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(情報掲載日:2015年10月13日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

特集 2015年9月30日施行「改正労働者派遣法」

VOL.45


2015年3月に第189回通常国会に提出された労働者派遣法改正案が、9月11日に成立しました。成立から約3週間後の9月30日には施行日を迎え、新しい法律のもとでの運用が開始しています。派遣期間制限の見直しをはじめ、今回の改正で大きく変わる事項を中心にご説明します。

改正の経緯

労働者派遣法(正式名称「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」)は、「派遣労働者の保護等を図り、もってその雇用安定、福祉の増進に資する」ことを目的とした法律で、そのために派遣元や派遣先が守るべきルールが定められています。1986年7月1日に初めて施行され、その後、経済状況や労働意識の変化等、社会情勢に合わせて改正が行われています。

3年前の2012年派遣法改正時、専門26業務に該当するかどうかによって派遣期間の取り扱いが変わる制度について、派遣先、派遣元、派遣労働者にとって分かりやすい制度になるよう見直しを検討するようにという旨が附帯決議に盛り込まれました。それを受け、「今後の労働者派遣事業の在り方を考える研究会」、通称“在り方研究会”が発足し、議論を重ねてきました。
在り方研究会の報告をもとに労働政策審議会で改正法案のためのたたき台が作成され、2014年3月に通常国会へ法案が提出されましたが、条文ミスにより廃案。同年秋の臨時国会に再度改正法案が提出されるも、衆議院解散によりまたしても廃案となりました。このような経緯を経て、本年2015年三度目の審議の場となった第189回通常国会でようやく改正派遣法が成立し、同年9月30日に施行の運びとなりました。
また、2012年派遣法改正時に創設された労働契約申込みみなし制度は、2015年10月1日に施行されています。


改正派遣法のポイント

今回改正された派遣法には、「派遣労働という働き方、およびその利用は、臨時的・一時的なものであることを原則とするという考え方のもと、常用代替を防止するとともに、派遣労働者のより一層の雇用の安定、キャリアアップを図るため」との目的が掲げられています。
その目的を実現するため、派遣事業の健全化を目指した労働者派遣事業の一本化、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップのための派遣元・派遣先に対するさまざまな義務付けをはじめ、派遣期間制限の見直し、派遣労働者の均衡待遇の強化などが盛り込まれました。派遣元にとっては派遣事業運営、派遣先にとっては派遣サービスの活用方法、派遣労働者にとってはキャリアプランなど、それぞれに大きな影響を及ぼす可能性があると言えます。
今回は、改正事項のうち、大きな改正点3点にポイントを絞り、ご説明します。


●ポイント1 より分かりやすい派遣期間制限への見直し

改正前の派遣法では、専門業務のいわゆる「26業務」には期間制限がかからず、その他の業務には原則1年最長3年の期間制限がかかっていました。この制度には、26業務かどうかで期間制限が異なることや、26業務の業務区分がわかりにくく、現場が混乱するという課題がありました。改正派遣法では、これを分かりやすい制度とするため、26業務の区分は廃止し、派遣先事業所単位、個人単位の2軸の新たな期間制限が設けられることとなりました。

●ポイント2 派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ

改正前の派遣法では、派遣労働者には派遣期間終了後に雇用の継続の保証がなく、雇用が不安定であるという課題がありました。また、派遣労働者は正規雇用労働者に比べ職業能力形成の機会が乏しく、キャリアアップに課題があるとされていました。改正派遣法では、派遣労働者の雇用安定と処遇改善、キャリアアップを目的に、派遣先・派遣元にさまざまな義務が課されています。

「雇用安定措置」は、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるための措置です。同一の組織単位に継続して3年に達する見込みの派遣労働者に対し、派遣労働者が引き続き就業することを希望する場合、上記の措置を講じる必要があり、1年以上3年未満の場合は努力義務となっています。
派遣元は派遣労働者が派遣先での直接雇用を希望する場合には、まず①の措置を講じ、その結果、派遣先での直接雇用に結びつかなかった場合には、②〜④のいずれかの措置を追加で講じる義務があります。なお、派遣元は、個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置の内容について、派遣元管理台帳に記載しなければなりません。特に、派遣先への直接雇用の依頼を行った場合は、派遣先からの受け入れの可否についても記載するこが必要です。
また、③派遣元事業主による無期雇用は、派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用とすることとされています。④その他雇用の安定を図るために必要な措置は、新たな就業の機会を提供するまでの間に行われる有給の教育訓練や紹介予定派遣等を指すとされ、派遣元ではどのように雇用安定措置の対応を進めていくか、急ぎ検討が必要となっています。


●ポイント3 派遣事業の健全化

改正派遣法では、特定労働者派遣事業も見直しとなります。派遣事業には許可制の「一般労働者派遣事業」と届出制の「特定労働者派遣事業」2種類がありました。しかし、届け出れば事業を行える「特定労働者派遣事業」には、一部に行政処分が多い事業者が存在するなどといった課題がありました。この課題の解決を目指し、すべての事業者が許可制の「労働者派遣事業」に一本化されます。これにより、派遣業界全体の健全化や労働者保護が期待されています。


改正派遣法のここが知りたい!


Q、個人単位の期間制限における「同一の組織単位」とはどのようなものを指すのでしょうか

A、いわゆる「課」などが想定されます。
派遣先における組織の最小単位よりも一般的に大きな単位が想定されますが、名称にとらわれることなく、以下の観点から、実態に即して判断されます。
・課・グループ等の業務としての類似性、関連性があり、かつ、その組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するもの


Q、事業所単位の期間制限における「同一の事業所」とはどのようなものを指すのでしょうか

A、雇用保険の適用事業所の考え方とほぼ同義です。
以下の観点から、実態に即して判断されます。 ・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
・施設として一定期間継続するものであること
上記の定義は雇用保険法等雇用関係法令における概念と同様のものであり、出張所、支所等で、規模が小さく、その上部機関等との組織的関連ないし事務能力からみて一の事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱うとされています。


Q、改正派遣法では、これまでのような「業務区分」がなくなるので、派遣労働者にどんな仕事でも頼めるようになりますか

A、派遣労働者に頼める業務内容に制限はありません(※1)が、あらかじめ派遣契約で業務内容を取り決め、依頼する必要があります。
※1以下の派遣禁止業務は除きます
1、港湾運送業務 2、建設業務 3、警備業務 4、病院・診療所等における医療関係の業務 5、弁護士、社会保険労務士等のいわゆる「士」業務


Q、派遣可能期間の延長に必要な「意見聴取」とはどのようなものでしょうか

A、事業所単位の派遣可能期間3年を超えて派遣労働者を受け入れたい場合、期間の延長をする必要があります。その延長の際に、派遣先がその事業所の過半数労働組合等(※2)に対して意見を聴くことを「意見聴取」と言います。
意見聴取は、期間制限の上限に達する1ヵ月前までに行うことが必要で、過半数労働組合等から異議が示されたときは、対応方針等を説明する義務があります。

※2過半数労働組合が存在しない場合、事業所の労働者の過半数を代表する者に意見聴取します


Q、労働契約申込みみなし制度とはどのような制度でしょうか

A、一定の違法派遣の受入をしていた派遣先が、受け入れている派遣労働者に労働契約を申し込んだとみなす制度です。2012年の派遣法改正で創設され、2015年10月1日に施行されました。
この制度は、違法派遣(※3)を受け入れた派遣先への民事的な制裁と、派遣労働者の保護(派遣労働者の希望を踏まえつつ、雇用の安定が図られるように)を目的としています。
派遣先が善意無過失である場合を除き、以下の違法派遣を受け入れた時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件で労働契約の申込みをしたものとみなされ、派遣労働者の申込み承諾により、労働契約が成立します。

※3労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣
①労働者派遣の禁止業務(※1)に従事させた場合
②無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
③期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合(※4)
④いわゆる偽装請負の場合(労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要な事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受ける場合)

※4期間制限違反について
・新たに設けられる事業所単位・個人単位の2つの期間制限のどちらかに違反した場合、労働契約申込みみなし制度の対象となります。
・改正法の施行日(2015年9月30日)時点より前から行われている労働者派遣については、改正前の期間制限が適用され、派遣先が制限を超えて派遣労働者を使用しようとするときは、改正前の法律に基づく労働契約申込み義務の対象となります。(労働契約申込みみなし制度の対象とはなりません。)


本内容は、2015年10月13日時点で厚生労働省が公表している資料に基づき作成しています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf

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