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(情報掲載日:2018年10月9日)


「エンプロイー・エクスペリエンス」とは企業が従業員視点に立ち、従業員が満足する働きがいや働きやすさについて考え、その実現を図る新しい従業員支援の考え方です。企業は従業員に対し、働く中での満足感や感動といった「経験価値」をいかに与えるかについて考えていきます。なぜそのような考え方が生まれたのか、具体的にどのような施策を取るべきかについて解説します。

●エンプロイー・エクスペリエンスの意味は「従業員の経験価値」

「エンプロイー・エクスペリエンス」(Employee Experience)とは直訳すると「従業員の経験」という意味であり、従業員が企業や組織の中で体験する経験価値を指します。企業における経験価値とは、その企業での経験から得られる効果や感動、満足感といった心理的・感覚的な価値です。エンプロイー・エクスペリエンスとは、企業が従業員のエンゲージメント(企業に愛着心や思い入れ持っている状態)を高めるために、有効となる経験価値を企業視点ではなく従業員の視点で考えていこうという活動です。この言葉は2015年ごろから人事の世界で聞かれるようになりました。

●必要とされる背景

従業員のエンゲージメントを高めるうえで有効な方法とは何か。参考とされたのはビジネスにおけるカスタマー・エクスペリエンス(Customer Experience)の考え方でした。これは顧客に対し、製品やサービスそのものが持つ物質的・金銭的な価値ではなく、その利用経験を通じて得られる効果や感動、満足感といった心理的・感覚的な価値(経験価値)をいかに与えるかを考えるものです。エンプロイー・エクスペリエンスも同様に「顧客=従業員」の視点に立つことで、従業員の有益な経験価値について考えることを目的として生まれました。

また、企業文化の変革に有効な点もエンプロイー・エクスペリエンスが必要とされる背景のひとつです。企業活動のテクノロジー化が進み、働き方も変わっていく中では、企業文化も変革していく必要があります。また、将来的に人材確保が難しくなる中、働きがいのある仕事や働きやすい職場を実現していくには、従業員視点に立って、新たな働き方や価値観を探していくことが求められます。エンプロイー・エクスペリエンスは、これまでのような企業起点ではなく、従業員を起点に発想する点で大きな違いがあります。そのために今後企業は、従業員がどんな経験価値を求めているかを理解することがもっとも重要な役割となっていきます。

●働き方改革や健康経営の課題解決にも役立つ

エンプロイー・エクスペリエンスは従業員の状態を把握していく手法であり、働き方改革や健康経営といった企業課題の解決手法としても活用できます。エンプロイー・エクスペリエンスでは、従業員満足度やエンゲージメントといった指標だけでなく、従業員の健康や組織の状態といった企業の現状を表すすべての指標が関わってきます。働き方改革では企業は生産性向上を図ると同時に、従業員に対し働きやすさや働きがいを提供して企業へのエンゲージメントを向上させていかなければなりません。その点でもエンプロイー・エクスペリエンスの考え方は大変に有効です。

●エンプロイー・ジャーニーマップによる可視化

従業員一人ひとりのエンプロイー・エクスペリエンスを考えるうえで、必要となるのは経験価値の可視化です。可視化の手法にはエンプロイー・ジャーニーマップがあります。これは従業員が採用されてから退職するまでの一連の流れの中で、得るべき経験価値を整理し、その時々の心理やエンゲージメントを想定しながら個々の成長を考えていくものです。一つひとつの段階において、従業員が感じていることや経験をしたいことを考えながら、施策を検討していくことが求められます。

エンプロイー・ジャーニーマップ Aさんの例 ※EX=エンプロイー・エクスペリエンス


●従業員視点に立った人事施策の重要性

企業は従業員視点に立って、施策を見直していく必要があります。エンプロイー・エクスペリエンス推進に向け、個人情報(現状における不満、今後の仕事の方向性、家族の状況、将来的な育児・介護の可能性など)を幅広く集めて個人をより深く理解する。従業員が職務や職場におけるルールなどに束縛されずに、可能な限り自由に動ける環境を整える。そのうえで、リアルタイムに個々の動きや考えを把握しフォローしていくことが求められます。

エンプロイー・エクスペリエンス推進のための施策


●エンプロイー・エクスペリエンス重視の風土を根付かせる

エンプロイー・エクスペリエンスを取り入れ、施策を企業視点から従業員視点へと切り替えていくことは簡単ではありません。従業員側にも自ら考え主体的に動けるような問題意識が不可決であり、「このままではいけない。今こそ変わらなければならない」と従業員が思えるような強い気付きを与える必要があります。例えば、顧客との感動体験やトラブルの体験があれば従業員で共有し、なぜそうなったのか、そこから得られるノウハウは何かと考えていきます。そのような仕事を進化させるような気付きを見つけていくことが、従業員の働きがいの創造にもつながります。仕事の中にどのような経験価値があり、皆がどのような経験を望んでいるのかを、従業員同士で話しあう機会を設けることはエンプロイー・エクスペリエンス重視の風土を根付かせるうえで有効です。

エンプロイー・エクスペリエンスの活用で、これからは従業員一人ひとりのさまざまな思いがより活かされる企業が増えていくでしょう。事業も個々の仕事も企業という一方の視点でなく、従業員全員の視点から発想していくという多面的な見方が求められます。企業はエンプロイー・エクスペリエンスの導入を物事の見方を変える機会と捉え、従業員エンゲージメントを高めて、より多くの人を幸福にする施策を考えていきましょう。

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