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(情報掲載日:2017年3月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

オープンイノベーションを実践する

VOL.62


オープンイノベーションとは、他社や大学などが持つ技術やアイデア、サービスなどを自社の資源やサービスと結合させ、そこに新たな価値を生み出す手法です。自社単独で進めていた事業開発を迅速かつ効率的に行うことができ、双方にメリットが生まれることからオープンイノベーションを取り入れる動きが広がっています。オープンイノベーションの概要、実践手法についてご紹介します。

オープンイノベーションとは

●オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、他社や大学、地方自治体、起業家、フリーランスなどが持つ技術やアイデア、サービス、知識などを組み合わせて、それを自社に取り入れることで新たな価値を生み出す手法です。2003年にハーバード・ビジネス・スクールのヘンリー・チェスブロウ氏が提唱しました。その対象は技術分野に限らず、マーケティング、社内システム、各種制度や企業のCSR(企業の社会的責任)活動と、幅広く活用されています。すでに確立している技術や知的財産を組み合わせることで、高い次元でのイノベーションを素早く実践できる手法として注目を集めています。


●オープンイノベーションの種類

オープンイノベーションは「知識の流れる方向は内外のどちらか」「知識の移動に金銭が伴うか」によって、四つの種類に分けられます。外部にある知識を探索して活用するインバウンド型には「購入」と「獲得」があり、自社にある知識を外部に提供するアウトバウンド型には「販売」と「開示」があります。



オープンイノベーションの種類
オープンイノベーションの種類
(編者 米倉誠一郎・清水洋『オープン・イノベーションのマネジメント』有斐閣を参考に作成)


オープンイノベーションのメリットとデメリットには以下のようなものがあります。効率よく外部とつながることで、新たなサービスや製品を生み出すことが期待できますが、その一方で自社の資源が流出することへの対策が必要となります。また、外部に頼ることに慣れると自社で考える意欲が失われ、自社の強みや他社と差別化するポイントを見失ってしまう、といったデメリットが生まれる可能性もあります。


オープンイノベーションのメリットとデメリット
オープンイノベーションのメリットとデメリット


オープンイノベーションの状況

●研究開発型企業に見るオープンイノベーションの現状

経済産業省は、上場企業のうち研究開発費が上位である企業に「企業の研究開発投資性向に関する調査」(※1)を行っています。この調査によると、10年前に比べてオープンイノベーションの取り組みが「活発化している」と回答した企業は45.1%にのぼります。「後退している」と回答した企業は極めて少なく、2.6%でした。この結果からオープンイノベーションの導入がこの10年で大きく進んだことがうかがえます。


10年前と比べたオープンイノベーションの取り組み
10年前と比べたオープンイノベーションの取り組み
(経済産業省「企業の研究開発投資性向に関する調査:平成28年3月」※1より)


10年前に比べてオープンイノベーションの取り組みが「活発化している」と回答した企業に、「外部連携の相手先を探索するために行っている取組み」について聞いたところ、「展示会等」(68.2%)、「論文・学会情報」(48.2%)が多く、それに次いで「仲介事業者の活用」が38.8%となっています。

研究開発を行う企業では、論文・学会情報を得ることで大学や企業が新たに開発した技術や情報を知り、さまざまな企業が新たな技術やサービスを紹介する展示会で連携先を探しています。また、自社よりもオープンイノベーションに関する情報を多く持つ外部の仲介事業者を活用することで、成功確率を上げようとしていることが分かります。オープンイノベーションが進展している背景には、こうした仲介事業者の存在も後押ししていると思われます。新たにオープンイノベーションサービスの仲介業者に進出参入する企業も少しずつ増えています。


外部連携の相手先を探索するために行っている取組み(「活発化している」と回答した企業)
外部連携の相手先を探索するために行っている取組み(「活発化している」と回答した企業)
(経済産業省「企業の研究開発投資性向に関する調査:平成28年3月」※1より)

●事例に見るオープンイノベーションの取り組み

企業におけるオープンイノベーションへの取り組み事例には以下のようなものがあります。多くの企業では専門の部署や担当者を置いており、内部に独立したポジションをつくることで社内を整理し、そこから外部とつながる流れをつくることが重視されていることがわかります。また、以下の通信会社の例のように、自社にとって有効な技術を持つベンチャー企業をいち早く見つけ出し、その企業を支援し育成しつつ投資を行う事例も見られます。


オープンイノベーションの取り組み事例
オープンイノベーションの取り組み事例
(経済産業省「オープンイノベーション白書」※2を参考に作成)


※1:経済産業省「企業の研究開発投資性向に関する調査:平成28年3月」
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000583.pdf

※2:経済産業省「オープンイノベーション白書」
http://www.meti.go.jp/press/2016/07/20160708001/20160708001.html


オープンイノベーションを成功させるポイント

●オープンイノベーションを成功させるポイント

オープンイノベーションを成功に導くポイントはどこにあるのでしょうか。経済産業省がまとめた「オープンイノベーション白書」では、事例をもとにした成功要因の分析を行っています。「いかに既存の手法から移行するか」「どれだけ本気で取り組むか」が成功の分かれ目になるといえます。


オープンイノベーションを成功させるポイント
オープンイノベーションを成功させるポイント
(経済産業省「オープンイノベーション白書」※2を参考に作成)


※2:経済産業省「オープンイノベーション白書」
http://www.meti.go.jp/press/2016/07/20160708001/20160708001.html


●新たな広がりを見せるオープンイノベーション

オープンイノベーションの事例には技術を中心としたものが目立ちますが、技術以外でも新しい動きが見られます。外部との出会いに触発されて、これまでに発想されていなかった新事業に進出したり、マーケティングの一環として利用したり、ユーザーとのコラボレーションをひとつのオープンイノベーションとして活用するといった動きが見られます。このほかにも、メーカーが技術ではなくアイデアを募集したり、課題を提示して解決策を募集するイノベーションコンテストを開いたり、専門家を募集したりと、さまざまな視点でイノベーションに向けた取り組みが行われています。


新たなオープンイノベーションの動き
新たなオープンイノベーションの動き
(編者 米倉誠一郎・清水洋『オープン・イノベーションのマネジメント』有斐閣を参考に作成)

オープンイノベーションには、守らなければならないルールといったものはほとんど存在しません。自由に外部へと視野を広げ、そこからいかに自社に役立つ技術やアイデア、情報を見つけられるかが問われることになります。そのためオープンイノベーションを導入する企業には、これまで以上に新たな技術やアイデア、情報に対して真摯に向き合うことが求められます。そして、「新たな技術やアイデア、情報を活用できないか」と過去に捉われずに考えてみることが成功のカギになるといえるでしょう。

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