パーソルテンプスタッフへ登録面談に訪れた、50代前半の女性の方。彼女の不安そうな表情が、中村の目にはとても印象的に映っていました。

中村十数年のブランクがある方でした。他の派遣会社にも行ったりしていて、なかなかお仕事の紹介が無いと。それで、うちに来た時には相当お悩みになられていて、「私なんて」といいながら常に下を向いている状態でした。

広域第三事業本部 CAD・Creative事業部中村 明子

ひどく落ち込んでいる女性を前に、中村は「まずは安心してほしい」という思いを伝えることから始めました。

中村「うちでは大丈夫です。あなたの経験でも十分仕事はあります」と伝えました。まず自信を持ってもらいたかったんです。「そもそもご年齢や経験をご自身で否定するような感じになっちゃうのはもったいないですよ」と。そして「あなたのこういうところが強みになるんですよ」というお話をさせていただきました。

十数年のブランクはあるけれど、強みとなる経験があるところに着目した中村。これまでの経験から「紹介先は絶対にある」という確たる思いが、スタッフの心に小さな灯をともそうとしていました。

中村「いかに雇用を創造出来るか」ということを常に意識していましたし、少なくとも過去の経験から「ここだったら話が進むだろうな」というのがありました。だから「仕事はありますよ」と自信をもってスタッフの方に向かって言い続けました。

スタッフの自信を取り戻そうとする中村の対応は、これまでの豊富な経験からくるものでした。今でこそ当たり前のようにしている対応ですが、実は、過去の中村はそうではありませんでした。

中村私、入社した時から自分のことしか考えてないような仕事の進め方をしていたんです。ただ、3年前の仕事始めの日に上司から「自分の事ばっかり考えてたらダメだよ」と言われたんです。「謙虚に、人のためにやりなさい」という話をされて、それがずっと心に残るようになりました。

入社以来ずっと数字ばかりを追い求めていた中村に、上司からの言葉が突き刺さりました。どうしたら人のためになれるのだろうか。自問自答を続けながら、徐々に「人の人生に関わる仕事をしている」という責任と自覚が芽生え、中村は変わっていきました。

中村結局、誰かが言ってあげないと、絶対に自分では気付けないことってあるんですよね。だから、「あなたのこの経験を活かせば、年齢なんて言い訳にしなくても働けるんですよ。そこは自信持ってください」とスタッフの方にお伝えすることが増えました。

それが相手のためになるのであれば、言いにくいことでも一歩踏み込んで伝えていきたい。かつて自分が言われて、変わったように。それが「謙虚に、人のため」に自分ができる仕事だ、と中村は考えるようになっていきました。

中村言って何かがプラスに変わることがあるんだったら、言ったほうがいいと思うんです。自分自身、なにも指摘されてなかったり、なにも注意されなかったりしたら成長なんて無いなと思っていて。そう思っているからこそ、「言わなくてもいいや」って自分が考えてしまうと、その人を見捨ててしまうことになっちゃうんじゃないかなって。

中村の声掛けによって自信を取り戻したスタッフの方は、それから無事に仕事もみつかり働き始めることになりました。数日したある日、そのスタッフの方からこんな内容のメールが届いたといいます。

「あのとき、中村さんに背中を押してもらって、すごく自分に合った就業先も実際に紹介してもらって、本当に感謝しています」

中村あのメールをもらって、自分が介在している価値を改めて実感しましたね。

そんな中村にとって、この仕事はどんなものであると考えているかを聞いてみました。

中村:この仕事は、その人の人生の中での大きな節目を担っていると思っています。まさに、「人の人生に関わる仕事」です。

選んでくれた仕事に対してすごくイキイキとスタッフの方が働いているのを見聞きすると、やっぱり自分も嬉しいですよね。