(情報掲載日:2018年3月12日)


働き方改革で労働時間の削減、仕事の効率化を目指すとき、必ず行うべきことは仕事のムダをなくすことです。どのような業務でもムダな部分は必ずあります。業務にどんなムダがあるかを探り、それをなくすことの意義をメンバー全員で共有したうえで、改善に取り組まなければなりません。ムダを見つける方法やその改善策について解説します。

●「ムダな業務の見直し」に注目が集まる

ムダな業務とは仕事の効率化を妨げる業務全般を指します。必要のない業務、必要以上に細分化された業務、重複している業務、時間が掛かり過ぎる業務、ミスを起こしやすい業務などがあります。日本能率協会の調査(※1)によれば、働き方改革についての取組状況での上位は「残業時間の削減」「休暇取得の促進」「勤務時間の柔軟性・裁量性向上」「ムダな業務の削減」で、これらの項目はすでに半数以上の企業が実施しています。全般的に労働時間に関連した内容が多く、いかに業務を効率化し労働時間を削減するかに注目が集まっています。


働き方改革についての取組状況

(日本能率協会「日本企業の経営課題2017」より※1)

また、働き方改革を推進するにあたり重視すべきことを聞いたところ、もっとも多かったのは「不要な管理業務、ムダな打ち合わせ・会議の見直しを促進する」(68.5%)で、業務のムダをなくすことの優先度が高く、次いで僅差で「働き方改革の意義を明確に現場に提示する」(65.9%)が入りました。働き方改革を進めるには社員の理解が大いに重要であり、それなしには改革が進まない、といったことがうかがえます。

働き方改革を推進するにあたって重視すべきこと

(日本能率協会「日本企業の経営課題2017」より※1)

●メール処理だけで1日の4分の1が使われる現実

普段何気なく行っている作業が思いのほか時間を取っていることがあります。作業の実態がわかると、仕事の効率化の必要性を感じられるのではないでしょうか。「ビジネスメール実態調査2017」(※2)によれば、仕事での1日の平均メール数は受信39.28通、送信12.62通で、メール1通の作成時間は平均6分という調査結果が出ています。受信メール1通を読む時間を1分で計算すると、1日の送受信処理時間は合計1時間55分。1日8時間勤務で考えると4分の1もの時間をメール処理で失っていることになります。単純に思える作業でも積み重なると思いのほか時間を取っているのです。地道に仕事のムダを見つけて削減し、効率化を図らなければ、労働時間の削減も実現しません。

※1:日本能率協会「日本企業の経営課題2017」
https://www.jma.or.jp/keikakusin/pdf/keieikadai2017_2.pdf

※2:日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2017」
http://www.sc-p.jp/news/pdf/170602PR.pdf

●仕事のムダはなぜ生まれるのか

仕事のムダはなぜ発生してしまうのでしょうか。それには次のような理由が考えられます。「仕事のミスや遅延は自分のせい、または、たまたま起きたことと考えてしまい、職場の問題としようとしない」「今のやり方を変えることを嫌がる」「ムダを見つける活動をしていない」「必要以上に情報共有を行っている」など、現状の負荷に気付かず、それをそのまま維持しようとする動きが、ムダをなくすことを妨げています。

仕事にムダが生まれる理由


●リーダーが行うべきムダを見つける方法

業務改善士として仕事の改善の分野でいくつもの著書がある沢渡あまね氏は、ムダに気付く手法として、「仕事の見える化」「職場の言える化」の重要性を挙げています。
1つ目の「仕事の見える化」とは、組織が抱える業務を、日・週・月単位で見ながら、そのすべてをリストアップすることです。リスト項目としては「業務名、担当者、頻度、所要時間や業務量」が挙げられます。そして、その業務を「急ぐ必要があるか」「そもそも必要か」「意味があるのか」「手戻り(やり直し)が多いのか」という4つのポイントで洗い直します。

2つ目の「職場の言える化」は、組織の中で本音が言える環境をつくり、各々が思う仕事のムダについて話し合うことです。業務の必要性は立場によって意見が違うこともあるため、上下関係があっても率直に意見が言えるよう配慮しなければなりません。


●仕事のムダを見つけるヒント

業務の効率化を考えるとき、ムダかムダでないかの判断がしにくかったり、つい見過ごしてしまったりして、手を付けない業務があります。それは季節的な業務、属人化してしまっている業務、全体に知られていない業務といった地味な業務です。一度すべての業務をきちんと洗い出して、そこに隠れたムダがないかを確認してみましょう。仕事のムダを見つけるヒントには以下のようなものがあります。皆で仕事を見つめ直し、意見交換ができる場を設けることがムダの発見につながります。


仕事のムダを見つけるヒント
(沢渡あまね『チームの生産性をあげる。―業務改善士が教える68の具体策』ダイヤモンド社を参考に作成)

●ムダをなくすサイクルの活用

ムダをなくすには、①検討段階=対応していくムダを絞り込み、改善策を考える、②実践段階=改善策を実行する、③定着段階=改善策を調整しながら最善の内容とする、の3つの段階をサイクルで実践していくことが有効です。特に「ルールを超えてどうしても対応したい」といったイレギュラーな仕事にどう対処するのかは、事前に決めておく必要があります。また、実践に協力しやすい雰囲気をつくっていくには、「トップや広報部門の協力を得る」「複数の部署で一斉に取り組む」「業務に関する作業について、スキルアップのための研修を行う」といった工夫も効果的です。

●具体的な仕事のムダと対策の例

仕事の処理速度を最大にするには、「仕事に着手するまでのスピード」「処理そのもののスピード」「仕事の完成度」を最大化しなければなりません。仕事のムダは、これらのいずれかを妨げる原因となっているはずです。ムダをなくす対策には、いかに仕事のスピードや完成度を維持するかという観点で内容を考える必要があります。


仕事のムダと対策の例

仕事のムダのほとんどはメンバーの誰かが気付いているものです。そのムダが表面化しない理由は、それを「自分のせい」や「たまたま起きたこと」と考えてしまい、職場の問題として疑わないことに起因しています。だからこそ「仕事の見える化」「職場の言える化」が必要です。いつでも誰でも「これはムダではないか」と周囲に相談できるような職場を目指しましょう。仕事のムダが話題に上りやすい職場になることは、仕事のムダをなくすことにつながります。

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