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(情報掲載日:2019年7月10日)


テクノロジーの進化にともない、機械による仕事の自動化が進むといわれています。RPAやAIに代替えされる仕事が増え、人にはより創造性のある仕事が求められます。そこでは「遊び」が仕事に刺激を与え、活力となってイノベーションをもたらします。「遊び」を身近なものにし、仕事に活かす手法について解説します。

●「遊ぶように働く」ことの重要性

少子高齢化で経済の成長が鈍化する中、これから企業が成長するためにはイノベーションが不可決といわれています。将来、RPAやAIによる業務の代替えも進むことが予想されており、人にはイノベーションに必要な創造性のある仕事が求められつつあります。創造性を発揮するには常識から脱却する必要があり、そのためには「遊び」をベースにした発想が求められます。「遊び」には発見と学びがあり、また、気持ちをリフレッシュする効果があります。今はそうした新鮮な感覚を仕事に活かしていくことが求められています。

また、米国シリコンバレーのコンサルティング会社CEOであるグレッグ・マキューン氏は、人が生きるうえでも「遊び」が大切だと述べています。理由は、「遊び」は脳の活動を活発化し、ストレスを軽減し、考えの選択肢を広げる効果があるためです。「遊び」は単純に遊ぶことで脳をリフレッシュさせる効果と、仕事に遊び心を持ち込むことで選択肢を広げ、新たな可能性を見出す効果があります。米国西海岸のスタートアップ企業(新たなビジネスモデルを立ち上げる企業)が、イノベーションを生み出す要素の一つとしているのはまさに「遊ぶように働く」ことです。

遊びが大切である理由

(グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』かんき出版を参考に作成)

また、投資コンサルティング会社の役員を務める成毛眞氏は、著書で遊びの大切さについて次のように述べています。

私にしてみれば、受け身で時間を潰している人に比べれば、その子どものほうがよほど生産的に思える。なぜなら、自分は何が好きかをわかっていて、何をすれば自分が楽しいと思えるかを知っているからである。「気づき」とか「メリット」とか「リターン」などはどうでもよく、前向きに遊ぶのが子どもなのだ。私は、だからこそ大人に、遊びが必要だと思っている。

(成毛眞『大人はもっと遊びなさい 仕事と人生を変えるオフタイムの過ごし方』PHP研究所より抜粋)

近年、人々は仕事、インターネット、SNSなどに追われ、何事も受け身になりがちです。そのような状態から抜け出すカギが、遊びにあると成毛氏は述べています。今から100年以上前の米国の小説家、マーク・トウェインは「成功の秘訣は、自分の職業をレジャー(遊び)とみなすことだ」と述べていました。実は昔から、遊びの重要性は指摘され続けていたのかもしれません。

●遊びがオンとオフをより密度の濃いものにする

今後、遊びの要素の存在感がこれまで以上に大きくなる可能性もあります。政府が進める働き方改革、ワークライフバランスでは、時間を効率的に使い、仕事と生活のバランスを取ることが求められています。リモートワークや在宅勤務がさらに広がれば、働く場はオフィスから離れ、個人の生活の領域へと入り込んでいきます。そうなればクリエイティブな発想を鍛えるための遊びの時間が確保しやすくなるでしょう。遊びによって新たな発想が生まれ、気持ちがリフレッシュされれば、仕事に張り合いも出てきます。こうした好循環を生み出すことが可能になるのです。

●遊び心から広がる仕事の数々

最近は、企業において「仕事と遊び」を結ぶ新たな動きが見られます。

・旅先でテレワークを行うワーケーション

ワーケーションは2000年代に米国で生まれたワークとバケーションの造語です。旅行先や帰省先などでリフレッシュしつつ、テレワークを行うことを指します。旅先での業務を認めることで、心身のリフレッシュと同時に仕事に対するモチベーションアップの効果や、普段とは違う環境を活かした業務が期待されています。事例として、社員が最大5日のワーケーション日程を取得可能とする企業や、旅先で課題解決型プロジェクトを行う企業等があります。

・企業内でビジネスの部活動

事例として、通常業務以外で関わるプロジェクト「部活」制度を実施した企業があります。この活動は個人でサービスを考えたり、仲間と課題を見つけ、新規事業や創作活動を行うものです。仲間との会話の中で社会問題に着目し、乳がんに特化した自身に合う病院や医師が探せる医療サイトのサービスが生まれています。

・遊びコミュニティが課題を解決

クリエーターたちがクライアントや案件ありきではなく、遊びの延長といったスタンスで参加し、普段個人で気になることを持ち寄って話すコミュニティがつくられています。公共物のデザインを考えたり、マーケットが小さく通常では扱われない社会課題の解決などを行っています。

・「部下の遊び心」で上司を評価

事例として、社員が「自分が面白く働けているか」を10段階で評価する企業があります。この評価は本人には影響しませんが、上司の査定に影響します。また、現状維持を望みがちになる社員満足度調査は行わずに、半年に1回「同じ仕事を志望している人に自社を勧めたいと思うか」という質問の調査を行っています。面白さを追究する自社を誇れるのかを確認し、遊び心の大切さを再認識させています。

・遊びから発展した仕事など、複数の仕事が前提の「複業採用」

事例として、自分らしい個性的なキャリアを積む「複業」を推進し、採用でも複数の仕事を行うことを前提に「複業採用」を行う企業があります。複業とは自身で興味があり、価値を創造できる活動のことで、遊びや趣味から発展したものもあります。例としては農業、カメラマン、不動産業、NPO活動などがあります。

●遊びにどんな系統があるのかを知る

成毛氏は大人の遊びを系統別に次のように分類しています。新しい遊びにチャレンジすると、大人になってからでも上達の喜びを感じることができます。複数のジャンルの遊びを、新たな視点から楽しむことも可能です。少しでも興味あるものがあればチャレンジしてみましょう。

遊びの系統

(成毛眞『大人はもっと遊びなさい 仕事と人生を変えるオフタイムの過ごし方』PHP研究所を参考に作成)

●遊びの感覚を思い出すブレインストーミング

通常の仕事の中で、子どものころの遊び感覚を思い出させ、その感覚が役立つものにブレインストーミングがあります。子どものころは誰もが遊びながら、その場で思いついた遊び方やルールなどを自由に発言していました。ブレインストーミングも発言のルールは同じです。「質より量、どんどんアイデアを出す」「奇抜なものを歓迎」「相手を批判しない」「評価は保留する」など、できる限り条件や圧力のない状況をつくり、自由に発言できるようにします。発想力を鍛えたり、アタマの体操にもなるため、遊びの感覚を体験する入り口として活用してみてはどうでしょうか。

●迷ったら仕事の延長で遊んでみる

遊びの選択に迷ったら、「仕事の延長」「職場の延長」で遊んでみるといいかもしれません。例えば食品関係の仕事なら、食べ歩き、食べ比べをしたり。職場の人で遊びの達人がいれば遊びを教えてもらったり。そして遊びを始めたら、アウトプットを意識することが大切です。成毛氏は「誰かに語るまでが遊び」と語り、人に説明したり、教えたりすることで理解が深まると述べています。自分の遊びの要素が仕事の中で使える場面もあるかもしれません。例えば、自身が興味ある人を講演者として会社に招くことなども考えられます。

ここまで書いてきたように、仕事に遊びを活かすには、「仕事を楽しみたい」という本人の思いが必要になります。「どうしたら楽しい仕事になるか」「もう少しよくしたい」「もう少し面白くしたい」という思いで遊びにチャレンジしていく。その工程を楽しむ感覚こそが遊びの面白さなのです。

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