ポイント 01
ITツールで業務効率化を
行うメリットを知る
例えば「毎日のデータ集計」というような、頻度が高く、正確さが要求されるルーティンワークに、あなたはどれほどの時間を費やしていますか?
もしその作業をあなたのパソコンが自動で処理してくれるとしたら、どのようなメリットがあるでしょうか?
具体的に、ITツールを活用した場合の業務効率化のメリットについて事例を見ていきましょう。
業務効率化のメリット
改善事例(1)
営業部門での月次資料作成
効率化によるメリット:
データ抽出作業、エラーチェックの負担減
削減時間:
10時間 →25分(毎月)
改善事例(2)
購買部門での受発注入力
効率化によるメリット:
データ転記作業削減、
出荷伝票作成の高速化
削減時間:
90分 →30分(毎日)
改善事例(3)
経理部門での日次データチェック
効率化によるメリット:
データ照合を自動化、
他の業務が遂行可能
午前中に100件以上を処理する
というプレッシャーから解放
削減時間:
60分 →20分(毎日)
業務を自動化することのメリットには、「〇時間削減」という定量的な側面もあるでしょう。
また、「待ち時間の圧縮」、「単純作業に時間を費やさなくていい」、「より重要性の高い業務に向き合える」といったことは、社員の心理的負担が軽減され、業務の質の向上をもたらします。
効率化が進むことにより、もっとも人員を割り当てるべき部署への配置が可能になり、無駄のない組織へ改革することが可能です。
ITツール活用による業務効率化で、「時間削減」では収まらない大きなメリットを生み出します。
ポイント 02
業務効率化がITツールで
進まない理由の多くは『人』
業務効率化のためのITツールは世の中にあふれていますが、もし活用できていないとしたら、その理由の多くは『人』にあります。
理由(1):通常業務との兼務
業務改善のためITツール導入を進めようと思っても、既存の業務と兼務して行うと、業務過多となり、なかなか進まないということがよくあります。
専任業務とするのは難しいとしても、担当する社員の業務を整理して、動きやすい環境を整えることが大切です。
理由(2):ITツールは会社が管理すべきという意識
「会社のITに関わる部門が現場の業務を取りまとめ、要件定義付けし、システムを管理する」というやり方は、多くの企業で行われている方法です。しかし、実はそれが現場で業務効率化が進まない原因の一つとなっています。
現場業務の効率化をするなら、現場の当事者が試行錯誤しながら、ITツールの中身をつくり上げていくことが重要です。
理由(3):現場で「ITツールを育てる」イメージがわかない
「ITツールを育てる」と聞いてイメージできる方は、RPAなどをかなり理解されている方です。
「ITツールを育てる」とは、「まずは小さな業務から自動化をしていき、似たような業務に当てはめ少しずつ大きな業務に応用することや、横展開して効率化を進めていく」ことを意味します。
そのためには、現場の業務を理解し、業務フローを整え、寄り添ったITツールをつくることが大切です。つまり、現場の業務を知っており、かつITツールの知見も持ちあわせた人材が、業務改善を推進するカギとなります。
また、担当者が異動や退職などにより、ITツールの活用が進まなくなってしまったというのもよくあるケースです。社員のうち誰か一人しか扱うことができないというのではなく、少しでも多くの社員が扱えるようにすることも重要です。
ポイント 03
業務効率化に成功した
企業のポイントとは?
実際に業務効率化をITツールで実現した企業はどのようにしたのか、企業の『人』 への取り組みをご紹介します。
企業の取り組み例
取り組み(1)
意欲の高い社員のスキルアップを支援
希望者を募って、学習と活用のチャンスを与える。
【勉強会、レクチャー】
ITツールを活用して業務を遂行できる専門家のレクチャーなど、希望する社員へ学習の機会を提供した。
【オンライン学習】
RPAやVBAといったスキルを学べる自学コンテンツを提供する企業と契約。学びたいと思ったら、学べる環境を整えた。
取り組み(2)
現場社員に浸透するための制度づくり
個人業務でも使える環境や、スキルを持つ人へ社内浸透のための役割を与える、その評価制度をつくる。
【効率化ITツールを個人業務で利活用できるルールづくり】
例えばWordやExcelを個々の社員が利用できるように、業務自動化ツール「Microsoft Power Automate」を利用できるようにする。
【スキルを持つ『人』を活かす体制】
ITツールでの業務効率化を実現できる人材を適切に評価する。
その人材に他の社員が相談できるよう、社内での役割をつくる。業務効率化をできる人材、役割を与えられた人材が評価される制度をつくる。
取り組み(3)
業務効率化のITツールを身近にする
組織で進めるために推進者を定める、ツールに命名し共にはたらく仲間のような感覚を持ってもらう。
【保守・運用担当を任命する】
業務を自動化する流れを決める、保守するなど、ツールでつくったしくみを育てる中心となる担当者を決める。組織の財産として蓄積していく。
※誰か一人に丸投げするのではなく、他の社員の意見や情報を取りまとめる役割
【自動化したフローに名前をつける】
例えば、自動化ITツールを「ロボさん」と命名し擬人化する。これにより、「ロボさんにお願いしよう!」など、他のメンバーと共有しやすくなり、ITツールが多くの社員に使用される文化が育まれる。
まとめ
業務改善にITツールを活用する企業の取り組みについてイメージできましたか。
どんなに良いツールがあっても、それを使うのは『人』です。
業務効率化を進めるには、現場の社員がITツールを使って試行錯誤し、小さくても成功体験を積み重ねること大切です。
まず何から効率化したいか、ITツールで改善できることを探してみてください。圧縮できる業務が意外なほど多く見つかるはずです。