本記事では派遣営業の1日のスケジュールを通じて、派遣営業が日々「何を考えながら仕事をしているのか」を紐解いていきます。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

今回の派遣営業:木澤 優果(キザワ ユカ)2020年パーソルテンプスタッフ入社
所属:第一営業本部 秋葉原二課
勤務地:秋葉原
担当エリア:台東区、足立区、荒川区、等
担当スタッフ数:100名ほど(2022年4月現在)

派遣営業の1日(木澤 優果の場合)

朝の出社後

会社に出社するパターンと、スタッフやクライアントのところに直行するパターンがありますが、会社に出社する場合は9時に出社してメールチェックをしますね。前日の夜から来ているものを確認したり、全部返したりしながら、その日の予定も確認していきます。

その後に軽い朝礼があって、連絡事項の共有とか、「今日も頑張ろうね」みたいな挨拶をします。それから、アポイント先に訪問してクライアントからヒアリングをして、コーディネーターに電話で共有します。それから、スタッフフォローの面談として1日2人から6人くらい対応しているでしょうか。お話しをしながら、いまの仕事の状況だとか困りごとなどをヒアリングさせていただいてますね。

他にも、外回り営業として新規の企業に訪問したり、何か緊急対応が入ればそのたびに駆けつけたり、という感じです。それから、遅めのご飯を食べたらまたスタッフフォローに出向くこともありますね。だから、1日ずっと外にいることのほうが多いかもしれません。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

午後

ご飯を外で食べたあとに、帰社するパターンもありますね。たとえば新規の案件が入った場合には、コーディネーターに状況を確認したり、「職場見学を組めそうか」みたいな相談をしたり、進捗がどうなっているかと聞いたり、社内のミーティングに追われています。

それで、大体18時過ぎた頃から契約書などの書類を作成するとか、翌日の準備を進めていきます。あと、スタッフに連絡する際には18時を過ぎないと繋がらない職場が結構ありますので、皆さんの終業を待って電話をする、という感じですね。担当しているスタッフは90人くらいですが、社数としては30社ほどと分散しているので、気に掛ける会社の数が多くなるというのは大変な点かもしれません。

あと私の場合、社数だけでなくエリアが広いのも特徴的です。オフィスは秋葉原ですが、オフィス周辺の台東区だけでなく足立区や荒川区も担当しています。地名でいうと北千住や蔵前、浅草、稲荷町、上野といったところまでカバーしてるので、「どう回っていこうか」とスケジュールを組むのも結構大変ですね。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

銀行の外回り営業の経験だけでは太刀打ちできなかった

外に出て歩き回るというのは前職でもやっていました。以前は3年ほど銀行に勤めていて、個人向けに外回りの営業をしていたんです。お客様先に訪問して投資信託を販売するなどの営業でしたが、転職して派遣営業になったときには「同じ営業職だし、銀行でも経験してきたし、ある程度はできるかな」と思っていました。でも、いざやってみるとまったく違うものでしたね。

銀行の営業活動では、顧客は60歳以上の方ばかりでした。でも、派遣営業は20代前半からもう70代まで幅広くて、個人だけでなく法人にも対応します。接する人の幅がものすごく広がったうえに、スタッフ個人はしっかりフォローしながらも、法人には提案をするとか交渉をするとか、そういった動きが求められるわけです。

それでいて、提案する対象が銀行の時には「金融商品」だったわけですが、派遣の場合は「人」を扱いますので、より神経を使うことになります。さらに、その「人」に関連するソリューションもパーソルグループには数多くありますので、まずはそれを覚えていくところから始めなきゃいけない。本当に「やるべきことや、考えるべきことが違い過ぎる……」というのが私の実感でした。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

あまりにも違いすぎて、「イチから頑張ります」というより「ゼロからのスタートだ」と思いました。「社会人として仕事を最初から覚えなきゃならない」というレベルで。最初の頃はほとんど太刀打ちできなくて、あまりにも自分自身が不甲斐なくて、ひとりになった時につらくて泣いてしまうこともありましたね。

でも、オフィスの先輩方に相談させてもらいながら、優しく声を掛けてもらったりもして、なんとか成長することができてきたかなと思います。

小3の『いじめ』で気づいた「他人への優しさ」

優しく声を掛けてもらったといえば、小学校3年生の時に担任の先生から言われたことが忘れられなくて、今でも仕事をする時に思い出しながら意識しているんです。

小学校の時、私は「みんなと平等に仲良くしたい」子だったんです。でも、今思えば自分の考えが強くて相手のことを思いやっていなかったんでしょうね。誰とでも同じように自分中心で接していたら、誰も喋ってくれなくなってしまって。それで、3年生の時に『いじめ』のような状態になりました。それを見かねた担任の先生が、私に言ってくださったんです。「木澤さん、自分には厳しく、人には優しくするんだよ」って。

その言葉の意味を自分なりに考えている時に、1人だけ話しかけてくれた子がいたんです。それで、その子のことを大事にしながら優しくしようと思って接していたら、そこから徐々に広がっていって、周りの子とも仲良くなっていくことができたんです。だから、その時に「自分の態度をよく振り返って、目の前の1人の相手のことをよく考えて接することが大事だ」って思ったんですよ。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

だから、今の仕事に当てはめても、スタッフに向き合う時は「目の前の1人」をよく見て自分の接し方も振り返りながら、その人に合った対応をするように心がけています。スタッフの方は全員同じではないですし、年齢層も幅広いわけです。ですから、同じ言葉を掛けたとしても受け取り方は人によって違うと思うんです。悪い意味で言っていないことでも、「すごく厳しく注意された」と受け取る人もいるかもしれません。だからこそ、一人ひとりのスタッフとしっかり向き合うべきだと思っています。

「転職したい」スタッフにも、優しさをもって向き合った

そうして向き合っていたら、ある日、「実は、転職したくって……」ってこぼしたスタッフの方がいたんです。その方が、言いづらそうに口にしてくれたのが「転職したら派遣ではなくなってしまうので、木澤さんに対して申し訳なさがあって……」ということでした。でも、私としては「スタッフの方のキャリアはいろんな形があっていい」と思っているので、そう伝えながら転職の相談にも乗っていったんです。

そうしたら派遣の最終日に「転職のことまで相談に乗っていただけて、お陰様で正社員になることができました。木澤さん、派遣営業の方なのに、目の前の営業数字とかよりも私のために一生懸命に考えてくださって、本当にありがとうございました」って言ってもらえて。すごく印象的で嬉しい出来事でしたね。

私としては、人とのご縁というのも大切にしたいんですよね。銀行の時にお世話になった先輩とは今も連絡を取り合っていますし、銀行に掃除に来ていたおばちゃんも今でも連絡を取り合っているぐらいで。私、掃除のおばちゃんでも警備のおじさんでも、みんなに「ありがたいな」と感謝の気持ちをもつようになって、見かけるたびに挨拶してしまうんです。そうするとやっぱり、いろんな人と仲良くなるんですよね。

外回り営業よりつらい思いをしてきた木澤

そうそう、その銀行に掃除に来ていたおばちゃんが「この前、うちの娘がテンプスタッフに登録したんだよ」って言ってくださったのも何だか嬉しかったんです。「人とのご縁」って、そうやっていろんなところで繋がっていくものなんだなあと思って。

これからもスタッフの方やクライアントとのご縁を大事にしていきながら、優しさをもって一人ひとりと向き合っていきたいな、と思います。