本記事では派遣営業の1日のスケジュールを通じて、派遣営業が日々「何を考えながら仕事をしているのか」を紐解いていきます。

今回の派遣営業:小峯 廉太郎(コミネ レンタロウ)2020年4月パーソルテンプスタッフ入社
所属:テレマーケティングオフィス
勤務地:新宿
担当エリア:多摩全域
担当スタッフ数:72名(2021年10月現在)

派遣営業の1日(小峯 廉太郎の場合)

朝9時

フレックス制なので10時に出社しても問題はないんですけど、朝は9時に出社します。もともと学生時代、野球部だったので朝早い生活は苦じゃないですし(笑)

出社したら、まずはメールを確認します。メールは、月初だと請求書関連が多くて、中旬あたりだと商談関連が多いでしょうか。あとはスタッフの職場見学に向けたやり取りですかね。スタッフからの勤怠連絡は電話で来ることが多いですが、メールで来ることもありますので、それらの対応をしています。

朝10時

10時になったら朝礼があります。朝から外出している人もいるので全員ではないですが、いつも10人くらいでやっています。内容は派遣案件に関する情報共有を中心に10分ほど話し合います。あと、隔週の火曜日はオフィスミーティングで、午前中の2時間を使ってより深い営業的な打ち合わせが行われます。

その後は、クライアントのところかスタッフのところに外出することが多いですね。クライアントの場合は新規の提案をするとか、契約更新や契約が切れる際は「新しい契約ができないか」という交渉ですね。スタッフの場合は、契約更新のタイミングであれば必ず就業先に行って様子をうかがうようにしています。

午後

午後は毎日決まってやることは特にありませんが、毎週水曜は新規の営業担当だけのミーティングがあります。それから、スタッフが派遣の仕事にエントリーしてきてくださった場合、コーディネーターとの打ち合わせもありますね。スタッフがエントリーしてくださったときは基本的にコーディネーターがお仕事の内容を説明したり、スキルシートをクライアントに送ったりします。そして、職場見学が決まると僕らの出番です。職場見学の直前に打ち合わせをして、職場見学に同行していきます。

この部分はオフィスの規模感や業種によっても変わりますが、僕のオフィスは17人いるのでコーディネーターと役割を分担していますね。規模が小さいオフィスだと兼務していたりするので、スタッフの方から見た時に地域によって営業の対応範囲が違っていたりすることがあるかもしれません。

夜は月初の請求時期だとどうしても帰るのが遅くなることもあります。中旬だと割と早く終われますが、月末になると“締め”なので事務作業に忙殺されてまた遅くなりますね。あと、スタッフの方と面談する時に「就業時間中は難しい」というクライアントもいらっしゃるので、そういった就業先の場合は、就業時間後に会いに行ったりするので必然的に遅くなります。でも、スタッフの方とのコミュニケーションは、やっぱりメールだと文面だけになって伝えるのが難しいこともあります。時間は掛かっても、直接会いに行ったほうが話はスムーズですし、大事な時間だと思っています。

夜が遅くなってしまうのは自分自身の課題でもあります。営業活動をすればするほど事務作業も多くなってしまいますけど、契約周りはミスするわけにもいかない。だから、確実かつスピーディーに事務作業を処理できるようになりたいですね。営業に力を入れて就業先が増えれば増えるほど、スタッフが仕事を選べることになりますから、もっとたくさん時間をつくって営業活動を増やしていきたいです。

派遣コーディネーターと何を話しているのか

コーディネーターとの事前打ち合わせ

職場見学の直前に打ち合わせをする時は、様々な基本情報を共有しながらも僕は特に「スタッフの方がどういった人柄なのか」というところを注視しています。クライアントの会社の雰囲気はどうなのか、それに対してスタッフはどういったタイプなのか。エントリーの際はコーディネーターがスタッフとの会話や職務経歴書などから人柄や価値観を把握しているので、それを企業からの業務内容や社風などとすり合わせる感じです。だから、「こういう人はダメ」とかではなくて、「そのクライアント先に合う人かどうか」をしっかりと考えながら進めるようにしています。合わなくて働きづらくなってしまうと、スタッフが苦労してしまいますからね。

派遣スタッフの就業が決まった後

スタッフの就業開始が決まったら、書類のやり取りに追われます。クライアントとの手続きが必要になりますので、派遣個別契約書の締結だとか、法的に対応が必要なスタッフの情報提供だとか、数日くらい続きますね。完全に新規のクライアントだとこの量が多くなるので、新規のクライアントとの契約が続くと書類で忙殺されます。まさに嬉しい悲鳴ですね。

何かトラブルが起きてしまった場合にはこの契約書が基準となりますので、すごく重要です。絶対に内容などを間違うわけにはいかない、という緊張感を常に持っています。

派遣スタッフが働き始めてからやること

スタッフが働き始めてからも、勤怠の連絡はもちろん、「悩みがある」といった連絡が来ることもあります。連絡が来たら、基本的に緊急の用事がなければ足を運びます。呼ばれなくても更新のタイミングでは必ず話を聞くんですが、人間関係などで悩まれて「もう辞めたい」といった相談を聞くこともあります。

その場合、もちろんビジネスとして考えたら長く働いてもらいたいですが、スタッフが気持ちよく働けないのであれば必要以上に長く引き伸ばすようなことは一切しないです。途中終了はダメなので「契約満了までは頑張っていただきたい」とお伝えするのですが、イヤイヤ働いてもスタッフのためにならないですし、パフォーマンスも出ないですからね。結局そうなるとクライアントからも評価されないですし、契約更新も止まってしまうことにもなります。何もいいことがないんですよね。

「きつい」という発言を見極めるのも、派遣営業の役目

ただ、本当につらくて「きつい」と言っているのか、それとも一時的なストレスで単に愚痴をこぼしているだけなのかはしっかり見極めないといけないなと思います。過去にスタッフがキツそうなので「キツかったら、辞めるという選択もありますよ」と言ったら「そんなつもりで言ったんじゃありません!」と怒られたこともあるんです。スタッフのためを思って手を差し伸べたつもりだったんですけど……。

しっかり見極めたうえで、本当につらくて「きつい」と言っているのであれば、違う就業先を探して提供します。新しい就業先を開拓するのが営業の仕事ですから、そこは自分自身の頑張りどころだと思っていますし、「どうしても自分に合わなければ他の職場に変えられる」というのも派遣としての働き方の良さでもあるのかな、と僕は思うので。

“芸人”を分析するのは、派遣営業として意味がある

スタッフに対して思うのは、結局は「相手の立場にはなれない」ということです。これはなにも無責任に言っているわけではありません。僕が担当するスタッフは20代から60代までの女性が中心です。話を聞いていると、20代の悩みと、40代の悩みと、60代の悩みは全然違うわけです。立場も違えば性別も違うのに、「あなたの気持ちは分かります」なんて気安く言えません。でも、スタッフのために、そこをどれだけ理解しようとできるかが大事で、「最適な答えを一緒に見つけるお手伝いをしよう」っていつも思っています。

ただ、その「最適な答えを一緒に見つけるお手伝い」のなかで僕が未熟なのは、どうしても僕の意見が直球になってしまってスタッフに嫌な思いをさせてしまうことがあることです。なので、もっと上手にコミュニケーションをとれるようになりたいなと思っています。入社当初は簡単だと思っていたんですが、1年経ってトラブルもあったりして「そんな簡単じゃないな」と思うようになりました。

そもそもスタッフは一人ひとり、バックグラウンドが全員違うんですよね。でも僕らって、小・中・高・大と学生時代から同じようなグルーピングで生きてきたじゃないですか。年齢層も近かったし、仲が良い人としか喋らなかったし、価値観が合わなければ切り離せば良かった。でも、スタッフは絶対に切り離すわけにはいかないですから、そこの難しさを感じています。相手の価値観をまず理解して、上手に寄り添えないかなと。そんなことをいつも考えています。

クライアントとの折衝のために、と思って「心理学」にも興味を持ち始めました。まだWEBでちょこちょこ調べてみる、というレベルですが、考えてみるとスタッフのためにもなるんですよね。結局は人と人だから、そこにいきつくのかなとも思います。

あとは、お笑い芸人さんからもコミュニケーションスキルを学べるな、と思って本を読んだり番組を見たりしてインプットしています。バラエティ番組でMCをやっている人はものすごく頭を使って喋っているので、僕ら営業としても見て分析することは意味があることだと思います。

出産後すぐに派遣営業を思い出してもらえるなんて

産休のため契約終了になったスタッフを担当していた時のことです。ご懐妊されてからもずっと色んな調整をしていて、最後の面談の時にこんな会話がありました。

「これから育休を経て、その後はどうするおつもりですか?」
「働けるのであれば、また同じ会社で働きたいと思っています」
「そうですか、それはクライアントも喜ぶと思います」
「2年くらい先の話だから、もう小峯さんは担当として残っていないですかね……」
「どうですかね。2年後は分からないですね。もし担当を代わるとしても、後任の人にはきちんと伝えておきますので」

担当の僕が2年後にいるかどうかを気にしてくれただけでも嬉しかったんですが、そのスタッフが産休に入って1カ月後のことでした。

またメールが来まして、「無事に生まれました。体が痛くて出産直後はすぐに連絡できませんでしたが、数日前に生まれたんです」って連絡くださったんです。これはすごく嬉しかったですね。出産後にすぐ派遣営業である僕のことを思い出してもらえるなんて。

僕は自分自身がこうして携わる人材派遣というサービスは「人材のインフラ」だと誇りに思っています。ただ、どうしても世の中では悪いイメージもあって、実際に耳にすることもあります。でも、日々の営業活動のなかで頑張っている派遣スタッフをたくさん見ているので、そんな皆さんのためにも悪いイメージを払拭して地位を向上していきたいと思っています。