博多でコーディネーターをしている木崎は、意外なことを口にしました。

木崎:目の前にいるスタッフに、「もしかしたらテンプスタッフで派遣社員をやるメリットはないかもしれない」と感じることもあります。そんな時はもちろん勧めません。

hakken20231211_2_kizaki.png

西日本コーディネートセンター 木崎 美穂

木崎がなぜそのようなことを口にしたのか。彼女のこれまでの歩みをひもとくと理解することができました。

木崎:もともと営業職を中心に9年ほどやっていました。先方のお悩みをヒアリングして、その解決策になる自社の商品をご紹介する、という感じです。

hakken20231211_3_kizaki.jpg

しかしその後、退職を余儀なくされることに。

木崎:親の看病や、結婚や、いろんな事情が重なって退職したんですよね。その後に子どもを出産しましたが、育児をしながらどうしても仕事がしたくて派遣に登録しました。

半年間、派遣社員としての仕事を経験。そしてまた別の派遣会社に登録に行ったところ、営業経験を買われて「うちで営業をやらない?」と声を掛けられたのです。

木崎:地域密着の派遣会社だったので、派遣営業とスタッフフォローを兼任していました。その後、九州に移り住んだあと一度退職をしたんです。

福岡に移った木崎は、再び働く場所を求めて仕事を探します。すると、友達からテンプスタッフを勧められたのです。

木崎:「友達紹介」で登録しに行って1,000円はちゃんといただきました(笑)。でも、また「スタッフフォローの経験があるなら、うちで」ということで声を掛けられ、テンプスタッフでコーディネーターとして働くことになったわけです。

hakken20231211_4_kizaki.jpg

「正社員での営業」や「出産・育児」、そして「派遣社員」や「スタッフフォロー」など、多様な経験をしてきた木崎は、同じような立場のスタッフの方々に親身に寄り添っていきました。

木崎:郊外の地域だと、そもそも仕事のことを相談できるような人がなかなか周りにいないんですよね。それに、自分の判断だけでは働くことができない人も多くて。

「主人に聞かないと」「義理のお母さんに言わないと」といったスタッフや、「ママ友にどう思われるか分からないから」といったことを気にするスタッフも多いのだといいます。

木崎:私も長く郊外で仕事をしてきて、その気持ちがよく分かるんです。だから、客観的な視点で介在できる「相談しやすいお姉さん」みたいなスタンスで接しています。

実際に、木崎には多くの相談が寄せられていきました。


hakken20231211_5_kizaki.jpg

木崎:一度家庭に入って専業主婦をやっていたけど、十何年ぶりに派遣で働くという人は多くいらっしゃいます。そんな人には「PTAとかやっとった?」「パソコンは復習せなあかんよ」とかいろんなアドバイスをしています。

そうして十何年ぶりに派遣の仕事に就くことができた主婦の方たちは、木崎の親身な対応に感謝して、友達をどんどん紹介してくれるのです。

木崎:あるスタッフの方は4人くらい紹介してくださって。「きっと皆さんママ友やな」みたいなこともありました(笑)

そして時には、お金の相談をされることもあるといいます。

木崎:仕事の話に関連して、「借金をどう返していったらいいか」といった相談を受けることもあります。実は私、出産直後の時期にファイナンシャルプランナーの資格も取っていたので、そういった相談に乗るのも好きなんですよね。

hakken20231211_6_kizaki.jpg

「子どもの大学費用を貯めてこなかった」というスタッフの方がいた時には、「なるべく時給が高い仕事を選んでいって貯めるしかない」とアドバイスした木崎。

木崎:その方から「他社で時給が高い仕事を見つけたんですけど……」と言われたので、「それなら行っといで」と笑顔で送り出してあげました。ビジネスとして考えると、あまり良くないのかもしれませんけども。

また、正社員として過酷な職場で働いてきて疲弊しきっていた登録者に対しては、すぐに仕事を紹介しませんでした。

木崎:「この方にすぐ派遣の仕事を紹介してもメリットは無い」「今は紹介しても辞めてしまうだろう」と思いました。それで、「大阪に旅行に行く」と聞いたので、「じゃあ、ここに行ってきな」と大阪の美味しいお店をいくつか教えてあげたんです。

その方は実際にお店に行き「美味しかったよ、木崎さん!」と笑顔で帰ってきたといいます。

木崎:そうやって対応してきた方は、今ありがたいことに皆さんテンプスタッフで就業いただいています。すぐに派遣で働いてもらおうとするのではなく、長期的に考えているからこその結果ではないかと思いますね。

hakken20231211_7_kizaki.jpg

さらに、海外在住の方からも頼られている木崎。親身に相談に乗りながら、半年以上先の“帰国した後”のことも考えながら動いているのです。

木崎:今はほとんどLINEで対応していますので、海外在住の方でも対応しやすいんですよ。仕事が決まっている状態で帰国できますから、スタッフの方も安心だと思います。

LINEでの対応も、全員に同じように対応しているわけではないという木崎。

木崎:相手によって文面や絵文字は変えていますね。「この方だったら、こんな文章が合うだろうな」って考えながら。そうして相手のことを想像しながら、お一人ずつ丁寧に対応するようにしています。

そんな木崎に、「仕事で大切にしていること」は何なのか、聞いてみました。

木崎:やっぱり、目の前のスタッフの方が置かれている状況やお悩み、これまでの背景をしっかりとヒアリングして向き合うことですね。

私は子どもの頃から伝記を読むのが好きでしたが、今ではドキュメンタリー番組が大好きで。つまり、人の人生にすごく興味があって、そういう話を聞くのが大好きなんです。

だから、目の前のスタッフの“ストーリー”をしっかり聞きだして、「じゃあ、この方にとって何をして差し上げるのが最善なのか」を常に考えるようにしています。

hakken20231211_8_kizaki.jpg