「テンプスタッフでもまた同じ流れですか……」
求職者のコーディネートを担当する相馬の目の前で、IT業界を志望していた22歳の男性は不満を口にしました。

相馬:ただただ、「何とかしてあげたいな」という気持ちがすごくありました。

キャリア推進本部 第二総合登録センター相馬 幸子

面談に訪れたその男性は、高校時代から6年間コンビニでアルバイトをしていましたが、IT業界に行きたいと思うようになり転職活動をスタート。パソコンスクールでワードやエクセルは勉強しましたが、それ以上の高度なパソコンスキルが求められる希望の業種ではなかなかエントリーが通らないようで、悩みを抱えた状態でした。

相馬:すごく前向きにインターネット関連の企業に行きたいということだったので、「それなら、少し回り道に思えるかもしれないけれど、まずは“未経験でも可能なお仕事”というところから始めてみては」ということでオフィスワークの経験を積んでみることを提案させていただきました。

相馬は未経験でも割と募集の多い「テレマーケティング」の仕事を提案。しかし、その男性は相馬からの提案に不満を隠せなかったようです。

相馬:「テレマーケティングだったらどこに行っても紹介されるんですよね。テンプスタッフでもまた同じ流れですか……」という一言が返ってきてしまいました。

しかし相馬はあきらめませんでした。男性のキャリアビジョンを細かく質問しては聞き出していき、そのキャリアの第一歩として今のこの瞬間の判断がとても重要であると考えました。そして、テレマーケティングの仕事についても誤解があると感じ、「いかに魅力的な仕事であり、キャリアの第一歩として相応しいのか」をしっかりと説明しようと考えたのです。

相馬:「テレマーケティングだったらオフィスワークの経験も積めるし、あなたがパソコンスクールで習ったワードやエクセルもすべて活かせます。研修もテレマーケティングだったらきちんとそこで2カ月くらいOJT期間もありますよ」といった話をしていきました。

研修を受けてテレマーケティングという仕事で経験を積みながら、希望とするインターネット関連の企業に行くための第一歩が踏み出せると説いていった相馬。その後もテレマーケティングの魅力や、この仕事がいかにこの男性にとって重要な最初の一歩になるのかを伝え続けていくと、頑なだった男性の表情が変わっていくのを感じました。

相馬:「そうか、研修を受けられるんですね」「勉強しながらインターネット関連企業を目指せるんですね」と、繰り返してつぶやき始めたんです。表情が変わってきたので、「他社さんでは何て言われたんですか?」と聞いてみたら、「ただテレマの概略だけしか話してもらえなかったんですよね」ということでした。

テレマーケティングの仕事がいかに適しているか、経験することで次にどうつながるか、といった部分を面談でお伝えしていったことによって、男性は「ちょっとやってみようかな」と乗り気になっていきました。
そして数日後、実際に提案した企業を訪問したという男性から、相馬のもとへ連絡がありました。

相馬:「3日後から働くことが決まりました」ということでご来社されました。

相馬:様子をうかがうと、実際に職場で仕事内容を聞いてみて「テレマーケティングって思っていたよりも面白そうだし、自分にとってプラスになりそう。これだったらできそうだ」と思ったみたいです。あと、オフィスで働くイメージがなかったので、実際にその場の雰囲気を見れたことや、同年代の方もすごくいらっしゃって働きやすそうな環境であったことが良かったみたいですね。

そして、男性は最後に、相馬に対して言い残してくれたことがあったようです。

相馬:「僕に対して、ここまで詳しくいろんなことを聞いてくれた会社はなかったので、今回、テンプスタッフにきて良かったです」ということを言われた時には嬉しかったですね。親身になって考えたことが、彼にとってプラスになって本当に良かったな、とすごく感じました。

そんな相馬に、「仕事で大切にしていること」を聞いてみました。

相馬:相手の気持ちになって寄り添うことですね。

正直、「寄り添う」という部分は私の中ですごく難しいことだと思っています。単に表面的に寄り添うのではなくて、真にその方の気持ちを汲み取ったうえで共感する、ということを重要視しているんです。ですので、事前に「その方はどういう方なのか」ということを想像しながら面談に臨むようにしています。