「スタッフの方と向き合う時に一番大事にしていることは『嘘をつかない』ということです」と、東中川は言いました。

東中川:異業種から中途で入社したので、はじめの頃はそんなことも考えられずにいましたけどね。

「嘘つきな派遣営業にはならない」と語る東中川

第二営業本部 横浜五課東中川 孝

6年前に中途入社し神奈川県の厚木オフィスへ配属された東中川が、いまなぜ「嘘をつかない」と言いきるのか。その理由を聞こうとすると、「いくつかあるんですよね」と口にしてから説明してくれました。

東中川:1つは「土地柄」の違いもあると思います。都内と違って僕が担当していた厚木や鶴見などは、そもそも求人数もそんなに多くはないんです。だから、1つの仕事が終わったら「じゃあ続いてはこの仕事、どうでしょう」という風に次から次へと紹介しにくい。だから、そのためにも『一人ひとりにしっかり寄り添う』『自分のファンになってもらう』ということを意識しないと難しかったんです。

自身のことを信頼してもらうことで、仕事が紹介しやすくなる――。「だから、信頼してもらうためにも、嘘をついてはいけないわけです」と東中川は言いました。

「嘘つきな派遣営業にはならない」と語る東中川

また、「はじめの頃はそんなことも考えられずにいた」とも言いますが、考えるようになった『キッカケ』もあったようです。

東中川:ある40代後半のスタッフの方から、よく将来のことを相談されていたんです。「私、今後も仕事はありますかね?大丈夫ですかね?」という感じで。そうした時に、僕はいつも励ますように「大丈夫ですよ!」って言っていたんですね。

しかし、派遣であれ転職であれ、“年齢”という要素が少なからず仕事探しに影響してくることはあります。それがゆえに、東中川は少し後ろめたい気持ちも抱いていたと言います。

東中川:「こんな無責任なことを言うのは、本当はよくないのかもな……」っていうのは、すごく感じていました。そうしたら、不信感を抱いたスタッフの方からバシッとこう言われたんです。

私たちの世代は就職をするときにいわゆる『就職氷河期』の時代だったんです。
だから私には、派遣という選択肢しかなかった。
そうしたら、職歴がどんどん細かく、細かくなってしまっていったんです。
そうなったら、今後は仕事を探すのが難しくなるのではないでしょうか?

だから、私たちみたいな人を救ってください。不安を払しょくしてください。
そんな、無理やり「大丈夫」と言って、希望を持たせてくれなくていいです。
しっかりと真実を伝えてほしいんです。

東中川:そう言われて、ハッと気づかされました。それまでは、不安になっているスタッフの方を元気づけようとポジティブな意味で「何とかなります」みたいな返答をしていました。でも、いろんな現実を目の当たりにしてきたスタッフの方からすると、「そんな慰めはいらないから、リアルなことを言ってほしい」ということだったんですよね。

それからというもの、ファンになってもらうだけでなく、目の前のスタッフの方が思う幸せに向かって、可能な限り真実を伝えるようになったと言います。

実は『真実を包み隠さず伝える』という姿勢は、もともと東中川の中に存在していたものでした。東中川は、その重要性を思い出していったのです。

東中川:僕は前職でイタリア料理のコックをやっていたんです。大学を中退して料理の道に入り、トータル10年ですかね。料理の世界って嘘をつけないんですよ。ごまかしが効かない。お客様の口に入るものですから、「これでいいや」とか「その場しのぎ」が通用しなくて、そのまんま評価される仕事だったんです。

「嘘つきな派遣営業にはならない」と語る東中川

さらに東中川は、4年ほど勤めたイタリア料理店を辞め、別のイタリア料理店に移ってさらに6年間コックとして働いていきます。なぜ、途中でお店を変えたのでしょうか。

東中川:最初の店舗は割と添加物みたいなものを多用していたんです。それはそれですごく美味しくなるからいいんですけど、イタリアンを追求していくと「いかに素材の美味しさを包み隠さず出せるか」みたいな話になっていくんです。だから、添加物を使わず素直にありのままの素材で勝負してみたいなっていう思いがあって。それで、そういうコンセプトのお店に移ったんですよね。

もともと心の奥底で『包み隠さず正直に仕事をすること』を重要視していた東中川は、派遣営業になって忘れていたその気持ちを思い出していったのです。

東中川:あんまりガチャガチャ盛り込んでいくのは、もともと嫌いだったんですよね。だから、話を脚色しないで伝えるっていうのは自然とやるようになっていきました。

今は横浜を拠点として動き回り、「スタッフの方に向き合っている社員」が表彰される社内のアワードを何度も受賞する、まさに“ファンが数多くいる派遣営業”になっていったのでした。

「嘘つきな派遣営業にはならない」と語る東中川

そんな東中川に、仕事で大切にしていることを聞いてみました。

東中川:最初に言った「嘘をつかない」ということと、もう1つが、『2年後、3年後を一緒に考えながら接する』ということです。

派遣だと3年経ったら次はどうする?という話が絶対出てきます。そうした時に、将来的に何か少しでも描いているものがあるとしたら、その3年で何をするかが大事になるわけです。そこを一緒に考えながら、「じゃあ今はこれをやりましょうよ」とか、「ここがあなたのウィークポイントですよね」とか、そういった話をするようにしています。

もちろん、話をするときには『正直に』ですね。
これからも、スタッフの方の未来を一緒に考えながら誠実に寄り添っていきたいと思います。

「嘘つきな派遣営業にはならない」と語る東中川