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(情報掲載日:2018年11月9日)


2018年6月に働き方改革関連法が成立し、2019年4月1日から順次施行されます。法改正では、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革の推進に向け、さまざまな措置が実施されます。改正の概要、改正スケジュール、準備すべきポイントについて解説します。

●働き方改革関連法とは

働き方改革関連法とは「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」のことで、労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法、パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)、労働契約法、労働者派遣法など、複数の法律の改正を束ねたものを指します。

●働き方改革関連法が施行された背景

働き方改革関連法が施行された背景には、日本が現在直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「労働者のニーズの多様化」といった課題への対応があります。労働者の就業機会の拡大や、働く意欲や能力を存分に発揮できる仕事環境の整備を早急に行うことが求められています。働き方改革関連法は、労働者それぞれの事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、国民一人ひとりがよりよい将来展望を持てることを目的として施行されました。女性やシニアの労働参加を推進して新たな労働力を生み出すと同時に、労働者の多様なワーク・ライフ・バランスの実現を図ります。

●2019年4月から順次施行

働き方改革関連法は2019年4月より順次施行されます。実施項目の内容および施行時期は以下の通りです。長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目的として、多岐にわたる改正が行われています。また、「時間外労働の上限規制」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」に関しては、中小企業への法律適用は大企業の1年後となっています。これは労使協定や就業規則を変えるなどの対応に十分な時間を確保するための措置です。


(厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」概要を参考に作成 ※1)

●これから発表される「省令・指針・ガイドライン」に注目

労働時間の状況の把握方法など、働き方改革関連法にはまだ詳細が決まっていない部分もあり、これらは省令や指針で決定されることになっています。また、適正な運用を行うため、目安となるガイドラインなども示される予定で、今後の厚生労働省の発表に注目する必要があります。

2018年9月7日には、時間外労働および休日労働を適正なものすることを目的とした、「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」(※2)が示されました。「時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめる」「限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保する」など、労働者の状況により配慮した運営を求めています。

また、2018年10月7日には厚生労働省が作成した「労働施策基本方針案」(※3)が公表されています。構成は「第1章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることの意義」「第2章 労働施策に関する基本的な事項」「第3章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項」です。内容では「企業文化や風土を変え、働く一人ひとりがより良い将来の展望を持ち得るようにすることが必要」と改革の必要性を伝えています。中小企業に対しては「人手不足感の強い中小企業等においては、働き方改革による魅力ある職場づくりが重要」と自主的な改革を促しています。そのうえで「違法な長時間労働により重大な結果を生じさせたものなど重大・悪質な場合は書類送検を行うなど厳正に対処する」と明記されており監督が強化される予定です。なお、「労働施策基本方針」は2018年度内に閣議決定される予定となっています。

※1:厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」概要
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-31.pdf

※2:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf

※3:厚生労働省「労働施策基本方針(案)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000361571.pdf

●「改革内容を周知→必要な対応の把握・検討→対応の実施」で進める

働き方改革関連法は2019年4月から順次施行されることになっており、企業はそれに向けて労働環境を整える作業が急務となります。作業の手順は「@働き方改革の内容を周知→A必要な対応の把握・検討→B具体的な対応の実施」であり、各段階で改革を支援する仕組みを整備していきます。必要があれば取引環境などの改善も行い、各々の支援策についてPDCAサイクルを構築し精度を高めていくことが望まれます。

項目ごとの改革例を示すと、「時間外労働の上限規制」では、すべての従業員の残業状況を把握し、一部の従業員の残業が多すぎる場合は、他の従業員に仕事を配分したり、人員を増強したり、業務を効率化するなどして、残業規制をクリアする体制を整える必要があります。「年次有給休暇5日間取得の義務化」では、対象となる従業員ごとに有給休暇の消化日数が5日以上かをチェックし、5日未満になりそうな従業員については企業が取得を促す体制を整備しなければなりません。また、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」では、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者に対して、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等を説明することも義務化されるため、導入・実行までには綿密な計画が必要です。

大企業は対応に時間がかかる「時間外労働の上限規制」が2019年4月と迫っており、早々に手を打つことが求められます。中小企業は「年次有給休暇5日間の取得」「労働時間の把握強化」などの対応から始め、2020年4月に施行される「時間外労働の上限規制」に備えていくことが求められます。

●不明な点があれば、すぐに相談窓口へ

企業には働き方改革関連法への対応として、「改正に対応する社内体制づくり」「規程・システム・業務の見直し」「予算作成」「関係者への周知」などが求められます。従業員には広報と同時に、新たな規則に応じた働き方ができるよう意識を変えていく必要があり、現場マネジャーは規則に応じた業務遂行や労務マネジメントが必要です。特に長時間労働の是正では、実務においてやめるべきこと、簡素化できることについて考え、改革することが必須となります。そのため、今回の対応では全社一丸となって、どのような働き方の改革が可能なのかを真剣に考えなければなりません。

今回の働き方改革関連法では同時に多くの改正が行われるため、企業の「法律に関する相談」「課題解決に向けた支援」に向け、さまざまな機関・団体による相談窓口(※4)が設置されています。何か疑問点があればすぐに問い合わせて明らかにし、法改正に備えることが必要です。

働き方改革に関する相談窓口

(厚生労働省「『働き方』が変わります!!」リーフレットを参考に作成 ※4)

※4:厚生労働省「『働き方』が変わります!!」リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000335764.pdf

働き方改革関連法の施行により、企業はこれまでの就業規則では通用しなくなり、大きく規則を変えることになります。企業はただ法に合わせるといった対応ではなく、社員一人ひとりの働きやすさをいかに実現するか、その方策を本気で考える機会とすべきです。いち早く、高いレベルで社員の働きやすさを実現することは企業アピールにもつながっていきます。「企業は人なり」「人こそが企業の財産」といった企業存続の本来のスタンスに立ち返ることが求められています。

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