかって。

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はじめの頃、朝礼や会議などで私が熱く何かを語っても、メンバーと距離がある気がしたんです。それで、「なんでだろう……」と思って上司に相談したりもしました。そこで気づかされたんです。自分の成功体験をメンバーに押し付けようとしていたなって。

それで、メンバー11人の話をじっくりと聞いたり、意識して向き合ったりするようにしました。そうして、メンバーそれぞれの個性を伸ばしていく方向にマネジメントを変えたんです。

マネージャーとして「自分が何とか引っ張らなきゃ」だと、私の限界がきたらチームの限界になってしまうんですよね。その限界は取り除かなければいけない。私自身がストッパーになっているので、私自身の固定観念をまず外さないといけなかったんです。

そうして考え方を変えてからは、メンバー全員がそれぞれ自分の力を爆発させてくれるようになりました。それぞれの個性で、チームの力を伸ばしてくれた感じですね。

気づけばもう25年やっていますが、これからもメンバーの個性を伸ばすようなマネジメントを意識していきたいな、と思います。

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