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(情報掲載日:2014年2月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

パパも取りやすくなる?育休の給付、引き上げへ

VOL.26


男性の育休取得率は女性に比べると非常に低い数値で推移しています。2014年度から育休中に支給される「育児休業給付」が増額される見通しになりましたが、男性の育休取得率を上げるには、経済的な問題の他にも解決すべき課題があります。企業事例をもとに、男性が育休を取りやすくする方法を紹介します。

育児休業給付が引き上げられる

●給付率は賃金の50%から67%へアップ

「育児休業給付」は、働く人が育休中に雇用保険から受け取る給付です。男性が育休を取りやすい環境をつくることを目指して、育休中の給付が2014年度から増額される見通しになり、これまで休業前賃金の50%であった給付率が3分の2(67%)に引き上げられます。期間は最初の6ヶ月に限られ、それ以降は従来の50%が適用されます。
新しい給付制度のメリットを最大限に生かすとしたら、妻が育休を6ヶ月取った後、夫が育休を6ヶ月取った場合、1年2ヶ月の間、給付率は67%になります。また、妻と夫が同じ時期に取ることも可能であり、夫が長く続けて休めない場合には、育休を分割して取得うることができ、通算して6ヶ月になるまで67%が適用されます。

新しい育児休業給付を利用する場合の例
新しい育児休業給付を利用する場合の例
厚生労働省「育児給付について」(※1)をもとに作成

●給付率は段階的に引き上げられてきた

育児休業給付の給付率は、1995年の育児休業給付創設時には25%であったのが段階的に引き上げられてきました。当初は育休中に支給される育児休業基本給付金と職場復帰後6ヶ月経過すると支給される職場復帰給付金の2つに分けられていましたが、2010年4月からは2つを統合し、全額休業期間中に給付されています。

育児休業基本給付金が引き上げられてきた経緯
育児休業基本給付金が引き上げられてきた経緯

●給付率67%は諸外国と比べても高い水準

給付率を休業前賃金の3分の2(67%)に引き上げる改正により、先進諸国と比較して高い水準となり、ドイツとほぼ同等となります。

諸外国の育児休業給付の例
諸外国の育児休業給付の例
厚生労働省「育児休業給付について」(※1)をもとに作成

※1 厚生労働省「育児給付について」第93回職業安定分科会雇用保険部会資料(平成25年10月29日)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000027872.pdf

男性の育休取得はなぜ、進まないのか

●女性の育休取得率は80%を超えるが男性は低水準で推移

育児休業給付が増額されるにつれて、女性の育休取得率(在職中に出産した者のうち育児休業を取得した者、取得を申し出た者を含む)は徐々に上り、現在では80% を上回る一方、男性は平成24年で1.89%という低い水準になっています(※2)。政府は成長戦略で2020年までに男性の育休取得率を13%にする目標を掲げていますが、取得率が1%台に達するまでに10年かかり、その後は一進一退している経緯からすると、目標達成のためには抜本的な改革が必要なようです。

育児休業取得率の推移(女性) 単位:%
育児休業取得率の推移(女性)
厚生労働省 「平成24年度雇用均等基本調査」

育児休業取得率の推移(男性) 単位:%
育児休業取得率の推移(男性)
厚生労働省 「平成24年度雇用均等基本調査」

男性は育休の取得率が低い上に、育休を取得してもその期間が短く、3ヶ月以上取得する人はごくわずかです。平成24年の場合、1ヶ月未満の人が75.5%でした(※2)。
また、月に20日以上育休を取得すると育児休業給付金が雇用保険から支給されますが、男性は育休取得期間が短い一方で、育児休業給付金の平均給付期間は3.2ヶ月 (女性は9.8ヶ月)となっています(※1)。これは男性の場合、育児休業を長く取らず有給休暇を使って休業し、育児休業給付金を受け取らない人が大半を占める一方で、育休を取って育児休業給付金を受け取る人の平均育休取得期間は3ヶ月を超えるという実態になっているためです。

取得期間別育児休業後復職者割合
取得期間別育児休業後復職者割合
注) 「育児休業後復職者」は、調査前年度1年間に育児休業を終了し、復職した者をいう。
厚生労働省 「平成24年度雇用均等基本調査」(※2)をもとに作成

●育休を希望する男性は決して少なくない

男性の育休取得率が低い理由は、男性が育休の利用を希望していないからではありません。両立支援制度の利用意向について尋ねた調査では、育休制度の利用を希望する男性が31.8%にのぼりました。にもかかわらず、実際には取得率が非常に低いのはなぜかというと、男性の育休取得にはいくつかの壁があるようです。同調査で育休の取りやすさについて聞いたところ、「取得しやすい」と答えた女性社員が73.5%であったのに対し、共働きの男性はわずか12.0%でした。

両立支援制度を利用したいと考える従業員の割合 単位:%
両立支援制度を利用したいと考える従業員の割合
ニッセイ基礎研究所「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査」
(平成20年5月発表 厚生労働省委託事業)(※3)

●育休を取得しない理由の1位は「職場の雰囲気」

では、男性の育休取得を妨げる壁は何かというと、第1に「職場の雰囲気」が影響しているようです。育休を取得しなかった理由について質問した厚生労働省の調査では、男性は「職場が制度を取得しにくい雰囲気だった」が30.3%で第1位でした。4番目にある「職場や同僚に迷惑をかけると思った」と同様、周囲への遠慮や気兼ねが、男性に育休取得をためらわせていると考えられます。
ちなみに「収入が減り、経済的に苦しくなると思った」は第5位で22.0%となっています。したがって、育児休業給付の給付率が50%から67%に上がっただけでは、男性の育休取得率が大幅に上昇するとは考えにくいところです。男性も育休を取りやすい雰囲気に変えていくことや、男性の心理的な問題を取り除くための周囲の支援など、国の政策以上に企業ごとの課題解決策が大きく影響すると考えられます。

育児休業を取得しなかった理由(重複回答) 単位:%
育児休業を取得しなかった理由(重複回答)
平成23年度育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業報告書(※1)

※2 厚生労働省 「平成24年度雇用均等基本調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-24c.pdf

※3 ニッセイ基礎研究所「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査」(平成20年5月発表 厚生労働省委託事業)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/3cb94cf1e492882549257451001bdc2d/$FILE/20080522_3shiryou1.pdf

男性の育休取得率を高めるためには

●男性の育休取得率が高い企業の表彰制度が始まった

男性の育休取得を妨げる壁を壊すために、多くの企業が模索しています。厚生労働省は2013年から「イクメン企業アワード」を創設し、男性の育児参加を積極的に促進する企業の表彰を始めました。表彰企業の取組内容はホームページ(※4)等に掲載し、他企業のロールモデルとして普及させていくことにより、企業における働き方を改革し、育児と仕事の両立を推進することをねらいとしています。
「イクメン企業アワード2013」のグランプリ企業2社および特別奨励賞受賞企業5社では、男性の育休取得推進に向けてそれぞれに特徴的な取り組みを行っています。その内容は、大きく分けると3つの分野があり、@対象者および上司向けの個別の育休取得勧奨、A男性の育児参加の好事例の共有などによる全社的な広報活動、B業務改善で育休に限らず誰でも長期連続休業を取りやすくする施策に分けられます。

●本人や上司に対する声かけで育休を取りやすくする

育休の取得について、人事部門が子どもの生まれた男性社員と個別に面談するなどして直接、勧める企業もあれば、まずは上司に働きかけをして上司を通じて本人に育休取得を促す企業もあります。男性社員が育休を取る上での職場のキーパーソンは上司であり、上司の理解や協力がないと、現実的には育休取得は難しいでしょう。ある企業では、子どもが生まれた男性社員の上司に育休取得の奨励文書を送付しています。中には育休制度の解説と取得事例等を掲載した案内が同封されており、上司から男性社員に手渡しすることになっています。また、男性社員の育休取得率目標を担当部署の数値目標として設定する企業や、連続5営業日以上の育休取得を上司の評価に反映する企業もあります。

●男性の育児参加の好事例を共有する

「こうすれば、自分も育児参加できる」と多くの男性社員が共感できるような好事例の共有も、育休を取りやすい職場づくりにつながっています。ある企業では男性社員の育児参加の好事例を社内ポータルサイトで公開しています。また、独自に設けている育休支援手当の支給要件として感想文の提出を義務づけ、それを社内報に掲載して周知を図る企業もあります。

●業務改善で育休に限らず長期休業を可能にする

とくに管理職の男性は、育休で自分だけが長期に休むことで仕事が回らなくなることを心配し、取るに取れないというケースが多いようです。育休に限らず、誰もが自分の都合でまとまった休みを取りやすくするため、たとえ1人少ない人数でも業務が回るような仕組みをつくる企業が、結果的に男性社員の育休取得率を高くしています。ある企業では、業務を効率的に進める方法や会議時間の短縮のコツなどを社内の勉強会等で共有し、また、不在時におけるiPhoneやiPadを活用した情報共有等により、所定外労働の削減と誰でも休暇を取りやすい職場環境づくりを実現しています。

●男性全員に育休取得を義務づける企業も

対象となる男性社員全員に取得を義務づけるという大胆な措置に踏み切った企業も見られます。そのねらいは本人ばかりでなく、上司や周囲のすべての人々を巻き込む意識改革です。全員に義務づければ、周囲への気兼ねや遠慮といった心理的障壁が取り払われ、また、職場の協力態勢の構築が促されます。ただし、長い期間を強制するのは現実的ではないため、7日間程度の有給休暇を与える企業が多くなっています。

男性の育休取得の前に立ちはだかる壁を崩すには、育休を取得する個人の福利厚生という側面ばかりでなく、会社全体の人材育成や業績の向上につながるというビジョンのもとで、経営層および管理職がリーダーシップをもって情報発信・運営することが必要でしょう。そのようなトップダウンの施策により、男性の育休取得率はもちろん、従業員の満足度向上、さらには業績の向上につながることも期待できます。男性の育休取得推進が、従業員のワーク・ライフ・バランスを推進する突破口となり得るかもしれません。

※4 厚生労働省 イクメン企業アワード
https://ikumen-project.jp/ikumen_award.html

※5 同、受賞企業における特徴的な取り組み概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/torikumi_1.pdf

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