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(情報掲載日:2012年5月21日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

「外国人社員」の活用と課題

VOL.5


近年、グローバル化が進展していく中で、語学力をはじめ多様な価値観や経験、ノウハウ、技術を持った「外国人社員」の活用が企業の大きな課題となっています。日本人社員とは異なる風土で育った外国人社員は日本人とは少し違った志向や習慣を持っていることが多く、そのため、外国人社員への対応やマネジメントでは一定の配慮が必要となります。経営者や人事担当者、現場の責任者が知っておきたい外国人社員の活用のポイントについてご紹介します。

*ここでいう外国人社員(高度外国人材)とは、専門的な技術や知識を持ち、「技術」「人文知識・国際業務」「企業内転勤」の在留資格で日本に滞在・就労している外国籍の人を指します。「興行」や「技能」など他の在留資格での就労者は含まれません。



外国人社員増加の背景と採用のメリット

●外国人社員増加の状況とその背景

近年、日本における外国人社員の数が増えてきています。「外国人社員(高度外国人材)」は2010年で13万1199人となっており、2000年(5万9927人)と比べ7万1272人増加しています。(※1)

図表1:外国人社員(高度外国人材)の推移
図表1:外国人社員(高度外国人材)の推移

さらに、法務省の「平成22年における留学生等の日本企業等への就職状況について」を見ると、外国人留学生の日本国内での就職も増加しています。この10年間で日本へ就職する留学生数は約3倍となっています(2000年2689人→2010年7831人)。(※2)

外国人社員が増加してきた背景には、近年、企業における海外売上高比率が増加してきたことが挙げられます。特に、2001年に中国がWTOに加盟したことが大きな契機となっています。企業が中国をはじめとした新興国を単なる製造拠点だけではなく、研究開発拠点や市場として捉えられるようになってきたからです。その結果、グローバル要員確保の必要性が急速に高まってきました。
また、日本国内では少子化が進み社内の人口構成が高齢化していく中にあって、企業が必要とする一定水準の能力を保有した人材を日本人だけで確保することが難しくなってきたため、国籍に関係なく優秀な人材を獲得していこうとする企業が増えてきたことも背景の一つとして考えられます。

●外国人社員を採用する理由とメリット

外国人社員を採用する理由と、採用したことで得られるメリットについては、以下のように整理することができます。

外国人社員を採用する理由とメリット

※1法務省入国管理局 登録外国人統計 統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

※2法務省 平成22年における留学生等の日本企業等への就職状況について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00046.html



外国人社員をどう活用するか

●日本人とは異なる志向・習慣を持つため、マネジメントに留意する必要がある

多くの場合、外国人社員は日本人社員とは異なる習慣を持っています。日本企業において外国人社員を活用していく際に「日本的な働き方になじめない」「文化的背景の違いから、職場の人間関係に軋轢が生じる」「外国人社員に自社の企業文化を浸透させることが難しい」などの課題が生じています。そのため、日本人社員の多い職場で外国人社員を活用していく際には、マネジメント上で留意する点がいくつかあります。
厚生労働省は「企業における高度外国人材活用促進事業報告書」(※3)「高度外国人材活用のための実践マニュアル」(※4)などを公開しています。そこに記されている外国人社員が日本人社員や日本企業の回答と比べ異なった回答を示す項目、および企業ヒアリング結果などを参考に、外国人社員を活用する際の課題やポイントをピックアップしてみました。以下、「配属」「評価・処遇」「教育・研修」「働く環境」において、企業はどのように対応していけばいいのかをご紹介します。

●外国人社員を活用する際に留意する点
(1)「配属」での対応
『配属に不満がある場合、人事部・上司との三者面談を行い納得してもらう』

外国人社員は自分の強みを活かし、そして価値があると思う仕事を選びたい気持ちが強いようです。「高度外国人材活用のための実践マニュアル」(※4)では、従業員が望む定着のための施策について、日本人社員と外国人社員を比較していますが、外国人社員は日本人社員と比べて「本人の希望を活かした配置」を非常に重視していることからもその点が伺えます。そのことを受け、外国人社員を雇用している企業の約4割で配属のミスマッチ解消に向けた取り組みが行われており、そのうち9割近くが効果を上げています。
できるだけ本人の希望を聞いて話し合い、意向に沿った配属で能力を発揮してもらうことが大切です。しかし、現実問題として必ずしも希望の部署に配属できるとは限りません。特に新卒の場合では日本人社員と同様に扱うケースが多いため、どうしても配属に対する不満が出てきます。こうした不満を抱かせないためにも、配属前に人事部と上司との三者面談の機会を設けることが大切です。なぜその配属になったかを丁寧に説明し、本人に納得してもらうことが必要です。

『さまざまなキャリアプランが想定されるので、事前の確認が必要』

一般的に、外国人社員はプロフェッショナル志向が高く、短期的なキャリアアップを望み、転職志向が強いと言われていますが、必ずしもそうとは限りません。日本人社員と同様に長期雇用を希望する人、いずれは母国に帰りたい人など、さまざまなキャリアプラン(職業上の目標、将来の計画)が想定されます。
そのため事前に外国人社員のキャリアプランを把握しておくことが大切です。その上で、社内におけるキャリアパスを明確に示し、将来のキャリア形成に見通しを付けられるようにしていくとよいでしょう。
また、短期的なキャリア形成を望む場合には、定期的なキャリア面談を行い、どのようなことができれば望む仕事(ポジション)に就けるのか、明確な基準を示して対応していくことも必要です。

(2)「評価・処遇」での対応
『長期雇用を望んでいない場合、契約社員として評価・処遇を行う』

企業側は「長期で働いてもらうことを前提としている」が87.8%に達しているのに対し、転職してキャリアップしていくことを望む傾向のある外国人社員で「今の会社で長期に働き続けたい」人は57.2%にとどまっています。雇用契約に対して企業側と外国人社員側の考え方にギャップが存在していることが分かります。
外国人社員が長期雇用を望んでいない場合には、期間を限定した契約社員として雇用し、定性ではなく具体的な数値や成果測定の可能な定量の目標管理に基づいた明確な評価・処遇を行うことで対応します。

『評価・処遇に対する不満がある場合、フィードバックを明確に行い、具体策を示す』

評価・処遇の仕方に対して外国人社員のニーズが高いものは、「評価のフィードバックの充実」「昇進の基準と運用の明確化」などです。いきなり評価・処遇制度全体を見直すことは難しいかもしれませんが、仕事の結果が良かった場合ははっきりと言葉に出してその旨を伝えていく、悪かった場合はどこが良くなかったのか、今後どうすれば良くなるのか、具体的な改善方法を示していくことが大切です。
また、評価・処遇への納得感を高めてもらうために、単に明確にフィードバック・改善策を提示するというだけではなく、本人が納得するような策を講じている企業もあります。例えば「再評価制度」です。この制度では評価は年に2回行い、直属上司から本人に直接説明を行います。しかし、本人が評価結果に不満がある場合、今度は自分が指名した同部署の別のマネジャーによる再評価を求めることができるようにしています。これなら、再評価の結果が自分の上司と変わらない場合も、自分で選んだ人による結果なので満足することができるからです。

(3)「教育・研修」での対応
『「ビジネス文書やメールの書き方」向上のために、実務に合わせた研修を行う』

「高度外国人材活用のための実践マニュアル」(※4)の作成に当たって行われた「高度外国人材アンケート調査」によると、外国人社員の希望するOff−JTの研修では、「専門知識・技術の研修」と合わせて「日本語ビジネス文書の書き方研修」が多くなっています。また、外国人社員に対するヒアリング調査からも、日本語能力において「聞く」「話す」「読む」「書く」のうち、「書く」のが一番難しいという結果が出ており、外国人社員が日本語を使いこなすのは難しいということが分かります。この日本語能力が不足することで、周囲とのコミュニケーションがうまく取れず、思うように能力を発揮できない、疎外感を感じて組織に溶け込めないなどの問題が生じ、モチベーション低下やメンタルヘルスの原因となることもあります。
このような問題を解決するためには、実務に合わせた研修が効果的です。例えば、日本語研修を実施する際にも、研修ツールとして実務で使用する資料や日常的に社内で使われている文書などを使うことで外国人社員の理解も早くなり、より実務に直結した日本語を学ぶことができます。また、合わせて日本語学校への通学をサポートする、仕事終了後の日本人社員とのコミュニケーション機会を設けるなど、日本語の研修を継続的に行えるような取り組みも必要です。
その他に、日本語検定試験の受験を奨励し、取得した級に応じた「日本語手当」を給与に加算するなど報酬に反映する方法もあります。こうした取り組みを行うことが、外国人社員の日本語学習に対するモチベーション向上につながっています。

(4)「働く環境」への対応
『疎外感を感じさせないために、相談役を決めてアドバイスを行う』

「外国人だから」「日本語がよく分からないだろうから」という理由で、疎外感を与えてしまっているケースが少なくありません。それには意識的にさまざまな行事に参加してもらい、皆と顔見知りになり、情報を共有していくことが大切です。
その場合、相談役を決めて外国人社員にアドバイスしていく体制を取ることが効果的です。日本人の先輩社員や人事部社員を相談役に置いて、仕事面だけではなく広く生活面でのサポートしていくことを行う企業も多いようです。また、先に来日した外国人社員を相談役に置く企業もあります。言葉などの問題もあり、日本人よりも相談しやすいとの配慮からです。新しく来た外国人社員が何か分からないことや困ったことがあったら、その人に聞いてもらうようにし、それでも解決できない場合は人事担当者に聞いてもらう、といった二段構えの対応を行っています。
外国人社員に対するヒアリング調査を見ると、自国とは異なった組織風土で仕事をしていくうちに「カルチャーショック」を受け、「自国で就職したほうがよかった」と感じる外国人社員が少なくありません。このようなショックを和らげるには、職場における上司や同僚とのコミュニケーションを意識的に行う必要があります。個別に話し合う機会を持ち、外国人社員が抱える悩みや不安などを聞いていくことです。そして、人事部などを交えた三者面談を行い、対応策を考えていくことが大切です。

『仕事のやり方についての改善要望を受け入れ、見直しをする』

日本企業の「仕事の進め方」「仕事のやり方の効率性」「仕事の指示の明確性」という点について外国人社員は不満を感じているようです。「仕事の指示が曖昧で、誰が何をいつまでにやらなければならないかが分からない」「仕事が多い時には仕方がないが、そうでない時でも残業している人が多く、自分だけ帰りづらい」「会議が多く、時間が長い。会議の中身も打ち合わせの際に議題が明確に示されないので、何を目的に話し合っているのか分からない」というような声が挙がっています。このような状況を作らないためにも、日本人社員を含めた仕事の進め方を見直すことが必要です。
例えば、仕事の指示をする時には目的と誰が何をいつまでにやらなければならないかを明確に伝える、定時で帰ることを奨励する、会議をする時には目的や議論の流れを明確にするなど、外国人社員の意見を聞きながら、仕事のやり方についての改善を図っていくことが求められています。

『外国人の文化や習慣を尊重し、配慮する』

外国人の文化や習慣を尊重し、配慮することが必要です。例えば、休暇に対して外国人社員は相当期間があることが一般的であるため、外国人社員に配慮した休暇を設けることや有給休暇を連続して取得しやすい制度を作り、風土として定着させることが、仕事のモチベーションを高めることにつながっていきます。
また、宗教の戒律として食事制限がされていたり、お祈りの時間が決められているといったケースもあります。社内食堂で食材の内容を英語と日本語で表示する、お祈りのために空いている部屋を用意するなど、外国人社員の文化に対する理解と配慮をすることが必要です。
その他に、異なる文化・習慣に対し、日本人社員が理解を深めることも大切です。

「外国人社員の特性を活かした活用」は、これまでの日本企業の仕事の仕方、組織風土、マネジメントのあり方などの見直しなどにつながっていき、日本企業に多くの価値をもたらすことになります。そのためには日本人社員が異文化に対する理解と配慮を心がけ、対応していくことがより重要となっていくでしょう。

※3 厚生労働省 企業における高度外国人材活用促進事業報告書
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin/100409.html

※4 厚生労働省 高度外国人材活用のための実践マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/oshirase/110224a.html

【参考】
「外国人の雇用に関する疑問を解決」
外国人の雇用手続きなどについてQ&Aを紹介しています。
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/jhqa/vol20.html

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