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(情報掲載日:2016年6月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

対立を活力に変える「コンフリクト・マネジメント」

VOL.53


社内で起きる「対立」は、組織変革のチャンスでもあります。対立を戦略的に使い、組織運営の活力につなげる手法が「コンフリクト(対立)・マネジメント」です。どのように対立を組織活性化に活かすのか、考え方や手法について解説します。

コンフリクト・マネジメントの必要性

●コンフリクト・マネジメントとは

コンフリクト(Conflict)とは、主義・主張上の争いや論争、思想・利害などの衝突といった人と人の「ぶつかり合い」を指します。コンフリクト・マネジメントとは、意見が異なる対立が起こることを前提として前向きに対応し、その構図を利用して議論を深め、より建設的な戦略へと変えていく手法です。

●近年多発するコンフリクト

これまでの日本企業では終身雇用、年功序列が重んじられ、社内で対立を起こし、波風を立てることを避けてきました。しかし、多くの職場でダイバーシティ化が進み、企業の合併や再編が進む中、価値観やバックグラウンドの異なる人がコミュニケーションを取る機会が増えています。それにより、これまでになかったさまざまな緊張や摩擦が生じ、対立が起きています。また最近は、成果主義を採用する企業が増え、目標数値の設定や達成度の評価をめぐって、部下とマネジャーの間で対立する場面もみられるでしょう。これも組織内におけるコンフリクトといえます。

●コンフリクトがもたらすメリット

「対立=悪」と捉えられることがありますが、決してそうではありません。違いがあれば生まれるのがコンフリクトであり、コンフリフトが起こることで真剣な議論が起こり、それがさまざまなメリットを生み出すことにつながります。もし「自社に対立はない」と言っている企業があれば、それは対立を回避しているだけか、上層部や管理職が意見を押し付けている状況にあるのかもしれません。そこで対立が起きないと、組織内に不満が残ったままとなり、組織の変革の可能性をつぶすことにもなりかねません。

コンフリクトから生まれるメリット
コンフリクトから生まれるメリット

コンフリクトの実態


●対立を生む3つの要素

対立は大きく2つに分けられます。異なる意見があることで発生する理性的対立である「タスク・コンフリクト」と、人間関係の好き嫌いや立場の違いからくる感情的な対立である「リレーションシップ・コンフリクト」です。

対立の中身について考えてみると、そこには3つの要素があります。
1つ目は立場や役割の違いで起こる目標、条件の対立である「条件の対立」です。
2つ目は思考や価値観の違いで起こる物事の解釈の対立である「認知の対立」です。
3つ目は条件や認知の対立状態が続き、その経験がもとで心情面の対立を起こす「感情の対立」です。
「条件の対立」と「認知の対立」はタスク・コンフリクトであり、「感情の対立」はリレーションシップ・コンフリクトといえます。「感情の対立」がもっとも解決の難易度が高く、タスク・コンフリクトがこじれて、リレーションシップ・コンフリクトに変質しないように注意する必要があります。


対立を生む3つの要素
対立を生む3つの要素
(日本能率協会マネジメントセンター編『異質な力を引き出す対立のススメ』日本能率協会マネジメントセンターより)

コンフリクト・マネジメントを実践する

●対立を解決する5つの手法

心理学者のケネス・W・トーマスとラルフ・H・キルマンは、「自分の意向をどれだけ通すか」の軸と、「相手の意向をどれだけ汲み取るか」の軸のマトリックスから、「二重関心モデル」をつくり、解決行動を分類しています。対立を解決する場合には、どの部分が共有できるのか、どの部分が譲れないのかを確認しながら、「協調」「強制」「妥協」「服従」「回避」の手法を使い分けています。


「自分の意向」と「相手の意向」を軸とした解決策の分類
「自分の意向」と「相手の意向」を軸とした解決策の分類
(鈴木有香『人と組織を強くする交渉力』自由国民社より)

●対立解決の手順

コンフリクトの一般的なケースにおけるもっとも望ましい解決は、互いが協力し合ってWin-Winになる「協調」です。対立の構図から、いかに早く正確に相違点を見つけて、対立の原因を探しだすのか。そこで冷静に話し合いを進めるためには、ファシリテーションにも気をつける必要があります。対立解決の手順をまとめると以下のようになります。


対立解決の手順
対立解決の手順

●社内にコンフリクト・カルチャーをつくる

コンフリクト・カルチャーとは、対立をポジティブに受け入れられる組織文化です。深く前向きな議論を起こすには、対立を受け入れる組織内の雰囲気づくりが必要です。そのような文化をつくるポイントとしては、以下のようなものがあります。

@対立の中で議論する有用性を伝える

社内には、コンフリクトの有用性を理解していない社員もいるはずです。コンフリクト・マネジメントという考え方について説明したうえで、その意味や価値を理解してもらう必要があります。

Aフラットに意見が言い合える場をつくる

コンフリクトを活かした議論を行うために、職場のメンバーが守るべき3つのポイントがあります。1つは、自分を客観視し、相手の立場や価値観を理解して尊重すること。2つ目は、チームの共通の課題や目的を再認識して「誰が正しいか」でなく「何が正しいか」を考えること。3つ目は、人を威圧したり罵倒したりせず、言葉遣いにも気を付けて、不要なコンフリクトを避けることです。これらの行為から外れないように常に注意が必要です。

Bマネジメント層が積極的にコンフリクトを受け入れる

上司が部下に対してコンフリクト・マネジメントができないと、部下間で対立関係が生まれず、部下たちがその構図をコントロールして活かす技術も持てません。いかに上司が積極的にコンフリクトを受け入れられるのかが鍵となります。そのことが、上司がいなくとも部下たちが自ら対立を協調的に解決する社内風土をつくることにもつながります。

コンフリクトは、常に建設的な方向に向かうように誘導しなければなりません。そのためにも、職場のメンバーは常に同じ課題に取り組んでいることを自覚し、そのうえで多様な意見を認める気持ちを持たなければ、対立は活かされません。自由に意見が交わされ、そこに前向きなコンフリクトが起こる職場をつくっていく。コンフリクトを組織活性化につなげる風土づくりが企業には求められています。

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