田中は、子どもの頃から「図面」を見て育ったといいます。

田中:父が自営業で内装屋をやっているので、いつも建築設計をしていました。小さい頃から図面をひく道具で図面を書いているのを家で見ていたんです。母も不動産に詳しいし、弟もその影響で不動産売買の営業をやるようになって。

広域第三事業本部 CAD一課田中 絵美

そんな『不動産一家』ともいえる家庭で育った田中。小さい頃は大人しい性格だったようですが、小学生時代に大きな変化があったといいます。

田中:私が小学校5年生の時に、父が家を買った関係で引っ越しをすることになって。そこから周囲に馴染もうとしたのもありますけど、すごく社交的な性格に変わりました。でも、そのほうが“素の自分”だという気がしましたね。

『不動産一家』で育つなかで、本来の「陽気で社交的」な性格が解放されていった田中。新卒で不動産営業の道へ進みつつも、何度となく転職を繰り返していきます。

田中:母がジュエリーのお店をやっていたこともあって、アクセサリーとかキラキラしている物が好きでアパレルの仕事もしていました。そんな感じでアパレルをやったり不動産営業をやったりと、フラフラしていましたね。

そんな田中は、テンプスタッフに登録したことを機に派遣社員として働き、のちに縁あってパーソルテンプスタッフに入社することに。ただ、未経験の中途採用ということもあり「契約社員」からのスタートでした。田中は、この点に悔しさを覚えたといいます。

田中:負けず嫌いなところがあって、「契約社員からのスタート」というのがなんだか悔しかったんです。でも、先輩の皆さんはいい方だし、バックアップもすごいしてくれるし、何とか食らいついていこうと思いました。

そして無事に正社員登用試験に受かった田中でしたが、その時に転機が訪れます。

田中:営業3人でチームになって新規事業を考えて発表する、というのがありました。その時に、私たちのチームは「不動産」に特化した事業を考えたんです。それで、上司の前で発表した際に質疑応答の時間になって。私が不動産に詳しかったこともあって、質問に次々に答えることができたんですよね。それで本部長に声を掛けられて……

不動産に詳しい田中を見て、「CAD事業部に行ってもらったほうがいいんじゃないか」と判断した本部長。そうしてCAD事業部に配属された田中は、『水を得た魚』のように動き回ります。しかし、数字を追い求めて動き回る営業ではありません。田中は、「とにかく人が好き」な営業なのです。

田中:アポイントに行くのがまったく苦じゃないんです。とにかく、クライアントでもスタッフでも誰かに会うのが楽しくて。だからコロナ禍になる前は毎日のようにスタッフと待ち合わせてランチにも行っていましたね。仲良くなると、いろんなことを相談してくれるし、現場の情報も教えてくれるし、よいことしかないんですよ。

実際、スタッフから「BIM/CIMに興味があります」「そういう研修は、テンプスタッフではやってないんですか?」という声をよく耳にするようになった田中。自分が担当するクライアントに得意な企業がいると気づくとすぐに動き、研修の企画を立ち上げていったのです。

田中:あまり深く考えずに、「無いなら作ればいいんじゃない?」って思ったんですよね。困っているスタッフがいて、得意なクライアントがいて、私は繋がりがある。できなくはない。だったら、作ればいいんじゃないかって。

そうして活発に動き回り、CADの派遣スタッフに寄り添い、耳を傾け続けた田中。そんな田中には、スタッフからの「感謝の声」も数多く寄せられていきました。

田中:少し前に印象的だったのは、何回も「やめたい」って相談をもらっていた40歳くらいの女性スタッフの方でした。

そのスタッフと出会ったのは5年前だといいます。例によって“何でも相談し合える仲”になっていた田中は、仕事に対する不満や改善点について耳を傾け、寄り添い続けていました。しかし、それでも解消できなかったようで、「本当にやめます」というメールが来たのです。

私、次の更新で本当にやめようと思ってます。
でも、田中さんがいたからここまで来れました。
田中さんには感謝しかないし、本当に営業担当が田中さんでよかったです。
田中さんじゃなかったら、もうとっくにやめていましたから。

次の更新でやめたとしても、田中さんとお別れするわけじゃないですからね。
また、ランチとか行きましょうね。

田中:メールをもらって、本当に嬉しくて。でも、お別れになっちゃう寂しさもあって。複雑な思いのなかで、こみ上げてくるものがありました。その時、『このメール1つで終わるなんて嫌だ』と思って、『1回話そう』って言って話したんです。それで『先方の会社からあなたは必要とされているし、私もやめてほしくない』みたいな思いをぶつけて…… 結果的には、今も続けてくれています。

派遣スタッフが抱いていた不満や、抱えていた不安を払しょくするためにも無我夢中で動いていった田中。

田中:今でも面談に行くと「ほんとに、田中さんいなくなったらやめちゃうからね」って冗談交じりで言ってくれますね。そんな時、自分の『介在価値』というか、この場に居て、このスタッフと関わることができてよかったなって感じます。

田中が「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。 

田中:自分自身の可能性は無限に広げた方がいい、ということですね。まあ失敗することもあると思いますけど、「やらなきゃ何も変わらない」と思ってるので、スタッフのためにやったほうがいいと思ったことや、こんなものがあったらいいって思ったら、すぐ動くようにしています。

そんな動きから「BIMの研修」も「CIMの研修」も企画して開催し続けていますね。
https://www.tempstaff.co.jp/kmenu144/skillup/
他にも、CIMと連動する「GIS」っていうソフトの研修も新たに追加しました。「やっぱりこれもセットでやっていった方がいいな」って、現場で感じたんです。

これからも、現場の声を拾いながら動き続けていきたいですね。