これは、テンプスタッフを通じて派遣社員として働く岡崎さんのお話です。
岡崎さんは、大阪・関西万博のあるパビリオンでお仕事をされています。大阪・関西万博といえば、2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで、大阪市此花区の夢洲で開催されている国際的な博覧会。
なぜ岡崎さんが大阪万博で仕事をすることになったのかを探っていくと、意外な経歴と予想外のきっかけが明らかになりました。
岡崎さんは現在(2025年5月)、大阪・関西万博のあるパビリオンでお仕事をされているとか。
はい、『大阪ヘルスケアパビリオン』のなかにある企業ブースで、お客様にご案内をする仕事をしています。

高知で看護師を目指して看護助手に
派遣のお仕事は今までも何度かされていたんですか?
いえ、今回が初めてです。初めてで万博のお仕事って、自分でも驚きですけども。
どういったきっかけから派遣で働くことになったんでしょうか。
きっかけは……、オンラインゲームでしょうか。
オ、オンラインゲーム?
ええ、オンラインゲームで知り合った友達に勧められて。
えっと……ちょっと順を追って聞いていきましょうか。まず出身地と最初のお仕事を聞いていいですか?
はい。高知県が出身なんですけど、地元の高校を卒業して病院に勤務しました。そこでは看護助手の募集をしていたんですけど、看護師になりたくて。
へえ、看護師ですか。なぜ看護師になりたかったんでしょうか。
親の影響ですね。うちは親戚も医療系が多くて、母親からも「いい仕事に就きなさい」「看護師になりなさい」ってずっと言われていたんです。妹も看護師ですし。

それで、まずは看護助手に。
ええ、それが……
事故に遭い、入院中にハマったオンラインゲーム
入った病院では“介護助手”の仕事しかなくて。介護士の資格しか取れないみたいなのでそこは辞めて、アミューズメント施設に転職しました。そっちはお給料が良かったので。
あらら……。あ、お給料がいいということはお金を貯めて……
ええ、看護学校に通おうと考えました。まあ、そんなに甘くなくて、奨学金も借りましたし入学後も仕事は続けましたけど。
それでも通ったのはすごいですね。看護学校って3年間でしたっけ?
それが、1年生の最後の日に交通事故に遭って入院しまして……。右のアバラ骨2本と、右足のくるぶしを骨折して。
うわあ、それは大変でしたね……。通学にも支障が出てしまったのでは。
実習に参加できなかったので、1年留年せざるをえなくて。結局4年通いましたね。
じゃあ入院中は何もできずに、もどかしかったでしょうね。
はい。でもアミューズメント施設で一緒に働いていた友達に勧められて、オンラインゲームにハマってました。戦闘系で、チームを結成しながら他のプレイヤーと戦うゲームです。入院中ずっと隠れてやってましたね(笑)
そうでしたか(笑)

オンラインゲームのオフ会で友達作り
それで、卒業後は晴れて病院勤務に。
ええ、自分が入院したのを機に「手術室で仕事がしたい」という夢ができて。総合病院だったので、色んな科で手術のお手伝いができたので楽しかったですね。
手術室で仕事がしたい……
はい。あの何とも言えない空気感が好きなんですよ。変わってますよね(笑)ただ、そこの病院ではキャリアとかで手詰まり感があって悩むようになりまして……。
そうですか。どなたかに相談はしたんですか?
オンラインゲームで知り合った友達に相談しました。その子は大阪の子で、「こっちやったら道がいっぱい広がってるよ。大阪に来たら?」って言ってくれて、「よし、大阪に行こう」って。
へえ、すごい展開ですね。その子とは会ったことあるんですか?
もちろんです。オンラインで仲良くなった人たちと『オフ会』とかやるんですよ。一度集まった時は、神戸の人とか長崎の人とか新潟の人とか沖縄の人とか色んな人がいて、友達がたくさん作れて楽しかったです。
オンラインできっかけができて、オフ会で会って実際に仲良くなる、と。
ええ。それで大阪に来て、病院に勤務しました。ただ、3か月で切られてしまったんですよね。
え!?なんでですか?
介護施設は忙しすぎて心も身体も疲れてしまった
実は、中学生ぐらいの頃から聴力が弱くて、難聴で補聴器をつけているんです。

それが、その病院で仕事をするうえでは結構ネックで……。ドクターの声がめっちゃ小っちゃくて聞こえなかったりして支障が出たんです。
なんと……。そうだったんですね。
それで次は介護施設で働くことにしました。そうしたら途中から「訪問看護ステーション」が立ち上がって、「管理者になってくれんか」って言われたんです。それで管理者になってみたものの、その施設はすごく過酷で。
やっぱり、忙しかったですか。
日付が変わっても帰れないとか、やらなきゃいけないことが多すぎました。事務作業とか記録作業とかありすぎて、家に帰っても休みの日でも仕事をしないといけませんでしたから。それで、だんだん心も身体も疲れてしまって。
それは当初の「看護師になりたい」っていう思いからズレてきましたね。
そうなんですよ。だから、私自身も全然楽しくなかったんです。そんな話も友達には相談していましたけど。
例の、オンラインゲームで知り合った友達ですか。
ええ。で、その子がずっとテンプスタッフの派遣スタッフとして働いているみたいで、「テンプに登録しとってみたら?」って言われて。
なんと!そこで繋がるわけですね。
それで、仕事を探したらちょうど大阪万博の仕事があって興味を持って。一番惹かれたのは、「手話ができる人は活かせます」って書いてあって「あ、めっちゃいいやん」って思ったんです。
ヘルスケアパビリオンで白衣を着て仕事
え、手話ができるんですか?
ちょうど習ってたんです。簡単な挨拶や自己紹介はできますね。

ただ、習っててもなかなか日常で活かせられなくて、どこかで使えないかなって思ってたんですよ。
なるほど。それで、実際に4月から働くようになったんですか。
はい。大阪ヘルスケアパビリオンの企業ブースで白衣を着て仕事をしているんですけど、まさか白衣を着るなんて何だか不思議なつながりを感じますね。
確かに!手術室で働いていた看護師さんがヘルスケアのパビリオンで白衣を着ているって面白いですね。で、どうですか実際に万博のお仕事は?
通勤時間が今までで一番長いのがしんどいかなって思いましたけど、シフト勤務なので残業もないですし、仕事自体は楽しんでます。
具体的にはどんなお仕事なんでしょうか。
来ていただいたお客様に展示コンテンツを「どうぞ体験してください」って促したり体験方法を説明したりするお仕事なんですけど、色んな方がいらっしゃって面白いですよ。

海外の方もたくさんいらっしゃいますもんね。
英語は全然喋れないので、なんとか分かる単語だけで話すんですが、最後に笑顔で「センキュー」って言われたらやっぱり嬉しいですね。そういうところはすごく万博っぽいですし貴重な体験やな、と思ってます。
会期中にも国内旅行へ。終わってからは海外旅行へ。
手話は使われているんですか?
残念ながら今のところほとんどないんですよね。手話でサポートされる方が同伴していたりして。でも「手話ができるスタッフがいる」というだけで安心してもらえると思いますし、いつか活かすことができたらいいなと思います。
そうですか。なんだか大阪に来てずいぶんと環境が変わりましたよね。
そうですね。大阪に呼んでくれた友達に感謝したいです。

そのお友達ともよく会っているんですか?
ええ、来月も4日間、北関東へ一緒に旅行に行くんです。テンプスタッフには登録する時から「この日は休みます」って伝えていたので、安心して行けます(笑)
いいですね。休日も充実しているようで良かったです。
10月で万博は終わりますけど、その後も友達と一緒に韓国への旅行を計画しています。初めての海外なので楽しみすぎますね。
わあ、それは楽しみ。万博の後のお仕事は何か考えているんですか?
どの道に行くかまだ迷ってます。派遣を続けるか、看護師に戻るか、別の仕事を探すか。まあ友達にも相談しながら、ゆっくり考えていこうと思います。