(情報掲載日:2018年5月10日)


2018年の就職活動から、経団連は5日以上とするインターンシップの日数規程を廃止しました。期間が1日からインターンシップを行えるようになったことで実施企業および参加する学生は増加傾向となっており、インターンシップへの注目度が一層高まっています。インターンシップの現状および1dayの活用法、実施期間の違いによる使い分けのポイントについて解説します。

●インターンシップとは

インターンシップとは、学生に対し企業などが就業体験の機会を提供する制度です。経団連は「『採用選考に関する指針』の手引き」(※1)で、「インターンシップは、産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環と位置付けられるものである」と定義しています。


●日数規程廃止となった経緯

経団連は2018年の就職活動から、5日以上とするインターンシップの日数規程を廃止しました。以前は同手引きで「学生の就業体験の提供を通じた産学連携による人材育成を目的とすることに鑑み、当該プログラムは、5日間以上の期間をもって実施され、学生を企業の職場に受け入れるものとする」と記載していましたが、2017年4月10日の改定でこの内容が削除されています。

日数規定が撤廃された理由について、経団連は「『採用選考に関する指針』の手引きの改定について」(※2)で説明しています。その主な理由は、広報活動の開始時期を3月に変更して以来、春休みを中心に短期のインターンシップが急増したことへの対応です。企業が柔軟かつ多様なプログラムを実施できるよう最低日数要件を削除し、教育的効果が高まる取り組みが望ましいとしています。ただし、「インターンシップ本来の趣旨を踏まえ、教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しないこと」と明記しており、広報や選考のみを目的とした実施は避けるように示しています。

※1:経団連「『採用選考に関する指針』の手引き」(2017年4月10日改定)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030_tebiki.html
※2:経団連「『採用選考に関する指針』の手引きの改定について」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030_kaitei.html


●増加する実施企業、参加学生の割合

「インターンシップの移り変わりと現状」の記事(※3)によれば、インターンシップの参加学生および実施企業の割合は、ここ数年、右肩上がりで増えています。18年卒では参加学生は71.3%、実施企業は47.5%となっており、学生は参加することが当たり前となりつつあります。
また、18年卒でのプログラム内容の調査(※4)を見ると、上位から「会社見学・工場見学・職場見学」(51.8%)、「人事や社員の講義・レクチャー」(48.2%)、「実際の現場での仕事体験」(47.7%)、「グループワーク(企画立案、課題解決、プレゼンテーションなど)」(45.6%)、「若手社員との交流会」(43.5%)となっており、仕事体験に限らず幅広い内容が行われていることがわかります。


インターンシップの実施企業、参加学生の割合の変遷

(学情「学情レポート COMPASS:インターンシップの移り変わりと現状について」より ※3)

実施しているインターンシップのプログラム

(マイナビ「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」より ※4)

※3:学情「学情レポート COMPASS:インターンシップの移り変わりと現状について」
https://service.gakujo.ne.jp/data/201709
※4:マイナビ「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」
https://saponet.mynavi.jp/
https://www.mynavi.jp/news/2017/11/post_16065.html

●3社のうち2社が1dayを実施

インターンシップの実施日数の調査(※3)で15年卒と18年卒を比較したところ、「1日」が21.0%から62.2%へと大幅に増加しました。3社のうち2社は「1日」を実施している状況にあります。また、「5日〜1週間程度」「2週間以上」がともに10ポイント以上減っています。

インターンシップの実施日数の割合(18年卒、15年卒の比較)

(学情「学情レポート COMPASS:インターンシップの移り変わりと現状について」より ※3)

●1dayが増えてきている理由

1dayが増えた理由の一つに、学生が試験や研究で忙しく、これまでインターンシップの実施が避けられていた秋冬に実施が必要となったことがあげられます。以前、インターンシップは学生が時間的に余裕のある夏休みの8月、9月に行うのが一般的で、企業の広報活動は12月から開始されていました。しかし、経団連が2016年春卒の採用から、広報活動の開始を12月から翌年3月へ後ろ倒しとしたため、夏休みにインターンシップを行うと、広報活動開始まで半年程度あくことになりました。そのため、企業に対する学生の興味を維持する意味合いから、10月から翌年2月にかけてインターンシップが開かれるようになりました。この時期は学生も授業があるため参加しやすい1dayを実施する企業が増えています。加えて、2018年の就職活動から5日以上とするインターンシップの日数規程が廃止されたことにより、一層1dayが増える状況となっています。

●1dayを実施するメリット

企業側、学生側の双方に1dayのメリットがあります。企業は少ない負担で柔軟に開催することが可能となり、学生は多くのインターンシップに参加できる点がメリットといえます。お互いに接触機会が増えることで、より幅広いマッチングが可能になります。しかし、1日という短い期間であることから、仕事を体験し成長実感を得るといった本来のインターンシップの役割を求めることが難しくなるため、企業は企業説明会との差別化を図りつつ、より実務体験に近いような企画を考えることが求められるでしょう。

1dayインターンシップのメリット


●短期と長期、それぞれのメリット

インターンシップの短期(1日〜1ヵ月未満)と長期(1ヵ月以上)の企業メリットを聞いた調査(※3)では、短期が長期に差をつけて多い項目は「採用活動時の応募者増につながった」(+18.6ポイント)、「意欲の高い優秀な学生と接点が持てた」(+11.0ポイント)となっています。1dayを含め短期インターンシップは複数回の実施がしやすいことで、学生との接触機会が増え、結果、応募者増につながったことがうかがえます。また、逆に長期が短期に差をつけて多い項目は「学生への指導を通して社員自身の成長が見られた」(+19.3ポイント)、「社内に活気が生まれた」(+14.2ポイント)であり、学生という新たな存在が社内に加わることで、社員の成長および社内の活性化が促されたといえます。この点は、長期インターンシップのメリットといえるでしょう。

短期と長期での企業メリット

(学情「学情レポート COMPASS:インターンシップの移り変わりと現状について」より ※3)

短期および長期のインターンシップの内容・ターゲット像をまとめると次のようになります。実施期間ごとに学生が求めるものが違うため、企業は企画時点でターゲットを想定し、どのような体験・情報が必要かを考え、運営していくことが求められます。


インターンシップ期間による実施内容の違い


理系の学生をターゲットとした場合、理系の学生は研究などで忙しく就職活動を開始するのが遅くなる傾向があるため、学生を就職活動モードに切り替える手段が必要になります。そこでスムーズに気持ちを切り替えてもらう入り口となれるのが1dayインターンシップです。そのうえで、1週間程度のインターンシップでは実際の仕事を体験し、長期のインターンシップでは深く仕事を学ぶといった段階的なインターンシップの活用をするなど、企業は学生の状況を考えたインターンシップを企画する必要があるでしょう。

1dayインターンシップは本格化してまだ日が浅く、企業側もその活用方法を試行錯誤している段階かもしれません。しかし、比較的自由に企画でき、複数回の実施がしやすい1dayインターンシップが1年を通して実施しやすくなったことで、企業は学生に対し、さまざまなアプローチが可能になった点は歓迎すべきことでしょう。よりよいインターンシップを企画するには、学生の視点に立って、自社の仕事や組織を見つめ直し、仕事や組織にある価値や楽しさについて多面的に考えることが求められます。

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