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(情報掲載日:2013年12月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

メンタルヘルス不調の予防策

VOL.24


メンタルヘルスの不調で会社を休業、あるいは退職する人が増えている一方、復職は必ずしもうまくいっていません。うつ病などの精神疾患は、治療が長引くほど復職が難しくなる傾向があります。そのため復職対応を進める一方で、これまで以上に予防策に力を入れる企業が増えています。実効性のある予防策についてご紹介します。

多くの企業がメンタルヘルスの問題に悩まされている

●メンタルヘルス不調による長期休業者や退職者が増加している

いまや多くの職場で、メンタルヘルス不調による長期休業者や退職者が発生しています。厚生労働省が5年に1度実施している「労働者健康状況調査」(※1)の結果が2013年9月に発表されました。これによると、過去1年間(2011年11月1日〜2012年10月31日)にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は、全業種の平均で8.1%となっています。2007年に実施した前回の調査では7.6%でしたので、5年間で0.5%増加したことがわかります。
ただ、この割合は事業所の規模によって大きく異なり、従業員1,000人以上の企業では90%を超えています。従業員規模の小さい事業所ほど、メンタルヘルス不調による長期休業者や退職者のいる企業の割合が低くなっています。

メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいる事業所割合(事業所規模別) 単位:%
メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいる事業所割合(事業所規模別)
厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」をもとに作成

●情報通信業をはじめサービス業で長期休業者・退職者が多い

産業別に見ると、情報通信業(31.2%)、電気・ガス・熱供給・水道業(26.8%)、金融業・保険業(15.8%)などでメンタルヘルス不調による長期休業者・退職者のいる割合が高くなっていることがわかります。割合の高い情報通信業などのIT系ではパソコンや大型コンピュータ端末を長時間操作することが多く、いわゆる「テクノストレス」を受けやすいことが背景として考えられます。

メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいる事業所割合
(割合の高い産業を抜粋)

単位:%
メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいる事業所割合(割合の高い産業を抜粋)
厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」をもとに作成

●メンタルヘルス不調者の職場復帰は容易ではない

会社は休業中に従業員を解雇することができず、代替要員を補充するなどの対応が必要になります。なるべく早い時期に職場復帰できれば、本人と会社の双方にとって望ましいですが、メンタルヘルス不調で長期休業した人の職場復帰は決して容易ではないようです。全事業所の平均では、「復職者がいる」と答えた企業の割合は55.0%で、そのうち全員が復職したという回答は35.0%、4〜6割台(約半分程度)は11.0%でした。
これを事業所規模別にみると、従業員5,000人以上の企業では全員が復職したという回答はわずか4.7%で、復帰率が約半分程度(4〜6割台)の企業が39.1%となっています。事業所規模が小さくなるほど「全員が復職した」という回答の比率が高くなっています。

職場復帰した労働者がいる事業所割合(事業所規模別) 単位:%
職場復帰した労働者がいる事業所割合(事業所規模別)
厚生労働省「平成24年労働者健康状況調査」をもとに作成

●ストレスの内容は職場の人間関係が最も多い

「仕事や職業生活に関するストレスや強い悩み」の内容についてたずねた調査項目では、男女とも第1位が「職場の人間関係の問題」で、男性が35.2%、女性が48.6%でした。
男女の回答率の違いに着目してみると、10ポイント程の差が開いているのは「職場の人間関係の問題」で、女性が高くなっています。また、「雇用の安定性の問題」が男性よりも5.9ポイント高くなっています。女性はパート、派遣、契約社員等の非正規雇用の割合が男性よりも多いため、「雇用の安定性の問題」について不安を抱く人の比率が高くなっていると考えられます。
一方、男性のほうが10ポイント程高い項目は「会社の将来性の問題」「昇進、昇給の問題」です。会社の存続が気になると同時に、会社の中でのポジションを気にする人の割合が高くなっています。

仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容別労働者割合(男女別)
(注)3つ以内の複数回答

単位:%
仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容別労働者割合(男女別)
厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」をもとに作成

※1 厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h24-46-50.html

企業が行っているメンタルヘルスケアの内容とは

●社内相談窓口の設置と教育・情報提供が進んでいる

職場のメンタルヘルス不調の問題を改善するには、さまざまな取り組みが必要です。
前述の「労働者健康状況調査」によると、47.2 %の事業所が何らかのメンタルヘルスケアに取り組んでいると回答しています。取組内容については、社内のメンタルヘルスケア窓口の設置といった体制づくりと、メンタルへルスに関する教育・情報提供が多くなっています。とくに5,000人以上の企業では、社内窓口の設置が89.8%、労働者向けの教育・情報提供が85.4%、同じく管理監督者向けが84.5%という高い数字になっています。

メンタルヘルスケアの取組内容別事業所割合 単位:%
メンタルヘルスケアの取組内容別事業所割合
厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」をもとに作成

●定期的なストレスチェックの導入と職場環境の改善が今後の課題

上記のメンタルヘルスケアは、大きく分けると教育・情報提供といった予防的な内容と、相談窓口の設置といった不調者や休職者への対応に分かれます。メンタルヘルス不調は、治療に長くかかる場合もあり、1人でも休職者が出ると、職場のメンバーに負荷がかかるなどの影響があります。そこで、メンタルヘルス不調者を出さないようにする予防策の重要性に注目が集まっています。企業が導入しやすい策に「ストレスチェック」と「職場環境の改善」があります。中でも「職業性ストレス簡易調査票」を用いるストレスチェックについては、定期健康診断の中で実施することを企業に義務づける法律も検討されています。糖尿病などの生活習慣病対策と同様に、定期健康診断と診断後の個別指導を義務づけ、精神疾患の予防と早期治療に結びつけようとするものです。
「職場環境の改善」とは、メンタルヘルス不調を発生させる要因を職場から取り除くための試みであり、職場レイアウト、作業方法、職場のコミュニケーション、勤務形態やキャリアパスについての問題点を把握し、さまざまな観点から改善を行うものです。このような取り組みにより、個人の精神的コンディションを良い状態に保とうとするアプローチを「ポジティブ・メンタルヘルス」といいます。メンタルヘルス不調を予防する目的ばかりでなく、精神的コンディションをよりよい状態に保つことが組織のパフォーマンスを向上させ、よりよいサービスや製品の提供に結びつくという考え方です。

※2 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)
http://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/supporter/files/H23_mental_health_relax.pdf

メンタルヘルス不調者を出さないための予防策とは

●3段階の予防施策と4つのケアが必要

予防医学では、疾病の予防は1次予防(不調にならないための対策)、2次予防(早期発見・早期治療)、3次予防(再発防止と社会復帰支援)の3段階の全てが必要であるとされます。企業はメンタルヘルス不調者を減らすことで職場の生産性低下を防ぐことができます。例えば、うつ病などの精神疾患は治療の開始が遅れると寛解するまでに数年を要する場合があります。企業はその間、代替要員の採用・教育・配置などの対応を迫られることになります。代替要員を補充しない場合は、他の従業員への業務負担が大きくなるため、ストレスや不満が膨らみ、生産性が低下するばかりか新たなメンタルヘルス不調者を生むといった負の連鎖につながる事態も考えられます。
メンタルヘルスケアの担い手を4つのジャンルに分け、厚生労働省は企業に4つのケアを提唱しています。(※3)それは@セルフケア(働く人自身のケア)、Aラインケア(管理監督者が部下に対して行うケア)、B社内産業保健スタッフによるケア(産業医、産業保健師、産業カウンセラー、臨床心理士等によるケア)、C社外の専門家、機関を活用したケア(都道府県の産業保健推進センターや民間企業など)で、すべての企業が4つのケアを推進することを求められています。
以上のような3段階の予防のプロセスに対応して4つのメンタルケアが機能するように、全体の統括とマネジメントを担うのが人事部門です。自社で起きているメンタルヘルス上の問題点を明らかにし、対策を企画立案し、実施していきます。

メンタルヘルスの3段階の予防活動と4つのケア
メンタルヘルスの3段階の予防活動と4つのケア

厚生労働省「心の健康づくり事例集 ―職場におけるメンタルヘルス対策」より作成

●職場のメンタルヘルス不調を防ぐキーパーソンは上司

それぞれの職場では、管理監督者つまり上司がメンタルヘルスケアのキーパーソンの役割を果たします。上司が部下のちょっとした変化に気づくことにより、メンタルヘルス不調を防ぐことができるはずです。逆に上司が部下の変化に気づかなかったり、自らの言動で部下の不満やストレスの原因をつくってしまうと、部下がメンタルヘルス不調に陥り、病気を進行させてしまう恐れがあります。
そうならないように、上司が部下に対して安全配慮義務を担っていることを強く認識したうえで、日ごろから部下の心身の健康状態に配慮し、部下の話を聴いて心のうちを理解し、教育指導や職場改善につなげていけば、メンタルヘルス不調が発生する根本の原因を断つことができるかもしれません。
ただ、メンタルヘルス不調の原因は職場だけにあるとは限らないため、上司がどんなに予防に努めてもメンタルヘルス不調者が発生することもあります。その場合でも、休業している間の他の社員への配慮とサポート、職場復帰の支援など、上司ができることはたくさんあります。

上司がキーパーソンとして十分に機能できるよう、人事部門はラインケアのスキルや知識を向上させるための教育研修を充実させ、また、上司自身がストレスを溜め込んでメンタルヘルス不調にならないように、個別の相談対応などのサポートを行うことも重要になってきます。病気を予防する力をつけ、組織全体を元気にしていくことが、人事部門にとっての最重要課題の1つと言えるでしょう。

※3 厚生労働省「心の健康づくり事例集〜職場におけるメンタルヘルス対策〜」
http://niigata-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/niigata-roudoukyoku/jigyounushi/anzen/pdf/cocoro_pamphlet.pdf

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