わたしの生きる道

第73話 営業活動をストップし 全社で説明と謝罪に専念

記者会見の翌日、つまり1998年1月29日、問題の記事が載った週刊誌が発売されると、管理職ら20人が詰める対策本部は戦場になった。私は「営業活動をストップし、全社でスタッフ、クライアントへの説明と謝罪に専念すること」という指示を出した。すぐにスタッフの相談に応じる専用電話を並べ、各地の営業拠点に専任担当社員を2人ずつ配置した。

そして会社のホームページ(HP)におわびと経過説明を掲載し、リストに載った9万人の登録スタッフ全員におわびの手紙を送り始めた。夜中まで宛名書きと封かん作業を続けたのは、夕方に仕事を終えた社員たちだった。

メディアが一斉に報じたため、スタッフから「なぜデータが流出したんですか?」「本当に漏れたデータは消去されたんですか?」「いたずら電話があったらどうしたらいいですか?」といった電話が鳴りやまない。

(日本経済新聞朝刊2013年6月26日掲載の『私の履歴書』より引用)