これは、受付スタッフのリーダーとして勤務する山之内さんのお話です。

山之内さんは、前職でホテルに勤めていたこともあり、人と接することやホスピタリティ精神を発揮することにやりがいを感じていました。人当たりも良くて丁寧な対応。礼儀正しくて誠実な仕事ぶりは、わたしたちテンプスタッフも高く評価していました。
そんなある日、山之内さんは担当営業から「テンプスタッフのキャリア採用に応募してみるという選択もあるよ」と声を掛けられますが、首を縦に振ることはありませんでした。

あなたは何を主軸にその転職をするの?

山之内さん:現在働いている現場がとても好きだったので、その時点では"社員"というのは特に頭になかったんです。

今の環境を変えたくない――。
そんな思いで現状の仕事を続けることを選んだ山之内さん。しかし、新型コロナウイルスの影響により、自身のキャリアについて不安を覚えるようになっていきました。ある日、山之内さんは担当営業である大木に相談をしました。

大木:とても優秀だったので、ご本人の覚悟や意思があれば、私としては当社のキャリア採用に応募してみるという選択もあるよ、とずっと言っていました。そのたびに断られてはいたんですが、コロナ禍になって状況が変わりました。働き方やご自身のキャリア、仕事をどうしていくかという不安に思う方々がたくさんいらっしゃる中で、彼女も同じように悩みを打ち明けてくれました。

東日本OS事業本部 レセプション運用課大木 涼子

山之内さん:リーダー職とはいえ、有期の雇用ではありましたし、「今後どうしていこうか」という迷いは生じていました。

山之内さんにはお子さんもいらっしゃり、「家族と仕事の両立を大切にしたい」という話は以前から何度も聞いていました。そんな山之内さんがどういった決断をするのか、大木も見守っていたのです。

山之内さん:迷いが生じるなかで、「楽しく働ける仕事ってなんだろう?」と考えていったら、わたしは「やっぱり人と接する仕事だな」と思いました。前職でホテルに勤めていたので「そちらに戻ってみたい」という相談をしようと思い、大木さんに正直に気持ちを打ち明けたんです。

すると大木は、しっかりと耳を傾けながらも"ひとつの疑問"を投げかけたのです。

山之内さん:「もし山之内さんがそういう風に思うんだったらそれは応援するけれども、でも、山之内さんは何を主軸にその転職をするの?」と言ってくださいました。

その時の様子を振り返りながら、大木が思いを口にします。

大木:ホテル業界の働き方を想像した時に、ご家庭とお仕事を両立してやっていきたいという山之内さんの気持ちや思い描く未来に対してちょっとだけ心配になったというのが正直なところでした。「今の山之内さんにとって本当にそこが重要視するポイントなの?」というのは、一言だけ添えました。

山之内さんは、家族と仕事の両立を大切にしたいと言っていたはず。長い目で見た時に、その選択は幸せな働き方になるのだろうか――。
山之内さんのことを真剣に思うからこそ、問いかけが口をついて出たのです。

覚悟を持てるのであれば、私はできる限りサポートする

大木:自分がやってきたことや職歴を優先して、いまご自身が大切にしている「家族と仕事の両立をするための働き方」というところを見失っていたんじゃないかなと思ったんです。

大木の言葉で立ち止まった山之内さんは、その時の心情を語りました。

山之内さん:ホテルでの仕事は大好きなんですけど、やっぱり不規則で土日も仕事に出なければいけません。そういうことを考えると、一番の主軸は子どものはずなのに、それだと「望んだ働き方ではないのかもしれない」という思いに至りました。そして、今の仕事をそのまま続けます、ということを大木さんに伝えました。

大木の言葉によって『本当に大切なものは何か』を見つめ直した山之内さん。「家庭との両立を目指しながらも、ステップアップしたい」という心の声が、大きくなっていったのです。

山之内さん:「子供を主軸に置きつつも、前向きに取り組めるような場所で勤めていきたい」と考え直しました。そう考えるうちに、私自身がお手本としている大木さんという存在がいるので、「この会社で働かせていただけるのであれば働いてみたい」という思いが強くなっていきました。

山之内さんは、それまで何度となく大木から話があっても断っていました。しかし、自分の未来を考えた時に、改めて大木の存在が大きかったことに気が付いたのだといいます。
改めて山之内さんから「一緒に働いてみたいです」と言われた大木は、どんな反応をしたのでしょうか。

大木:もし社員になれたとしても、今までとは違う目線になるし、私から言われることも変わってくるよという話はしました。ただただ良いことばかりではないから、そこはしっかり考えてねと。それでも覚悟を持てるのであれば、できる限りサポートするから挑戦してみてほしいと伝えました。

改めて自身と向き合い、挑戦をすることを決めた山之内さん。試験や面接を乗り越えて、テンプスタッフの社員になりました。
現在も受付スタッフのリーダーとして働く山之内さんに、心境を聞いてみました。

山之内さん:企業受付においても、そこにホスピタリティ精神を加えることでお客様により満足していただけるような対応はできます。企業受付は土日休みなので息子も大事にできますし、サービス精神・ホスピタリティ精神を自分自身の仕事にぶつけることもでき、しっかりと両立できるんです。

山之内さん:こうやって働かせていただける機会を与えていただいたので、有り難いなと思いました。

まさに働き方の"転換点"を経て、スタッフからテンプスタッフの社員へと立場を変えていった山之内さん。
今後も家族と仕事を両立しながら活躍されることを、わたしたちは期待しています。