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(情報掲載日:2013年10月21日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

介護と仕事の両立支援のために企業ができること

VOL.22


政府は成長戦略で雇用制度改革を掲げ、労働力の移動を後押しする施策に重点を置いています。企業と働く人の双方にとってメリットがあるような「失業なき労働移動」は実現するのでしょうか。

政府が労働移動支援を打ち出す

●成熟産業から成長産業へ、働く人の移動を促す

政府は経済の成長戦略である「日本産業再興プラン」の中で雇用制度改革を掲げ、「雇用維持型から労働移動支援型への転換」を打ち出しました。そのシナリオは、今後の大きな成長や拡大が望めない成熟産業で働く人や長期失業者が、成長分野へ移動することにより社会全体の生産性が高まり、国民の所得の増加につながるというものです。所得が増加して購買意欲が高まることにより、製品やサービスの需要が増え、成長分野での新しい雇用の創出につながるという好循環が期待されています。

●雇用調整助成金の支給額、予算が大幅ダウン

この政策を受けて厚生労働省は、解雇を防ぐために支給している「雇用調整助成金」の予算を半減させる一方で、転職を支援する「労働移動支援助成金」を大幅に増額し、今後2年間でその予算規模を逆転させることにしました。
雇用調整助成金の2012年度の支給総額は約1,134億円で、対象となった労働者の数は462万人でしたが、2014年度予算案ではこれを半減させ545億円とする計画になっています。雇用調整助成金は、経営不振等のときに労働者を解雇せずに休業または出向を実施する事業主に対して休業手当、賃金または出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成を行うものです。リーマン・ショック後の緊急雇用対策として助成率および予算額が引き上げられ、2009年度は適用を受ける労働者の数および支給額が急増しました。わが国では、この助成金によって多くの労働者が失業を免れたと言われています。
その後、景気の回復と失業率の低下に伴い、雇用調整助成金の対象となる労働者が減るとともに支給額の総額が減少してきています(※1)。


雇用調整助成金の支給額の推移 (カッコ内の赤字は対象者数)

雇用調整助成金の支給額の推移

厚生労働省「リーマン・ショック後の雇用対策の効果の検証」より作成

休業手当等に対する助成率は2013年4月からリーマン・ショック前の数値に戻されました(※2)。

雇用調整助成金の助成率について
雇用調整助成金の助成率について

●労働移動支援助成金は大企業にも適用

一方、労働移動支援助成金は、再就職支援を民間の人材サービス事業者に委託し従業員を転職させた企業に対して、その委託費用の一部が再就職支援奨励金として支給される制度です。受給額は、対象者の年齢によって助成率が異なり、下表のようになっています。

労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の受給額(※3)
労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の受給額
(ただし、1人当たりの限度額は40万円、300人が上限)

厚生労働省は、労働移動支援助成金の支給額の予算について2012年度の2億4,000万円から大幅に増額し、2015年度は301億円とする概算要求を打ち出しました。2012年度は労働移動支援助成金を利用して774人が転職した実績があるのに対し、2015年度はおよそ7万人分として要求したとのことです。
併せて助成の内容については、下図のような4つの拡充策を打ち出しています。

労働移動支援助成金の4つの拡充策 (※4)
労働移動支援助成金の4つの拡充策

厚生労働省「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」より作成

※1 厚生労働省「リーマン・ショック後の雇用対策の効果の検証について」
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/teigen_02_02.pdf

※2 厚生労働省 雇用調整助成金
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

※3 厚生労働省 労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/roudou_idou.html

※4 厚生労働省「日本再興戦略」の着実な実施について(雇用・人材関係)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/koyou/dai1/siryou7.pdf

労働移動のターゲットは健康・医療、観光などの4分野

●健康・医療など4分野の市場拡大と雇用規模の増大を打ち出す

労働移動のターゲットになる成長分野として「戦略市場」に位置づけられたのは、@健康・医療、Aエネルギー、B次世代インフラ、C農業・食糧関連産業および訪日外国人向け観光の4分野です。政府はこの4分野の市場規模や雇用規模を増大させる方針を打ち出しています(※5)。


成長市場の主な数値目標(上段は国内市場規模、下段は雇用数)
成長市場の主な数値目標

首相官邸「戦略市場創造プラン」より作成

@の健康・医療の分野については、健康増進・予防や生活支援に関する市場・産業を創出することに加え、医療・介護提供体制の強化、高齢者向け住宅の整備等に取り組み、良質な医療やリハビリサービスへのアクセス、介護ロボット産業の活性化を実現することを主要施策としています。
Aのエネルギーの分野で今後の伸びが期待される産業としては、スマートコミュニティ、エネルギーマネジメント産業、燃料電池、住宅やビルの省エネ改修、次世代自動車(燃料電池自動車等)、電池・充電制御、水素供給インフラ等があります。
Bの次世代インフラの分野は、安全運転支援システムや自動走行システムの開発・環境整備、道路交通情報等の車両関連ビッグデータによる情報サービス(リアルタイムな渋滞情報の提供等)、物流システムの高度化、IT等を活用したインフラ点検・診断システム、衛星システム等の宇宙インフラの整備等で新技術が開発されることによる経済効果と雇用拡大効果を目指しています。
Cの農業・食糧関連産業の分野は、農業・食糧関連産業および訪日外国人向け観光の分野の2つをまとめて「世界を惹きつける地域資源」と位置づけています。農業については、新たな育種技術や高機能・高付加価値農林水産物の開発、IT・ロボット技術等の科学技術イノベーションを活用した生産・流通システムの高度化等を通じて、市場・産業の拡大・発展を図ること等により、新規就農し定着する農業者を倍増することを目標に掲げています。また、観光については富士山をはじめとする世界遺産や、他国にないユニークな観光資源の魅力を世界に向けて発信し、訪日外国人向けの市場を拡大することによる雇用の創出・拡大を目指すものです。

※5 首相官邸「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf

スムーズな労働移動にはキャリア開発支援が鍵になる

●企業担当者に求められること

企業は、民間の人材サービスを活用し再就職支援を行い、対象者が離職後2ヶ月以内( 45歳以上は5ヶ月以内) に再就職を実現すれば、企業は再就職支援助成金を得ることができます。しかしそれだけでなく、企業は働く人の立場や心情について理解することが重要です。再就職が決まるまではもちろん、決まった後でも、変化を目の前に、労働者には不安や迷いがつきまといます。また、個人ごとにスキルや経験も異なります。こうした不安を解消し、個人のスキルや経験を活かした再就職を実現するためには、カウンセリングを実施し、適した労働環境・職務を見出していくことや、知識やスキルを習得するための機会を設けることが求められるでしょう。

きめ細かいキャリア開発支援がスムーズな労働移動の実現につながり、ひいては企業にとってのメリットをもたらすと言えそうです。

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