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(情報掲載日:2012年7月23日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

「ソーシャルリクルーティング」を効果的に活用していく方法(事例編)

VOL.7


新しい採用手法として、「ソーシャルリクルーティング」への関心が高まってきています。そこで、「ソーシャルメディア」を活用して採用を行っている企業の事例を通して、ソーシャルリクルーティングの具体的な効果・効用や利用する際の留意点をご説明するとともに、学生のソーシャルリクルーティングに対する声をご紹介します。



ソーシャルメディアの活用事例

新卒採用にFacebookをはじめとしたソーシャルメディアを利用した企業について、その事例を見ていくことにしましょう。

(1)IT関連A社(従業員数約200人)

●導入した背景

Webビジネスへの展開の中でソーシャルメディアを使いこなしている人材が求める人材像と一致すると考え、採用にソーシャルメディアを活用することで、その狙いを実現できると判断しました。採用プロセス全般において、ソーシャルメディアを活用しています。

●2010年度までの活用方法
◆母集団形成から会社説明会まで

①Twitter
当初のソーシャルリクルーティングは、Twitterを中心に行いました。企業のアカウントを作成し、就職活動に役立つ情報を度々発信するほか、「就活」「IT」「Web」といったキーワードでヒットした人たちの中から学生を絞り込んで、アカウントのリストを作成しました。これら学生を採用母集団としてフォローし、2009年7月頃からつぶやきの内容について継続的にチェックし、その中で発言内容から求める人物像に近く、就職活動中と見られる学生をピックアップし、学生がつぶやく会社一般や社会人生活への質問や疑問にリプライ(発言に対する返信)をしました。またリプライしていく中で反応のよい学生については、自社の採用に関する情報を提供するなどして引き続きフォローしました。反応がよくない学生は、フォローを解除しました。
結果的に、2009年10月に会社説明会をスタートさせる段階において、Twitterを使ったフォロワー(同社のTwitter採用アカウントからの情報発信を受ける集団)が600人近くにも達しました。そして、Twitterによる丁寧なリプライを行うことで会社に対して良いイメージを学生が持ったためか、このうちの半数近くが会社説明会にエントリーを行っています。このようにしてエントリーを行った学生は企業への理解度も高く、会社説明会に来た段階で事業内容などもかなり詳しく把握していました。会社で評価される行動のポイントや社内でのキャリアアップに関する内容など、踏み込んだ内容の質疑応答が行われました。会社説明会にエントリーしてもらう時期に、会社理解、仕事理解という点で非常に進んだ学生を集めることができ、効率のよい採用活動を行うことができました。

②ブログ
ブログは、ビジョンや意思などのメッセージを伝えやすく、読者に対して強い印象を持ってもらうことができるメディアであると判断し、組織の中でもキーパーソンとなる人物による、メッセージ性を持たせた情報発信を行おうと考えました。自社がビジネスに対してどんなスタンスを持つ会社なのか、どんな考え方を持つ社員が多いのかなどを、学生にストレートに伝える場として活用しました。

③Ustream
Ustream(動画共有サービス)は、会社説明会を生中継するために利用しました。それにより、距離面でのネックが克服され、地方や海外からの視聴者が増え、遠方に住む人からのエントリーも増えていきました。

◆面接

①Twitter・ブログ
事前にTwitterやブログなどで情報を共有してきたことで、学生がA社に対する理解を深めることができました。その結果、会社説明会にエントリーする学生が絞り込まれ、早い段階でかなり入社意向の高い学生と面接を行うことができました。また、学生がつぶやく内容をチェックしていたことが実質選考の意味合いもあり、これまで合計で4回行っていたものが、2回の面接で予定数、そして採用基準に叶った学生を確保することができました。

②Skype
地方や海外に在住している学生を対象に、Skype(インターネット電話サービス)を利用した遠隔地面接を行いました。基本的に、近隣在住の学生とは主に対面で面接し、遠隔地の学生はSkypeを利用した結果、今までコンタクトを取ることが難しかった層の学生と面接を行うことができました。

◆内定フォロー

①Twitter
採用の段階からTwitterを活用していたこともあり、内定から入社までの間もTwitterを使用しました。Twitterを通じてのコミュニケーションに担当者と学生双方がとても馴染んでいたので、入社までにやってきてほしいことを伝えるとともに、近況報告と合わせて、内定者が抱える悩みや相談にも答えていきました。内定フォローツールとしてより気軽にコミュニケーションが取れる状態を作ることに成功しました。以前はこの時期に内定辞退をする学生も少なくなかったのですが、Twitterを使うようになってから、辞退者が減少しました。

●2011年度の活用方法
◆TwitterからFacebookへ

①Facebook
次年度からは、TwitterからFacebookを利用した採用へとシフトを行うことにしました。Twitterを利用する学生が急増したことで、その中からビジネス適性の高い学生を探すことが容易ではなくなったからです。Facebookのタイムラインには、新入社員の紹介のほか、インターンシップを受けた人のインタビュー、内定者の懇談会、内定式の様子など、就職活動中の学生に近い立場の人を積極的に載せました。さらに、経営者や人事責任者などのブログをURLでリンクを貼り、トップの思いや学生に期待すること、仕事内容や組織風土などについても具体的に記していき、自社への理解を深めてもらう工夫を行いました。その中で、Facebookページに「いいね」を付けてくれた人については基本データを確認し、発言内容や「いいね」を付けている記事内容などから、採用基準の該当者に近く、かつ友だちの数の多い学生をキーパーソン(採用候補者)と位置づけました。友だちの数が多い学生としたのは、情報を数多く広げてもらうためです。キーパーソン(採用候補者)に対しては定期的に自社情報などを配信し、応募してもらうように誘導していきました。また、学生からの質問や疑問に対して答えたり、逆に学生へも質問をすることで、学生の仕事への考え方や入社への意向の程度などを知ることができるというメリットもありました。このような情報のやりとりにより、キーパーソンのネットワークで、自社情報への「いいね」が徐々に増えていき、またその「いいね」を付けてくれた人の中からキーパーソンを見つけていくことで採用母集団の数も増えていきました。
このように、キーパーソンのネットワークを活用しながら母集団を形成していく中で情報提供を行っていたため、面接では会社に対する理解が深く、入社意欲の高い学生と行うことができました。面接回数はより少なくなり、1回の面接で内定を出すケースもありました。

今後は、新卒の時に採用にまで至らなかった学生に対して、第二新卒や中途の採用に向けての候補者として、引き続き関係性を維持していくことも考えています。

(2)IT関連B社(従業員約150人)

●導入した背景

Facebookを活用することにより、人事からの情報とは別に、現場の社員が発する情報を伝えることができると考えました。そうすることで、学生が必要とする情報がダイレクトに伝わっていき、採用活動も効率的に進んでいくことを期待しました。

◆母集団形成

①Twitter・Facebook
社内で募集し、人事で選抜した数人の社員のTwitter、Facebookアカウントを、自社ホームページに公開しました。そして学生が興味を持った社員がいた場合、直接連絡を取ることを奨励しました。
一般的に、学生がコンタクトを取るのは採用担当者であるため、現場の社員とは話したくても、会社説明会やOB訪問くらいしか接点がありません。しかし入社後、一緒に働くのは現場の社員です。そこで、Twitter、Facebookアカウントを公開することによって、興味のある部署の社員と直接コンタクトを取れるようにしたのです。こうしたソーシャルメディアでは、従来のOB・OG訪問ではなかなか聞き出しづらかった社員の本音や情報を収集することができます。例えば、仕事の流れやキャリア形成などに関することはもちろん、その会社で働く社員が仕事以外にどのように時間を使っているか、どのような興味・志向を持つ社員が働いているのかなど、会社生活の様子がイメージできます。この点で、単なるOB・OG訪問より効果があると判断しました。
これにより、学生はB社における具体的な仕事内容だけでなく、自分が職場で働く姿をイメージできるようになりました。その結果、エントリーの数が前年度と比べ2割程度増え、かつ仕事を深く理解した学生からの応募が増えてきました。

◆面接

①Skype
これまで面接はすべて対面で行われ、時間も限られたものでした。会社に訪問するよりも手軽に顔を見ながら会話ができるSkypeを使うことによって、面接を行う回数を増やすことができました。その結果、トータルでの学生との接触する時間が長くなり、学生の会社に対する理解がより深まってきました。

限定的なソーシャルメディアの利用ですが、採用効率の面での改善が大きく見られたとB社では評価しています。



ソーシャルリクルーティングに対する学生の声

それでは、ソーシャルリクルーティングに対して、学生はどのような感想を持っているのでしょうか。学生に行ったインタビューから率直な意見をご紹介します。

●インタビュー対象者

インタビューに回答してくださったのは以下のような方々で、いずれもこの春就職活動をしていた学生です。ソーシャルメディアの中でも採用活動に活用されることの多い、Facebook・Twitterについては全員活用経験があり、主に友人との交流や情報収集に活用しているようです。

●インタビュー対象者

●インタビュー結果

以下の質問をし、さまざまな声があがってきました。

就職活動においてソーシャルメディアを活用したことはありますか?

・志望する企業がFacebookでしか採用情報を公開していなかったため、Facebookで情報収集した
・志望する企業のFacebookページを検索し、情報収集をし企業についての理解をより深めた
・就職活動に関する情報提供をしてくれるTwitterのアカウントをフォローし、情報収集をした
・就職活動を支援してくれるサービスを探した
・Facebookで同じ大学出身のOB・OGを探し、アポイントをとって話をきいた
・高校OBで作っているFacebookのグループの人に、志望する企業に勤めている人を紹介してもらった
・説明会に参加した企業からメッセージが届き、やりとりをした
・志望する企業のFacebookページに「いいね」をし、タイムリーに情報を収集した



ソーシャルメディアを活用することによって、感じたメリットはありましたか?

<メリットを感じた>

・1日の社員の動きが、HPや就職情報サイトよりも詳細に記載されているとイメージがわきやすい
・志望企業の更新する情報がタイムリーに手に入る
・Ustreamで説明会の中継がされており、交通費や移動時間の削減につながった
・自分とは別の就職活動学生の考えなどに触れる機会があり、刺激になる
・社員のブログは、作りこんだ感じが少なく日常生活の様子が垣間見えるため、親近感がわく


<メリットを感じなかった>

・就職情報サイトやHPの採用情報に掲載している情報と、Facebookなどのソーシャルメディアに掲載している情報が同じであるケースが多く、わざわざソーシャルメディアに情報を取得しにいく必要がない
・就職情報サイトは相当数の企業が掲載されており、知らなかった企業の存在を知ることができるが、SNSではあらかじめ興味のある企業を検索したり広告を見ることで情報収集をしたりすることはあっても、知らなかった企業を知る機会はあまりない
・一定の業界では積極的に活用されているようだが、自分が志望する会社は活用していなかった
・ある程度の情報は知りえても、実際に会社に訪問したときの感覚までは得られない

ソーシャルメディアを活用することによって、感じた「デメリット」はあまりないようですが、「SNSを頻繁に確認しないと、情報をタイムリーに収集できないかもしれないという怖さがある」といった声があがりました。

また、自分が人事担当者だったらソーシャルメディアを活用するか?という問いに対しては大多数が活用するという回答であるとともに、以下のような理由や活用法があげられました。

・今後ビジネスで必要であるITに対し、理解のある学生に出会える可能性が高い
・情報の配信先が未知数であるため、さまざまな学生を募集できる
・SNSで志望者を検索し、どのような投稿をしているかを確認することによって、エントリーシートだけでは見えない情報を収集する

「採用活動をする企業にとってのメリット」をある程度認識しているようです。
さらに聞くところによると、採用担当者がSNSの個人アカウントを閲覧し情報収集をするであろうという想定から、就職活動用に投稿内容を検討する学生もいるようです。その一方で、普段接している友人などの手前、就職活動用にページを作りこむことは抵抗がある人も多く、そもそも見られないようにブロックしておく、といった対応をしているケースもあるようです。

全体的に、学生側にデメリットはないものの、メリットがあるかどうかは企業が活用するソーシャルメディアやその使い方によるところが大きいようです。

(インタビューは上記の通り、数人の学生に実施しているものです。学生の声を代表しているわけではありませんのでご了承ください)



ソーシャルリクルーティングを行う上での留意点

手軽に情報更新ができる、情報の発信先が計り知れないなどのメリットを持つソーシャルメディアですが、ソーシャルリクルーティングを始める前に、確認しておきたいポイントをあげておきます。

●魅力的な情報発信

まず、自社のページから長期にわたって情報を発信し、より多くのファンを獲得するためには、コメント、画像・動画の投稿、問い合わせへの対応といった更新作業が欠かせません。そして、求職者にこれは面白い、役に立つと思ってもらえるような、魅力的な情報発信ができるかどうかが大きなポイントとなります。例えば、以下のような事項について、魅力的な内容として情報を発信していくことです。

①会社・事業内容に関するプレスリリース・公式発表情報
②採用に関する説明会・情報
③仕事の流れが分かるような情報
④トップや社員の人柄が分かったり、親しみが持てるような情報
⑤求職者にとって役に立つ業界動向などの情報


●運用ポリシーの設定

ソーシャルメディアを運用する企業には、一貫性のある対応が求められます。ページ管理者として、不適切だと思われるコメントを削除する必要があります。こうした場合、削除の基準があいまいだとファンの減少やクレームに結び付く可能性があります。また、ソーシャルリクルーティングとしての目的を明確にし、自社製品やサービスに関する情報発信を目的とするページとは分離し、採用活動に特化することが望まれます。
そのためにも、事前に社内の各部署の社員で構成される委員会等を立ち上げ、メンバー同士で話し合っていき、ソーシャルリクルーティングでやってはいけないことを明確にし、企業としての運用ポリシーを定めていくことが大切です。
運用ポリシーとして定めておくことは、以下のような事項です。

・適用の対象となる社員の範囲を明記する
・各種法令を順守する
・自社ロゴや他社商標の無断使用を禁止する
・他者を誹謗中傷する発言を禁止する
・他者権利の侵害を禁止する
・勤務先と利害関係にある方・団体・企業に関する発言を禁止する
・公開する範囲を情報の種類によって選択する
・守秘義務を順守する
・トラブル発生時の対応を事前に決定する
・違反時の罰則規定を設定する
・反論でのマナーに気を付ける
・他者権利を利用する際に事前確認を行う
・宗教や政党に関わる投稿は慎重に行う
・勤務先の記載について慎重に行う
・言葉遣いには十分に注意を払う
・社員が「いいね」をしない
・他者のプライバシーを侵害しない
・他者への独断的な評価を行わない
・反社会的な発言は行わない



今後、企業はどのように対応していくべきか

現在はまだ、IT系企業やWEB関連企業、ベンチャー企業が中心となっているソーシャルリクルーティングですが、今後さらに導入する企業が増えることでしょう。

しかし、他企業がやっているからというだけで安易に利用したところで効果は見出せません。事前に自社にとってのメリット・デメリットを整理する必要があります。
その際、あらゆる企業の活用方法をリサーチし、参考にするのがよいでしょう。

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