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(情報掲載日:2016年7月11日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

育休からの職場復帰を支援する

VOL.54


育児休業後、フルタイムより短い勤務時間の短時間勤務などの働き方を選ぶ人が増えています。しかし、それと同時に一緒に働く職場のメンバーにとって、短時間勤務者のサポートが負担となる問題も起きています。企業はどのように育児休業からの職場復帰を支援し、勤務時間に制約がありながら働く社員をサポートできるのか。企業が行うべき準備や配慮、ノウハウについて解説します。

今、育休復帰社員に起きている問題とは何か

●復帰後、約3割の女性が短時間勤務を利用

厚生労働省は「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:労働者調査」(※1)を実施しています。これによると、育児休業の取得率は「男性・正社員」で5.4%、「女性・正社員」で71.7%でした。また、育児休業取得者あたりの休業取得期間は「男性・正社員」102日、「女性・正社員」326日でした。

また、育児休業からの復帰では、短時間勤務や所定外労働の免除制度など、育児をしながらの勤務の支援制度を利用する社員が増えています。同調査によれば、20〜40代の子ども(末子が小学校就学前)を持つ女性の正社員の29.2%が現在(調査時点:平成27年5月)、短時間勤務を利用していると答えています。

短時間勤務制度 利用状況
短時間勤務制度 利用状況
(厚生労働省「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:労働者調査」※1より)

また同時に行われた「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:企業調査」(※2)で、育児のための短時間勤務制度の整備状況を見ると、全体では「法定どおりの制度を整備している」81.6%、「法定を上回る制度を整備している」13.7%となっています。中でも、従業員数301人以上の企業では「法定を上回る制度を整備している」が43.2%と割合が高く、従業員の多い企業では両立支援の需要が高くなっていることがうかがえます。(※3)

その他の両立支援制度の導入状況を見ると「半日単位、時間単位等の休暇制度」(65.3%)、「始業または終業時間の繰上げ・繰下げ」(58.6%)、「休日勤務の免除」(29.9%)、「フレックスタイム制度」(16.0%)の順となっています。いずれも企業規模が大きいほど、制度が導入されている割合が高い傾向がみられます。

両立支援制度の導入状況
両立支援制度の導入状況
(厚生労働省「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:企業調査」※2より)

●時間に制約がある働き方がもたらす影響

勤務時間に制約のある社員が職場に増えることで、企業側にも以下のような課題が生じることが多くなっています。

時間に制約がある働き方によって企業側に生じる課題
時間に制約がある働き方によって企業側に生じる課題

中でも、周囲のサポートが必要となり、職場の負担感が増して不満となるケースに課題感をもつ企業は少なくありません。その課題にいかに対処するかが企業に問われています。また、時間に制約のある社員にどのような仕事を任せ、能力を発揮し活躍してもらうかという点も大きな問題です。その社員からすれば、時間に制約があることで責任ある仕事を任されず、将来のキャリアプランに影響する問題となることがあります。

※1:厚生労働省「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:労働者調査」(調査対象/男性・正社員:20〜40代の子ども(末子が3歳未満)を持つ正社員・職員1500人、女性・正社員:20〜40代の子ども(末子が小学校就学前)を持つ正社員・職員1000人)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000103111.pdf

※2:厚生労働省「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査:企業調査」(調査対象/農林水産業、鉱業、公務を除く全業種。従業員数51人以上を対象とし、51〜100人、101〜300人、301〜500人、501〜1,000人、1001人以上の5カテゴリーについて、1000社ずつ割付を実施した計5000社)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000103110.pdf

※3:育児・介護休業法 所定労働時間の短縮措置:短時間勤務制度
法定では、事業主は3歳に満たない子を養育する労働者について、短時間勤務制度を講じなければなりません。企業によっては、それを上回る期間(「小学校就学まで」や「小学校3年生まで」など)制度を利用できるよう、制度を整備することがあります。
(育児・介護休業法のあらまし 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/27a_001.pdf)

スムーズな職場復帰を支援する

●育休中から復帰に向けた支援を行う

育児休業明けの社員に無理なく職場復帰してもらい、職場の戦力になってもらうためにも、企業および職場の支援は不可欠です。上司や人事部門の担当者などが、出産後に本人と子どもの健康状態などを確認し、その後、定期的に職場の情報など適宜必要な情報を伝えることで復職へのモチベーションアップを図ります。また、本人が望むのであれば育児休業中にスキルアップを図ることもできるかもしれません。場合によっては資格取得などの案内も支援の一助となるでしょう。

●復帰前面談を行う

職場復帰面談は、復帰後の働き方を上司と本人がしっかり話し合える最初の機会であり、一般的には復帰1ヵ月前までに行います。休業明けは本人と上司で意思の疎通ができていないことが多いため、安心して仕事ができるよう疑問点をなくすことが求められます。面談前に以下のようなシートを渡しておき、記入してきてもらうとスムーズに面談を行うことができます。一般的には社内で面談を行うことが多いですが、育児中である社員の状況を考慮し、場合によっては社外で行うことも検討するとよいでしょう。上司は面談で、育児休業中の会社の状況を伝えるとともに、復職後の仕事の担当など、本人の疑問点や復帰に際する不安点について、ひとつひとつ解消していくスタンスが求められます。


職場復帰面談シートの項目例
職場復帰面談シートの項目例
(山口理栄・新田香織『さあ、育休後からはじめよう』労働調査会より)

●時間に制約がある働き方をサポートする

時間に制約がある働き方をしていると、どうしても周囲のサポートが必要になることがあります。普段からそのような事態に備えるには、当人の仕事状況をできる限り周囲から見えるようにしておくことが必要です。それも含め、サポートとして考えられる方法には以下のようなものがあります。


時間に制約のある働き方のサポート方法
時間に制約のある働き方のサポート方法
(山口理栄・新田香織『子育て社員を活かすコミュニケーション』労働調査会より)

職場を上手く運営する

●上司や育児経験者がノウハウを伝授する

時間に制約がある働き方の社員がスムーズに業務をこなすには、本人が仕事のやり方を変えることも有効な手段です。上司や育児経験者が以下のような仕事のコツを伝えて、仕事のやり方を変える努力をするように伝えます。


時間に制約のある中でスムーズに仕事をするコツ
時間に制約のある中でスムーズに仕事をするコツ

●職場メンバーと友好な関係を保つ努力をする

時間に制約がある働き方をする社員をサポートするのは職場にいるメンバーであり、その人間関係には常に配慮が必要です。時間に制約のある社員だけが「得をしている」かのように思い思われるのは、その社員にとっても職場メンバーにとっても望ましい状況とはいえないでしょう。将来までも含めて「お互いさま」と思える関係をつくれるよう、上司は本人と職場メンバーの双方に配慮を促します。職場のメンバーと友好な関係を保つには、以下のような配慮が考えられます。


職場メンバーと友好な関係を保つには
職場メンバーと友好な関係を保つには

社員が時間に制約がある働き方を利用することで、職場の仕事の効率が悪くなったり、職場の人間関係が悪くなることは避けなければなりません。また、時間に制約がある働き方をする社員にスムーズに働いてもらうには、本人と上司と職場のメンバーが互いに行動ベースでサポートし合うことが不可欠になります。

企業には、時間に制約がある働き方を利用する社員とその職場のメンバーの思いを日々確認しながら、双方がよりよく働ける仕事環境について考えていくことが求められます。そして、職場に乗り越えるべき課題が生じたときには皆が前向きに解決しようと思えるよう、企業は課題解決への積極的な意思があることをすべての社員に伝える努力を続けていかなければなりません。

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