未経験のスタッフが100名。
「介護保険の認定・給付業務を行う事務センターを立ち上げる」というミッションを前にして、澤田は頭を抱えていました。

澤田:立ち上げの時は、この立ち上げのためだけにスタッフを集めていましたので、全員が「ゼロからのスタート」だったんです。

西日本OS事業本部 梅田オフィス澤田 友美

澤田は責任者の一人として、立ち上げ当初のスタッフの管理業務を担当しました。

澤田:とにかく「意思の疎通を図る」ということがお互いに大変でした。伝えたつもりが伝わっていないことばかりで、私も「伝え方」を相当学ばないといけないな、と。

未経験のスタッフの方々が100名もいるなかで、コミュニケーションがうまくいかず、次々と目の前に立ちはだかる問題――。
心が折れそうになりながらも、澤田はとにかく改善を重ねていきました。

澤田:業務をスムーズに回すために、毎日ルール変更もしました。そして、「伝える」ではなく「伝わった」と思えるまで、「とにかく伝え続ける」ということを徹底していきました。

4月に立ち上げてから2ヵ月後。ルール変更に加えて、ルールを伝え続けていった効果もあり、業務はスムーズに回り始めていました。
しかし、本当の挑戦は始まったばかり。澤田は、次に一人ひとりのスキルをさらに上げていくことを目指しはじめたのです。

澤田:スタッフの方がここで働いたことによって、働く前と比べて「自分の出来ることがこんなに増えた!」と思っていただきたかったんです。だから、6月からは「ジョブローテーション」をはじめました。

澤田:「ジョブローテーション」というのは、自分の担当業務以外の業務を覚えていただくことです。できれば“すべての仕事を覚えていただく”ぐらいの目標を持って取り組んでもらいました。

とはいっても、ジョブローテーションの目的や意図について、しっかりとスタッフに伝えなければなりませんでした。

澤田:「いろんな業務をやることによって自分の幅が広がる」とか、「別の仕事を持ったとしても絶対活きてくると思います」「必ず次に繋がると思うんです」といったことを、とにかくお話しさせていただきました。

その必死の思いはスタッフの方にも伝わり、徐々に仕事をする喜びが広がっていきました。

澤田:「苦手だなって思っていたけれどもできました」とか、「チャレンジさせてもらえて達成できたことがすごく嬉しいです」「ありがとうございました」と多くの方に言っていただけて、私も本当に嬉しくなりました。

未経験者ばかりでスタートしたチームでしたが、幅広い業務が出来るようになったことで自信がついたのか、「働くやりがい」を感じてくれるスタッフの方が増えていきました。
しかし、100人ものスタッフがいると、時には思うようにいかないこともあったようです。

澤田:「仕事がなかなか覚えられない」と悩まれているスタッフの方がいました。自分のチームの仕事が覚えられなかったようですが、確かに「この時期に来てこれができないのはちょっと深刻だな」というほどだったんです。半年ぐらい経過していましたから……。

そのスタッフの方とコミュニケーションをしながら、真摯に向き合い続ける澤田。
試行錯誤を続けるなかで、転機は突然訪れました。

澤田:その方は書き仕事ではなくて“作業”が得意だ、ということが途中でわかってきました。そこで、「その部分をとことんやってみましょう」といって転換してもらったら、すごく伸びたんですよ。簡単ではない作業系の仕事があったんですが、その方はそれがすごく向いていたんです。

スタッフの方の適性を見抜き、思い切って業務を変更。そうしたところ、スタッフの方は伸び伸びと仕事をしてくれるようになったのです。

澤田:そこからすごく変わって、みるみる業務を覚えるようになっていきました。今では3チーム分の仕事をしていて、“すごくできる人”になっているほどです。本人も「本当にびっくりです!」と言っているんですよね。

さらにそのスタッフの方は、他のスタッフの方に教えるのも上手だったようで、全体の業務がスムーズに回っていくことにも繋がりました。

澤田:ご自身が今まで苦労した分、次のスタッフの方に仕事を引き継ぐ時にはすごく親切なんですよ。自分が苦労しているからなんでしょうね。

その方が味わった苦労は、無駄ではなかったのかも知れません。
そして、澤田が当初から思い描いていた、「自分の出来ることがこんなに増えた!」と「仕事をする喜び」を感じてくれる人は、どんどん増えていきました。

澤田:毎日のように職場にいて思うのは、誰かが誰かのフォローをし合っていて励まし合ってもいるんですよ。

それはスタッフ同士の話だけではなく、澤田自身も実際に感じるようになっていったようです。

澤田:私自身も仕事をしていて「誰か助けて」という時があるんですけれども、そういう時にスタッフの方がパッと飛んできてくれるんですよ。もう今は完全に頼り切っていますね。当初に見ていたスタッフの方とは全然動きが変わってきました。

澤田:皆さん「何でもやりますよ」って言ってくれて、本当に頼もしいです。今は立ち上げから1年が経ちまして、「こんなに大人数だったけど、こんなにも変わるんだな」と皆さんの成長に毎日感動しているところです。

そんな澤田に、仕事で大切にしていることを聞いてみました。

澤田:スタッフの方に「やりがい」や「生きがい」を感じてもらって、生活にハリのでる働き方をしてほしいと思っています。仕事というのは生活の中でも多くの時間を占めるものですから、仕事を充実させることができたら、生活にもハリがでるじゃないですか。
だから、目の前の仕事で「この仕事をしていて良かった」と思っていただけるような働き方をしてもらいたいですね。

※所属は取材当時のものです