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(情報掲載日:2014年9月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

企業の高度外国人材採用

VOL.32


日本および海外の大学・大学院を卒業した高度外国人材を採用する企業が増えています。2014年4月入社の新卒者のうち「3割を外国人とする」という方針を掲げた企業もあります。高度外国人材の雇用状況、企業が採用する理由、採用のポイントについてご紹介します。

高度外国人材の雇用状況と取り巻く環境

●外国人労働者約72万人のうち高度外国人材は約13万人

厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によると、平成25年10月末時点の外国人労働者数は約72万人で、平成19年に外国人雇用の届出が義務化されて以来、初めて70万人を超えました(※1)。増加した要因としては、現在、政府が進めている高度外国人材、留学生の受入が進んできていることに加え、雇用情勢が改善傾向で推移していることが考えられます。
高度外国人材の定義については定まったものがありませんが、平成21年発表の高度人材受入推進会議の報告書(※2)では、「現行の就労可能な在留資格である専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人労働者」としています。
外国人が日本で働くことのできる在留資格は下のグラフにある5種類となっており、専門的・技術的分野の在留資格は、興行、人文知識・国際業務、技術、教育、宗教、技能、企業内転勤、投資・経営など14種類あります(※3)。「外国人雇用状況」によると、同在留資格をもつ外国人労働者の総数は13万2,571人にのぼり、外国人労働者全体の18.5%となっています。

在留資格別外国人労働者の割合
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(平成25年10月末現在)
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(平成25年10月末現在)

●人文知識・国際業務、技術の在留資格の高度人材が増えている

専門的・技術的分野の在留資格14種類の中で、一般企業の採用職種と関係が深いものは、人文知識・国際業務、技術、技能、投資・経営などであり、このうち人数の多い人文知識・国際業務および技術の在留資格については、法務省入国管理局が例年8月に新規取得者の数を発表しています。平成25年においては技術が7,155人、人文知識・国際業務が7,015人でした。技術は前年比1,034人、人文知識・国際業務は前年比459人と、それぞれ増加しています(※4)。
最近の傾向を追ってみると、リーマンショックの影響が出る前の平成20年に人文知識・国際業務と技術の合計で年間17,490人が在留資格を取得していましたが、リーマンショック後には著しく減少した後、平成22年からは少しずつ増加する傾向が現れており、直近の平成25年度は合計14,170人となっています。その理由としては、前述にあるような雇用情勢の改善傾向や、その他に政府の受入支援策、留学生に対する企業の評価が高まってきていることなどが挙げられます。

人文知識・国際業務および技術の在留資格の新規取得者数の推移
厚生労働省「平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況」(※1)
法務省 「平成25年における日本企業等への就職を目的とした「技術」又は「人文知識・国際業務」に
係る在留資格認定証明書交付状況について」(※4)をもとに作成

●ポイント制で高度外国人材を優遇する仕組みがある

高度外国人材の受入れ拡大策の一環として、法務省入国管理局により平成24年から「高度人材ポイント制」が導入されました。この制度では、①高度学術研究分野(学歴は修士・博士)、②高度専門・技術分野(学歴は大学卒業以上)、③高度経営・管理分野(学歴は大学卒業以上)の3つの分野で活動する高度外国人材を対象とし、学歴・職歴・年収・年齢・研究実績や地位、日本の国家資格、日本語能力等の区分ごとに設定されたポイントが合計70点に達すると、本人が出入国管理上の優遇措置を受けられるメリットがあります(※5)。その内容は、①原則として外国人には1つの分野での在留活動しか認められていないのに対して複合的な在留活動が許容される、②法律上の最長の在留期間である「5年」が一律に付与される、③永住許可要件が緩和される、④入国・在留手続が優先的に処理される、⑤配偶者の就労が認められる、⑥一定の条件の下での親の帯同が認められる、⑦一定の条件の下での家事使用人の帯同が認められるとなっています。
ちなみに平成25年12月末時点において、「高度人材ポイント制」で合格点に達して認定された件数は、高度学術研究分野131件、高度専門・技術分野684件、高度経営・管理活動51件となっています(※6)。

※1 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(平成25年10月末現在)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/0000036117.pdf

※2 高度人材受入推進会議「外国高度人材受入政策の本格的展開を」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinzai/dai2/houkoku.pdf

※3 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
http://tokyo-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0110/3156/26gaikokujin.pdf

※4 法務省 「平成25年における日本企業等への就職を目的とした「技術」又は「人文知識・国際業務」に係る在留資格認定証明書交付状況について」
http://www.moj.go.jp/content/000125884.pdf

※5 法務省入国管理局「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/pdf/leaflet_ja.pdf

※6 法務省入国管理局「外国人労働者の受入れについて」(平成26年2月)
http://www.moj.go.jp/content/000121299.pdf

企業が高度外国人材を採用する理由

●高度外国人材を雇用している大企業は72.7%

平成24年度経済産業省委託事業として実施された「日本企業における高度外国人材の採用・活用に関する調査」(※7)によると、回答した433社のうち高度外国人材を「雇用している」企業が37.2%、「雇用する予定」の企業が6.7%、「以前雇用していた」企業が5.1%で、この3項目を合わせた回答が全体の49.0%にのぼりました。企業規模別では、従業員5,000人以上の企業で高度外国人材を「雇用している」企業が72.7%、「雇用する予定」の企業が9.1%、「以前雇用していた」企業は0%でした。
また、同調査では高度外国人材の採用を①外国人留学生新卒採用、②海外大学卒の外国人材新卒採用、③キャリア採用の3つに分けて調査しています。それぞれの過去5年間の採用実績について見ると、①外国人留学生新卒採用で65.6%、②海外大学卒の外国人材新卒採用で20.8%、③キャリア採用で36.3%の企業が採用を行っています。企業における外国人採用は、日本の大学で学ぶ外国人留学生の新卒採用が中心になっている実態が見て取れます。

過去5年間における高度外国人材の採用実績について 単位:%
経済産業省委託事業「日本企業における高度外国人材の採用・活用に関する調査」(平成24年)(※7)
経済産業省委託事業「日本企業における高度外国人材の採用・活用に関する調査」(平成24年)(※7)

●高度外国人材の採用目的とは

同調査によると、企業が高度外国人材を採用する目的の中で多かったのは、「国籍に関係なく優秀な人材の確保」で69.8%、次いで「海外との取引に関する業務を行うため」で48.6%となっています。他は「本社のダイバーシティ(人材多様化)政策の一環」と「自社(グループ)海外現地法人との調整業務」が同じく27.8%、「新規に海外への事業展開を行うため」が24.5%などとなっています。

●新卒採用の3割を外国人とする方針を掲げた企業もある

グローバルに展開している企業の中には、2014年4月入社の新卒者のうち「3割を外国人とする」という方針を掲げた例があり、計画的に高度外国人材を増やしていこうとする姿勢が伺えます。採用職種としては、従来は通訳や海外の取引先やグループ会社とのコミュニケーションを円滑にするための専門職種での採用が多くありましたが、最近ではそれに加えて外国人を幹部候補生の総合職として採用し、日本人の新卒者同様に幅広い部門を経験させる企業もあります。

※7経済産業省委託事業「日本企業における高度外国人材の採用・活用に関する調査」(平成24年)
http://www.meti.go.jp/policy/asia_jinzai_shikin/surveydata_2012.pdf

高度外国人材を採用する際のポイント

●外国人新卒者向けに「秋採用」枠を設ける

外国人新卒者の採用のスケジュールについては、国内の大学や大学院の留学生の場合は、日本人学生と同じスケジュールで対応しますが、中には9月編入の学生や、海外の大学の卒業者など、4月採用のタイミングに合わない対象者もいます。また、就職活動の情報を入手するのが遅れる等、留学生の就職活動時期は、大学4年次の秋頃まで長期にわたるケースもあります。
海外の大学の多くは6月前後に卒業式を迎えるため、従来の4月入社では期間が空きすぎてしまうので、事業のグローバル展開を加速する商社やメーカーなどで、10月1日の「秋入社」の枠を設ける企業が見られます。
そのほか、今後の採用手法としては、外国人向け合同企業説明会へ出展する、外国人採用実施を広報媒体に明記する、海外大学から直接採用する、留学生が使うSNSなどのネットワークを利用する、エージェントに依頼する、通年採用を実施するなどの方法があります。

●外国人雇用サービスセンターを活用する

外国人留学生および高度外国人材の募集・採用についての相談は、東京・名古屋・大阪にある外国人雇用サービスセンターで対応しています。同センターでは、合同会社説明会などのイベントを開催し、高度外国人材を求める企業と外国人との橋渡しに力を入れています。また、外国人留学生の採用については、東京・名古屋・大阪の他、埼玉・千葉・松戸・京都・福岡にもある新卒応援ハローワークの留学生コーナーでも対応しています。ハローワークには、外国人雇用管理アドバイザーという専門の担当者がいて、外国人の採用だけでなく、外国人に対する労務管理、労働条件の設定のしかた、日本語能力に対応した職場作り、職場環境や生活環境への配慮についての相談に応じています。

●ビジネス日本語能力試験(BJT)等で判定する

前掲の経済産業省の調査(※7)によると、外国人留学生の採用時に重視することとして、日本語の語学力(70.3%)、コミュニケーション力(60.4%)を挙げる企業が多くなっています。日本語の語学力を判定する基準としては、日本企業で日本語を使って仕事をする能力を測定することを目的とした試験であるビジネス日本語能力試験(BJT)(※8)が一般に使われています。同試験の専用サイトで、動画と音声を使って行われる試験問題のサンプルを見ることができます。最高レベルであるJ1+(どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能力がある)を希望する企業が13.7%、J1(幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある)が43.4%、J2(限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある)が27.4%となっており、最低でもJ2レベル以上が日本企業に就職するために必要とされる日本語力と見られています。

※8ビジネス日本語能力試験(BJT)
http://www.kanken.or.jp/bjt/

少子高齢化の中、優秀な人材を確保するため、また、海外との取引に関する業務に対応するために、企業は高度外国人材の採用に取り組んでいます。事業計画に適した人材を採用し、育成するには時間がかかるため、先取りして高度外国人材に対する採用広報活動を開始しておかないと、優秀な人材の争奪戦に出遅れる心配があります。3年後、5年後の中長期の経営計画を踏まえ、外国人の採用計画を検討しておきたいものです。

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