メールマガジンの定期配信をご希望のお客さまは以下のボタンからお申込みください。

配信申込⁄停止

(情報掲載日:2016年5月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

「改正障害者雇用促進法」のポイント

VOL.52


2016年4月に「改正障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関連する改正法)」が施行されました。雇用の分野における障がい者に対する差別の禁止、職場で働くにあたっての支障を改善するための「合理的配慮」の提供義務などが盛り込まれています。どうすればこの法改正にスムーズに対応できるのか。対応すべきポイントを中心にご説明します。

法改正の背景とポイント

●改正の背景

2016年4月1日に施行された「改正障害者雇用促進法」では、雇用の分野での障がい者に対する差別が禁止され、「合理的配慮」の提供が義務化されました。今回の改正の成り立ちに深く関わっているのは障害者権利条約です。2006年12月に国連総会で採択され、日本は2007年9月に署名しています。この条約は、障がい者の人権や基本的自由の享有を確保し、障がい者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障がい者の権利を実現するための措置等について規定した、障がい者に関する初の国際条約です。

日本政府は条約の締結(批准)に向け、障がい者に関する制度改革を集中的に進めました。障害者権利条約には、「障がい」は障がい者ではなく、社会が作りだしているという「社会モデル」の考えが反映されており、今回の「改正障害者雇用促進法」の改正もその考えに準じています。制度改革の一環として、これまでに法律では2011年8月に障害者基本法が改正され、2012年6月には障害者総合支援法が成立。2013年6月に障害者差別解消法が成立、それと同時に「障害者雇用促進法」も改正されています。障害者権利条約は、2014年1月に批准書を国際連合事務総長に寄託し、同年2月19日より効力が生じています。

●明確化された障がい者の定義(2013年6月)

2013年6月に改正された「改正障害者雇用促進法」で、障がい者の定義は以下のように明確化されています。

障がい者の定義

以下に説明する2016年4月の改正ポイント@〜Bの対象となる障がい者は、障害者手帳を持っている方に限定されません。対象は、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)、その他の心身の機能に障がいがあるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な方となります。なお、改正ポイントCの法定雇用率の算定基礎に加えられる精神障がい者は、このうち精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方に限られます。

*1:心身の機能の障害
あらゆる心身の機能の障がいを意味しており、障がいの原因及び障がいの種類については限定していません。したがって、例えば、難病に起因する障がいを有する方、高次脳機能障がいを有する方などについても、その障がいが長期にわたる、又は永続するものであり、かつ、職業生活を相当程度制限する又は職業生活を営むことが著しく困難な場合は、差別禁止等の対象となる障がい者に含まれます。

*2:厚生労働省令で定めるもの
障害者雇用促進法施行規則
(精神障害者)
第1条の4法第2条第6号の厚生労働省令で定める精神障害がある者(以下「精神障害者」という。)は、次に掲げる者であって、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものとする。
一 精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
二 統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかっている者(前号に掲げる者に該当する者を除く。)

●改正ポイント@:障がいを理由とする差別の禁止

今回の改正で、募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、「障がい者であることを理由に障がい者を対象から排除すること」「障がい者に対してのみ不利な条件を設けること」「障がいのない人を優先すること」は、障がい者であることを理由に差別することになり、そのような差別行為は禁止されます。

差別に該当する例
差別に該当する例


●改正ポイントA:働くにあたっての支障を改善する「合理的配慮」の提供義務

今回の改正で、障がい者が働くにあたっての支障を改善する「合理的配慮」の提供が義務化されました。合理的配慮とは、例えば「募集および採用時」においては、障がい者と障がい者でない人との均等な機会を確保するための措置を指します。「採用後」においては、障がい者と障がい者でない人の均等な待遇の確保、または障がい者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置を指します。障がい者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じ、求められる配慮は異なるため、どのような配慮を行うかは企業と障がい者が話し合ったうえで決められます。ただし、企業に過重な負担を及ぼす場合にまで提供義務を負うものではありません。過重な負担かどうかの判断は、事業活動への影響の程度、実現難易度、費用・負担の程度などから企業側が判断します。


合理的配慮の例
合理的配慮の例


●改正ポイントB:障がい者からの苦情を自主的に解決する努力義務

今回の改正によって、企業は相談窓口の設置など、障がい者からの相談に適切に対応するために必要な体制を整備しなければなりません。そこで障がい者に対する差別や合理的配慮の提供に係る事項について、障がい者からの苦情を自主的に解決することが努力義務とされています。

また、企業と障がい者の間で紛争が起きたときは、都道府県労働局に相談することができ、都道府県労働局長が必要な助言、指導または勧告を行います。それでも解決しない場合は、調停の申請を行うことができ、第三者である調停(調停委員による調停・調停案の作成・受諾勧告)が行われます。

●改正ポイントC:法定雇用率の算定基礎の見直し

2018年4月から、法定雇用率(規定の労働者の総数に占める、雇用義務がある障がい者の割合)の算定基礎に、これまでの身体障がい者、知的障がい者に加え、新たに精神障がい者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方に限られます)が加わることが決定しています。ただし、激変緩和措置として施行後5年間(2018年4月1日〜2023年3月31日)は猶予期間となっています。この期間は、精神障がい者が追加された法定雇用率の引き上げ分について、法定雇用率を下回っても問題はありません。

ただし、現状において「精神障がい者を必ず雇用しなければならない」といった、特定の障がい者の雇用が必要になるような規定はありません。どのような人材を雇用するかは企業側の判断に任されています。

求められる積極的な職場改善

●今回の改正によって期待される企業のメリット

今回の改正は、障がい者を雇用する企業自らが、障がい者が職場で働くにあたっての支障を取り除き、障がい者が働きやすい環境をつくることが一つの目標となっています。そのような自主的な取り組みの結果として、障がい者だけではなく、社員の誰にとっても働きやすく、誇りを持てる職場とすることができるでしょう。また、職場が法定雇用率を達成するなどの社会的責任を果たすことは、社員がその企業の一員であることへの肯定感にもつながります。これらの活動によって、これまで以上に障がい者が職場のメンバーとして活躍できるようになれば、自然と社員同士が協力する体制も生まれ、それが職場の一体感につながっていくと考えられます。

●職場改善の具体例

障がい者が働きやすい職場にするには、各々の職場単位でそこに働く障がい者にヒアリングを行うことが有効です。そのうえで、どうすれば障がい者が職場で働くにあたり支障となることを取り除けるかを話し合い、ケースごとに改善策を考えていきます。実際の職場では以下のような改善が行われています。


職場の改善事例
職場の改善事例
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「平成27年度障害者雇用優良事業所」より※1)

※1:高齢・障害・求職者雇用支援機構「平成27年度障害者雇用優良事業所」
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11704000-Shokugyouanteikyokukoureishougaikoyoutaisakubu-shougaishakoyoutaisakuka/4.pdf

「改正障害者雇用促進法」のここが知りたいQ&A


「改正障害者雇用促進法」のここが知りたいQ&A

今回の法改正をまとめると、「企業は今まで以上に障がい者の言葉に耳を傾け、障がい者の立場になって考える必要がある」ということがより具体的になり、推奨された内容といえます。企業は積極的に障がい者とのコミュニケーションを増やすことで、障がい者も含めた社員全員の働きやすさを追究し、障がい者を職場の一メンバーとして受け入れる体制づくりを行うことが求められています。

本内容は、2016年4月1日時点で厚生労働省が公表している資料に基づき作成しています。
※改正障害者雇用促進法 周知リーフレット
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000099915.pdf

※改正障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&A
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000123072.pdf

配信申込⁄停止

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」 一覧へ