(情報掲載日:2018年4月10日)


春から夏にかけては新入社員の研修シーズンです。今年の新入社員は働き方が見直される環境の中での入社となり、人事が新入社員に対して新たな働き方について教える場面が増えると思われます。新入社員研修の現状、見直しが求められる教育内容、今後重視すべきポイントについて解説します。

●期間は1週間が最多。ストレスマネジメントを取り入れる企業も

はじめに新入社員研修の現状を見てみましょう。新入社員研修に関するアンケート調査によれば、研修日数は「1週間程度」24%がもっとも多く、「1ヵ月以上」21%、「2週間程度」17%と続いており、1週間以上の研修を行うことが主流となっています。研修内容の上位は「社会人としての心構え」93%、「マナー」89%、「会社の仕組み・ルール」81%と社会人の基本を教える内容が多く、スキル系の研修は少なくなっています。特徴的なのはストレスマネジメントを31%の企業が実施している点です。2014年に企業にストレスチェックの実施義務(従業員の50人未満の事業場は努力義務)が課せられた影響もあると思われますが、人間関係への対応力をつけることを重視していることがうかがえます。


新入社員研修の実施日数

(HR総研:ProFuture株式会社「新入社員研修に関するアンケート調査:2017年3月」※1より)

新入社員の研修の内容

(HR総研:ProFuture株式会社「新入社員研修に関するアンケート調査:2017年3月」※1より)

同調査によれば、一定期間の仕事を経験した後に行われる新入社員フォロー研修は全体で68%、1001名以上の企業では85%が実施しています。実施時期は「入社半年後」が46%とほぼ半数を占め、「入社3ヵ月後」15%、「入社年度末」15%となっています。入社半年という一通りの仕事のやり方を覚えたころに生まれる悩みや不安をフォローする目的で、多くの企業でフォロー研修が行われています。

※1:HR総研:ProFuture株式会社「新入社員研修に関するアンケート調査:2017年3月」
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=166

●入社1年〜3年時に新たな働き方を教えると効果的

いま働き方が見直される中で、いかにムダなく効率よく働けるかが問われています。業績を維持しながら労働時間を短くするには、社員一人ひとりの生産性向上・スキルアップが不可決です。社員の教育効果が高いのは、入社1年目〜3年目の初期教育であり、その点を意識した新入社員教育の見直しが求められます。また、時間を確保し、人を集めて研修を行うことのハードルが高まっており、時間的な拘束を最小限とし、研修効果をより高める必要が出てきています。

●「働いてみて不足を感じた能力やスキル」に注目

実際に仕事を経験した入社3ヵ月後に新入社員に行った意識調査(※2)で、「今不足していると感じる能力」について聞いたところ、上位は「計画力」34.7%、「主体性」27.3%、「状況把握力」24.8%、「実行力」24.4%、「発信力」23.7%となっています。現場を経験し、主体的・計画的に仕事を組み立てることの難しさを痛感していることがうかがえます。より現場の感覚に則した形で研修内容を見直す必要がありそうです。

また、「新入社員研修のときにもっと学びたかったと思うもの」では「PCスキル」が36.2%ともっとも多く、「仕事の進め方」24.2%、「コミュニケーション」24.1%と続いています。最近はPCよりスマートフォンを利用することが多く、入社後に文書作成や表計算などのPC操作がうまくできない人が増えています。前述の研修内容の調査では「PCスキル」が37%でしたが、今後は研修内でPCスキルを学ばせる機会を設け、研修内容も充実させる必要があるでしょう。

「実際に仕事をしてみて、今自分に不足していると感じる能力は?」

(マイナビ「2017年マイナビ新入社員意識調査〜3カ月後の現状〜」※2より)

「実際に仕事をしてみて、新入社員研修のときにもっと学びたかったと思うものは?」

(マイナビ「2017年マイナビ新入社員意識調査〜3カ月後の現状〜」※2より)

●「生活の中での仕事のポジション」に変化

2017年に行われた新入社員意識調査(※3)で「仕事とプライベートについて」聞いたところ、「プライベート優先の生活を送りたい」、「どちらかといえばプライベート優先の生活を送りたい」、合わせて62.4%(前年比5.9ポイント増)と過去最高の数値となっています。2011年との比較では19.3ポイントも増加しており、個人の生活を重視する傾向が一層強まっています。働き方の環境変化とともに、個々の生活における仕事のポジションが変わってきており、この事実を踏まえたうえでの仕事への取り組み方や姿勢を問う研修内容が求められます。仕事と生活の調和を図るワーク・ライフ・バランスや、テレワークや副業・兼業などの柔軟な働き方、子育てや介護との仕事の両立といったテーマについても、社員に教えていく必要があるでしょう。

※2:マイナビ「2017年マイナビ新入社員意識調査〜3カ月後の現状〜」
https://hrd.mynavi.jp/wp-content/uploads/2018/03/2017-07pressishiki.pdf
※3:マイナビ「2017年マイナビ新入社員意識調査」
https://hrd.mynavi.jp/wp-content/uploads/hrd/2017-04press+ishiki.pdf

●いかに現場に則した教育内容にしていくか

変化の激しい現代において、働き方の見直しが進む中、入社1年目に効果的な教育を行うには現場に則した教育内容を考え、仕事に対する姿勢を早期につくれるようにしなければなりません。そのためには、よりリアルな情報を用い、そこに現場の社員や顧客の声も加えるなど、新入社員にとって現実味が感じられる内容にしていくことが求められます。今後重視していくべき教育内容には次のようなものがあります。

今後重視すべき教育内容

(山ア紅『新人研修ワークブック』日経BP社を参考に作成)

●重要度が増す「ITリテラシー教育」と「企業価値の実感体験」

今後重要度が増す教育内容は「ITリテラシー教育」と「企業価値の実感体験」です。「ITリテラシー教育」はさまざまな分野でIT化が進む中で、ビジネスでの先手を打つためにも知っておくべき内容といえます。「企業価値の実感体験」は社員が仕事に誇りをもち、自社のファンとなれる体験であり、社員の離職を防ぐためにも重要な施策になると言われています。


今後重要度が増す教育メニュー


●教育効果を上げるポイントとは

教育効果を上げるポイントの一つは、全てを企業側が教えるのでなく、自分で考えさせるステップを設けることにあります。グループワークや個人学習の時間を設け、どのような行動をすべきかを自主的に考えるようにすることは重要です。職場で意図的に困難を与えて乗り越える体験をさせるといった、仕事の中で育てる姿勢を持つことも大事になります。また、今後長時間労働を控えていく中で集合研修は減少する方向にあり、研修後のフォローアップも含めてITを活用することが求められていくでしょう。

将来、労働力人口の減少が予測される中で、貴重な働き手となる新入社員の価値が上がるとともに、その教育も重視されるようになるのは当然の流れといえます。新入社員を早期に現場で活躍できる人材に育てるには、企業側が現場の社員とのコミュニケーションを密にし、仕事内容やそのやりがいをよく把握しておく必要があります。今年の新入社員は働き方が変わる中で、将来、新たな企業文化を中心となって担っていく1期生ともいえる存在です。彼らを迎える企業側も、何を伝えるべきかをきちんと整理して人材教育に臨むことが求められます。

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