子どもが小学校に上がって1年生になると同時に、仕事と子育ての両立が急激に難しくなることから名前がついた「小1の壁」。
派遣社員としてフルタイムではたらく東山さん(仮名)の前に、今年まさに分厚い「小1の壁」が立ちはだかりました。

小1と年中のお子さん二人を育てながら、不安を抱えつつも「数々の工夫をすることで乗り越えることができた」という東山さん。では、どのように小1の壁を乗り越えたのか。お話を伺いました。

派遣ママ:東山さん(仮名)派遣スタッフとして証券会社の企画課に勤務。iDeCoとNISAなどを推進する部署で、ExcelやAccessを使ったデータ周りの事務作業を担当している。業務経験は1年半ほど。

「小1の壁」その①:学童へのお迎えに間に合うのか?

まず「小1の壁」を前にして、どのような不安がありましたか?

1年生になる上の子だけでなく、年中さんの子もいるので、それぞれ別のところにお迎えに行かなくてはならなくて。まず「体力的に大丈夫かな?」という不安がありました。それから、「職場に対して色々とご迷惑をかけてしまうのではないか?」ということですね。

ああ、わかります。

「派遣の契約の更新が難しくなるかな……」なんて、不安に感じたりもしましたね。

なにか対策はされたんですか?

早い段階でテンプスタッフの営業さんに相談して、はたらくうえでの要望をお伝えしましたね。以前の職場は遠かったので、子どもの送り迎えのことも考えて距離的に近い会社を紹介していただきました。そのうえで、学童へお迎えに行く導線をめちゃくちゃ考えましたね(笑)

なるほど。旦那さんとは何か対策についてお話しをされたりしましたか?

ええ、主人は週のうち3回ぐらいは夜遅いので、お迎え当番を交代制にしました。ありがたいことに主人は料理が得意なので、安心してお互いフォローし合えているかなと思います。

それはいいですね。

そもそも私がフルタイムではたらきたい派で、はたらいていることで自分もやりがいを感じられるんですよね。それと、フルタイムではたらけば多少は家事を見逃してもらえるかなと(笑)。

なるほど(笑)

それだけじゃなく、分担しながらお互いに自分の時間をつくることは必要かなと思います。自由な時間があるとリフレッシュできますし、それがまたやる気にもつながっていきますね。

「小1の壁」その②:夏休みのお昼ご飯をどうする?

ほかに「小1の壁」を感じる点はありましたか。

夏休みも大きな壁を感じましたね。学童で預かってもらうにしても、給食がないですから。そこの不安は大きかったです。

実際、どうされたんですか?

職場の就業開始時間が8:30で、学童へ預けられる時間も8:30からなので、夏休み中は20分ほど遅れて出社させてもらいました。朝の20分は通常の1時間と同じくらいの価値がありますからね。お弁当作りもそこでなんとかクリアしました(笑)

朝の20分は大きいですよね。

先ほど「テンプスタッフの営業さんに、はたらくうえでの要望をお伝えした」と言いましたが、こういった部分も伝えていました。どうしても子どものことで突発的に休む可能性もあるので、「なるべく理解のある職場が良いです」と。実際、かなり融通をきかせてもらっているので、本当に助かっています。

お子さんの習い事はどうされているんですか?

送迎に行ってますね。15:10まではデイリー業務があるのですが、それが終われば早退することもOKにしてもらっています。こうしたことができているのも、今の職場を紹介していただいたおかげですね。

本当に良い職場で良かったですね。

はい。職場にも既に「小1の壁」を乗り越えた先輩ママさんがたくさんいるので、その当時のことなども聞きました。まさに最近、急なお休みをしたんですが、「お大事にね」と声をかけてもらえたり、仕事上のフォローもしてもらえたりして嬉しかったです。気持ち的にも、とてもはたらきやすいですね。

「小1の壁」その③:学校からの書類と宿題が多すぎる!

実際にお子さんが小学校へ上がられてから苦労したことってありますか?

入学式から給食が出るまでの4月から5月前半は生活リズムも変わったので、慣れるまでが大変でしたね。保育園のころと比べると提出物もいろいろあって、かなり膨大な量で驚きました。

宿題やら連絡ノートやらプリントやら大変ですよね。

学校との書類のやりとりも基本的に紙ベースなので、すべて紙で回答しなくてはいけないし物理的に溜まっていくし大変ですよね。IT化が進んで、今後は減っていくようではあるんですけど。

何か良い方法はありましたか?

私は同じようにはたらくママ友とLINEでつながって、いろんな情報を共有させてもらってます。たとえば、スマホの中で書類を見返すことができるように書類は写真に撮っておいたり、保存についてはPDF化してフォルダ管理したり。ペーパーレスにする工夫を教えてもらって実践しました。

なんだかもう仕事みたいですね(笑)

ですよね(笑)いずれは子どもの宿題や作品も写真に撮ってすぐに整理するような流れも作りたいんですが、まだ手が回ってないですね。全て残しておけば、あとで簡単に見返すこともできますから。

ちょっとした工夫で、小1の壁は乗り越えられる

他になにか工夫されたことはありますか?

就業してからは、職場環境を自ら整えておくこともやっていますね。

職場環境を整える、というのは具体的にどういうことをやられているんでしょうか。

突発的に休みになったときのために、自分の業務を自分以外の方でも対応してもらえるようにしています。マニュアルをつくっておいて仕事の進めかたを周りに共有しておいたりして。

なるほど。理解ある職場に甘えるだけではなくて自らも手を動かす、ということですね。

はい。子育て世代が多くて同じ状況なので分かりあえる部分も大きいのですが、それだけではダメかなと。社員さんからの指示だけではなく、派遣スタッフ同士でお互いに仕事をサポートし合えるような工夫も意識しています。

では、実際に「小1の壁」を経験された先輩として、これから壁を迎える方に何かアドバイスをお願いします。

そうですね。私は現在、「家族中心ではたらいてくださいね」と言っていただけるぐらいに、とても理解ある職場ではたらけていてラッキーだと思います。ただ、そのためには、職場にも、派遣会社さんにも、自分が希望することはきちんと伝えておいたほうが良いかなと思います。

やはり、そこはとても大切ですか。

ええ、あとはタイミングですね。今の職場には少し慣れた状態で「小1の壁」に立ち向かうことができたので、そこはタイミングが良かったんだと思います。もし、転職を考えている方がいたら、小1になってから職場を変えるのではなく、その前から仕事や生活に慣れておいた方がうまくいくと思いますね。

派遣ママ・東山さんの「工夫」まとめ

・派遣会社に、自分が希望することはきちんと伝えておく
・旦那さんと話し合って家事を分担し、お互いに自分の時間もつくる
・はたらくママ友とLINEでつながって、色々と情報を共有
・学校からの書類はデジタル化して管理する
・派遣スタッフ同士でお互いに仕事がし合えるようにしておく
・子どもが小1になるタイミングでは、自分の仕事と生活を安定させておく

東山さん、素晴らしい工夫のお話とアドバイスをありがとうございました!