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(情報掲載日:2012年4月23日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

ついに改正法が成立「労働者派遣法」

VOL.4

ここ数年継続審議が続いていた労働者派遣法改正案が、2012年3月28日、参院本会議にて可決されました。改正法交付後6ヶ月以内に施行されます。いったいどのように変わるのでしょうか?
そこで今回は、改正労働者派遣法の概要についてご紹介します。

労働者派遣法の歴史

労働者派遣法は、正式名称を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(※1)といいます。この法律は派遣労働者の雇用安定、福祉の増進などを守るためのもので、派遣会社や派遣先企業が守るべきルールが定められています。

労働者の権利を守る法律として労働基準法が挙げられますが、その対象は正社員や派遣、パートまですべて含まれています。一方、労働者派遣法は、対象を「派遣労働」に特化しているのが特徴です。

労働者派遣法が初めて施行されたのは、昭和61年(1986年)7月1日のことです。その後、経済状況や労働意識の変化など、当時の社会情勢に合わせて改正が行われてきました。

労働者派遣法の歴史

※1 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S60/S60HO088.html

※2 厚生労働省 派遣受入期間の制限について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0530-8b.pdf

労働者派遣法の改正論議の経緯

●リーマン・ショックと3党連立政権の誕生

それでは、今回の労働者派遣法の改正論議に至るきっかけとなった、派遣労働者の最近の動きを振り返ってみましょう。まず、平成19年(2007年)ごろから、労働者派遣法で禁止されている業務への派遣や、派遣先の企業からさらに派遣するなどして、別の会社の指揮命令で働かせる二重派遣等の違法行為が問題視されるようになりました。また、1日単位で派遣するいわゆる日雇派遣が、ワーキングプアやネットカフェ難民を生むとして、世間の批判にさらされます。

そこで自民党政権時代の平成20年(2008年)11月4日、政府は日雇いや30日以内の短期派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法改正案(※3)を国会に提出しました。一方、2008年秋の「リーマン・ショック」に端を発した金融危機により、"世界同時不況"が発生。そのあおりを受けて製造業を中心に、業績悪化や経営方針変更等で派遣契約を途中で解除する「派遣切り」や、雇用契約を更新せず満了で終了する「雇い止め」が続出します。その結果、仕事と住まいを同時に失う派遣労働者が増加し、派遣村がマスコミで取り上げられるなどして、社会問題化しました。これら諸問題への対策として、平成21年(2009年)6月26日、製造業派遣の禁止などを盛り込んだ改正案(※4)が、当時野党であった民主党、社民党、国民新党の共同提案によって提出されます。しかし衆議院の解散を受けて、いずれの法案も廃案となりました。

その後、平成21年(2009年)8月に衆議院選挙が行われ、9月に民主党、社民党、国民新党による3党連立政権が誕生します。3党連立の合意により、労働者派遣法の抜本的改正が掲げられ、製造業派遣の原則禁止、登録型派遣の原則禁止など、これまでの規制緩和の流れに歯止めをかける方針が打ち出されました。
平成22年(2010年)には、再度改正法案(※5)が国会に提出されましたが、継続審議となりました。平成23年(2011年)、民主・自民・公明3党により、改正案の中から「製造派遣、登録型派遣の原則禁止」等を除外した修正案が提出されました。
平成24年(2012年)3月8日に労働者派遣法改正法案が衆議院で可決、3月28日に参議院で可決、成立に至りました。(※6)

※3 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」について(平成20年(2008年)11月4日)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/11/h1104-1.html

※4 民主党ホームページ 民主党はじめ社民、国民新の野党3党で「労働者派遣法改正案」を衆議院に共同提出(平成21年(2009年)6月26日)
http://www1.dpj.or.jp/news/?num=16370

※5 厚生労働省 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について (平成22年(2010年)3月19日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000050fd.html

※6 厚生労働省 労働者派遣法改正法(平成24年(2012年)3月29日)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf

おもな労働者派遣法改正のポイント

それでは、今回の改正における主なポイントをみてみましょう。

(1)日雇派遣・雇用契約の規制
政令26業務の中の特定業務(a)及び、雇用機会確保が特に困難と認められるもの(b)以外は、日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者について、労働者派遣を禁止

「特定業務」に加え、「雇用機会確保が特に困難と認められるもの(※8) 」が禁止対象から除外されることになりました。
派遣元と労働者の雇用契約が30日超であれば、派遣先と派遣元との派遣契約の期間は問われません。(施行日:交付から6ヶ月以内)

a: 特定業務(現時点で想定されている業務)

1号(システム開発)、2号(機械設計)、5号(機器操作)、6号(通訳翻訳)、7号(秘書)、8号(ファイリング)、9号(調査)、10号(財務)、11号(貿易)、12号(デモンストレーション)、13号(添乗)、16号(受付案内のみ)、17号(研究開発)、18号(事業の企画立案)、19号(編集)、20号(広告デザイン)、23号(OAインストラクション)、25号(セールスエンジニア等の営業)業務

詳細は今後政令によって定められます。

b:雇用機会確保が特に困難と認められるもの(現時点で想定されている内容)

60歳以上の高齢者、昼間学生、副業として従事する者、主たる生計者でない者

詳細は今後政令によって定められます。


(2)専ら派遣
関係派遣先(親会社と連結子会社間に適用)への8割を超える派遣を禁止

事業年度ごとに、厚生労働大臣に対し、親会社への総派遣労働時間の報告義務があり、8割超の場合は、指導・助言・勧告・許可の取り消しなどの措置が順次講じられます。(施行日:交付から6ヶ月以内)


(3) 違法派遣への対処(みなし雇用)
違法派遣(c)であることを承知しながら派遣労働者を受け入れている場合、派遣先が派遣労働者に対し、派遣元における同一の労働条件を内容とする労働契約を申し込んだものとみなす(みなし雇用)。
上記の労働契約の申込みを派遣労働者が受諾したにもかかわらず就労させない場合、派遣先に対する行政の勧告制度を設け、従わなかった場合には社名を公表する

違法行為が終了した日から1年を経過するまでは申し込みの撤回はできませんが、経過後は申し込みの効力は失効します。 (施行日:法律施行日から3年を経過した日)

c:違法派遣

禁止業務への派遣受け入れ、無許可・無届の派遣元からの派遣受け入れ、期間制限を超えての派遣受け入れ、いわゆる偽装請負の場合(労働者派遣法の義務を免れることを目的として、労働者派遣契約を締結せずに派遣動労者を受け入れること)


(4)その他(派遣労働者の待遇改善)
・派遣元に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置の努力義務化
・派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡の考慮
・派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)の公開などの情報公開の義務化
・雇入れ等の際に、派遣労働者に対する派遣料金の額の明示を義務化

一部詳細は、今後省令で定められます。(施行日:公布から6ヶ月以内)


(5)検討事項
法律施行後の状況、高齢者の就業実態等を勘案し、登録型派遣、製造業務派遣、特定派遣のあり方について、速やかに検討を行う

登録型派遣、製造業派遣については、ゼロベースでそのあり方について議論し、特定派遣については許可制への変更などを含めたあり方の議論が行われると想定されています。(公布から6ヶ月以内)
(平成22年の通常国会に提出された改正案から修正が加えられ、原案にあった製造業派遣や一部の登録型派遣を禁止する規定は削除されました)

*上記は厚生労働省発表資料に基づくもので、法改正や方針に関して、テンプグループの見解を述べているものではありません。

ここはどうなる?Q&A

それでは実際に実務上、どのような対応が必要になるのでしょうか?いくつかお問い合わせいただく内容をまとめました。

日雇派遣・雇用契約の規制について

Q.月末月初に5日間の書類チェック業務で派遣を活用していました。今後はできなくなるのでしょうか?

いいえ。
法的には派遣会社とスタッフとの雇用契約が30日超であれば派遣は可能です。恒常的に発生する業務については、派遣会社との派遣契約についても30日超で締結いただくことをご検討ください。
また、60歳以上の高齢者、昼間学生、副業として従事する者、主たる生計者でない者は禁止対象から除外される予定です。


専ら派遣について

Q.関係派遣先への派遣が8割を超えてしまった場合、すぐに派遣事業ができなくなるのでしょうか?

いいえ。
まずは年度毎に関係派遣先への割合がチェックされ、8割超えていた場合は、指導・助言・勧告と順をおって必要な措置が講じられる見込みです。よって、すぐに派遣事業ができなくなるわけではないと考えられます。


違法派遣法への対処(みなし雇用)

Q.違法派遣だった場合、すぐに直接雇用関係が成立するのでしょうか?

いいえ。
この規定は「雇用関係があるものとみなす」制度ではなく、「雇用契約を申込んだものとみなす」制度のため、申込に対するスタッフの受諾があって、雇用契約が成立することになります。

Q.みなし雇用制度では、期間制限のない正社員として直接雇用することになるのでしょうか?

いいえ。
派遣会社と労働者との雇用契約が有期雇用であれば、みなし雇用の雇用契約も有期雇用となります。ただし、反復雇用を繰り返しているなどの状況があれば、実態を見て判断するとの国会答弁もなされているため、留意が必要です。

このほかに、改正法と同時に可決した付帯決議に、専門26業務かどうかによって派遣期間の取り扱いが変わる現行制度について、見直しの検討を開始するようにとの記述がありました。今後も労働者派遣法の動向については目が離せません。

派遣法改正に関する情報につきましては、テンプグループの営業担当やテンプナレッジマガジンを通じ、随時ご案内をさせていただきます。
お困りのことがありましたら、テンプグループへご相談ください。

*2012年4月10日現在の情報を元に作成しています。

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