本記事では派遣営業の1日のスケジュールを通じて、派遣営業が日々「何を考えながら仕事をしているのか」を紐解いていきます。

今回の派遣営業:榎本 広志(エノモト ヒロシ)2014年パーソルテンプスタッフ入社
所属:第一営業本部 渋谷七課 マネージャー
勤務地:渋谷
担当エリア:渋谷区、世田谷区、目黒区、等

派遣営業(マネージャー)の1日(榎本 広志の場合)

朝9時前

渋谷七課というオフィスなんですが、7名の営業に加えて、事務やスタッフフォローを含めて11名という所帯のマネージャーをやらせてもらってます。

朝は8時前ぐらいに来て仕事をしています。子どもが生まれたばかりってこともあって、「夜は19時に帰る」って決めているんです。なので、仕事を朝に前倒しにしてる感じですね。出社したら、基本的にはまずメールのチェックをします。マネージャーではありますが、スタッフも30名ぐらい担当していますので、その方々から連絡をいただいて、派遣の営業担当者としての業務をすることもあります。

午前中

午前中の多くの時間は、ミーティングに費やしているかもしれません。各営業メンバーに任せている仕事が結構あるので、そのプロジェクトの進捗管理だったりとか、定期的なミーティングだったりとかが多いです。

派遣営業のマネージャーは基本的に、年間で与えられた予算を達成するために自分のオフィスをマネジメントします。月間のKPI*を定めて、戦略・戦術や方針を決めてPDCAを回していくというのが仕事ですね。
なので、結構やっていることは泥臭くて、数字の進捗確認とか、その数字に基づいた営業メンバーへのマネジメントというのが「基本行動」だと思っています。

そういった基本行動を徹底しつつ、営業メンバーからの相談だとか、トラブル対応をしていることが多いでしょうか。

*KPI…Key Performance Indicatorの略。重要な業績評価指標のこと

ランチ

営業同行することがあれば営業メンバーと一緒にランチをしていますが、最近はこういったご時世なので、お弁当を買ってオフィスで食べることが多くなりましたね。

ランチだけでなく夜の飲み会もできないので、メンバーとのコミュニケーションが以前よりも希薄になりがちなのが悩ましいところです。

夕方

夕方には「夕礼」というものをやってます。1日1回、オンラインも含め必ずマネージャーと営業メンバーが集まって、1日の活動報告や成果の報告をします。あとはそれぞれ役割を持ってる人たちからの進捗共有だったり、お願いごとの共有だったりもあります。

僕はマネージャーになって3年目ですけど、その前は営業担当を5年ぐらいやっていました。営業メンバーだと目の前にいらっしゃるスタッフの方やクライアントの方に全力を注ぐっていう感じでしたが、マネージャーになると距離が1つ空くんですよね。

ですので、営業メンバーを通して「いかにその先にいるスタッフの方やクライアントの方に良いサービスを提供できるか」ということは常に考えています。派遣営業からマネージャーになった人は、その辺りの思いに一定の自信がある人がほとんどだと思っています。ですから、自分も経験してきたことをメンバーに見せたり伝えたりすることを意識しています。

「人を喜ばせる姿勢」を父から学び、僕は板前になった

「その先にいるスタッフの方やクライアントの方に良いサービスを提供できるか」という考え方は、前職で身につきました。前職は和食の「板前」をやっていたんです。

僕は2012年の新卒ですが、それまで大学生時代の4年間、大学にはほぼ行かずにチェーン店と個人店で和食の仕事ばかりしていました。チェーン店では仕込みの基本やオペレーションを学んで、個人店では割と深いところまで教えてもらって。ですので、新卒では何も疑うこともなく飲食業界に入りまして、いろんな業態の店舗を運営する会社の『和食の業態』に配属されました。

そもそも大学生時代に飲食の仕事をしていたのも自然な流れでした。子どものころから父親が料理好きで、趣味として家で本格的に料理をやっていたんです。

いろんな人が家に遊びに来ては父が料理を振る舞い「美味しい美味しい」って喜んでくれる。そんな姿を見ているうちに「自分もやりたいな」と思うようになりました。きっとその時に、「“人に喜んでもらえること”がいかに素敵なことなのか」っていうのをダイレクトに感じられたのかなと思います。

僕も小さいころから料理をやるようになって、小学校の家庭科の授業ではヒーローみたいになっていましたからね。

ロサンゼルスで感じた「自分の裁量でサービスを提供する楽しさ」

新卒で飲食業界に入って和食の店舗で働くうちに、会社で「海外に新店を立ち上げる」という動きがありました。僕も英語の勉強を始めたところ、1年目の終わりごろに行かせてもらうことになったんです。

ロサンゼルスのエンシノだったり、モンロビア辺りの新店に入って、焼き場での調理法なんかを現地の子たちに教えたり、マニュアルを自分で作ったり、そうして店舗のオペレーションを構築していきました。

その時にロサンゼルスで感じたのは、「国は違っても、お客様との距離感は変わらない」ということ。やっぱり、自分が出した料理がお客様の元に運ばれていって、1口食べた時の美味しそうな顔を見た瞬間の喜びっていうのは万国共通なんですよね。だから、「もっと喜んでもらいたい」ってすごく考えるようになっていきました。

マニュアルを自分で作っていたので、原価率さえある程度キープしていれば、お客様の好みに合わせてアレンジするとか割と自由にできたんです。国内のチェーン店ではどうしてもマニュアルをある程度は守らなきゃいけなかったので、自分が裁量を持った状態でサービスを提供できることがすごく楽しくなっていきました。

ただ、ロサンゼルスでの役目を終えて国内のチェーン店に戻ってきた時に、「マニュアル通りじゃないサービス提供がしたいな」という思いが強くなっていて。「でも、独立するのもまだ早いし、どうしよう……」と悩むようになりました。

大切なことは、不信感を与えず感動を届けること

結局、それまでの経験はムダになるかもしれないけど「料理は父のように趣味に留めておくようにしよう」と考えて、転職することにしたんです。それで、登録していた転職エージェントのキャリアカウンセラーと話をしていたら、「榎本さんは、人とのコミュニケーションで喜んでもらえることに生きがいを感じる人だから、営業が向いていますよ」とアドバイスされました。

さらに、「人材系サービスの営業がいいと思います。その中でも『派遣』は、喜びの数が1ヵ月のうちにたくさんありますし、人から感謝されることも多いですよ。もちろん自分次第ですけどね」って言われて、「じゃあ派遣営業になろう」ってすんなり決めました。

それで、当社の面接を受けたときに、「人を大事にする会社」「人に対する思いが強い会社」ということを感じて、すぐに「ここで働いてみたいな」と思って。だから、人材会社は結局1社しか受けていなくて、そのまま内定をもらって入社しました。

「よし、ゼロからのスタートだな」って意気込んで働きだしてみたら、『サービス業』という意味では飲食も人材も根本は変わらないな、って思ったんです。そもそも僕は、サービス業の定義として「相手の想像を超えて、感動をお届けすること」だと思っていて。

飲食でも、たとえばお客様のグラスが空いていたらお声がけするのは当たり前でした。そうしないと、お客様は「言わないと来てくれない」と感じて不信感を抱いてしまいます。

さらに、一度来店されたお客様の嗜好などは覚えておいて、次に来店してくださった時には、それを食事やサービスに反映させて提供していく。そうすることで、お客様の想像を超えることになって喜んでいただけるわけです。

この考え方は、派遣営業の仕事でも同じだと思ったんですよね。だからこそ自分はこの業界でも頑張れているし、ありがたいことに役職も与えられて任されているんだな、と。最近になって、「板前の経験もムダじゃなかった」「まったくのゼロからのスタートではなかったんだな」って思うようになりました。

マネージャーという立場ではありますけど、「スタッフに不信感を与えないようにする」とか「相手の想像を超えて感動をお届けする」といった考え方の派遣営業が1人でも増えるよう、これからもしっかりとマネジメントしていきたいです。

そうして、喜んでくれるスタッフの方やクライアントの方が1人でも増えたら、僕も嬉しいですからね。