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(情報掲載日:2013年9月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

介護と仕事の両立支援のために企業ができること

VOL.21


仕事と介護・看護の両立が難しくて離職する人は、全国で年間10万人にのぼります。今後、人口の多い団塊世代が高齢化すれば要介護者が急増すると予測される中、もしも両立支援策を向上させなければ、介護離職者の数が大幅に増加すると懸念されます。介護と仕事の両立支援のために企業ができることについて、まとめてみました。

介護離職の実態

●介護のために離職した人は年間10万人超

社会の超高齢化により、介護を必要とする家族をもつ人が年々増えています。介護保険制度や育児・介護休業法の整備によって、家庭内介護者の負担を軽減する施策が進んでいるものの、実際には仕事と介護の両立が難しくなって介護離職をする人がむしろ増えている実態があります。
2013年7月に総務省が発表した就業構造基本調査(※1)によると、仕事をもちながら介護している人の数は男性が130万9,000人、女性が160万1,000人となっています。合計すると約290万人で、有業者全体(6442万700人)の4.5%を占めます。
今後、少子化で若年人口の減少とともに就労人口が減り、高齢化により要介護人口が増えれば、この比率はさらに高まると予測できます。
介護・看護と仕事を両立できなくなって離職する人の数も増加傾向にあり、2011年10月〜2012年9月の1年間に家族の介護・看護のために前職を離職した人は10万1,000人にのぼります。


過去5年間に介護・看護のために前職を離職した15歳以上人口 (単位:%)

過去5年間に介護・看護のために前職を離職した15歳以上人口

総務省「就業構造基本調査」2013年7月発表


介護は先が見えない長期戦と言われます。生命保険文化センターが発表した「生命保険に関する全国実態調査」(※2)によると、平均的な介護期間は4年9ヶ月で、10年以上にわたる人も1割以上います。
1人の人に介護の負担が重くのしかかると、精神的にも身体的にも疲れ切ってしまうかもしれません。介護の負担は、いつ、だれに、どのように降りかかってくるかは予測することが難しく、働く人の多くが共通して抱える不安材料と言えます。

●50代では働きながら介護する人が1割以上

働く人全体で見れば、介護をしている人の割合は4.5%に過ぎませんが、50歳代では10 %を超えています。

働きながら介護している人が、有業者全体(約6,442万700人)に占める割合
働きながら介護している人が、有業者全体(約6,442万700人)に占める割合

総務省「就業構造基本調査」(2013年7月発表)より作成

この年齢層は、管理職や後輩の指導・育成担当として活躍している人が多く、もしも介護のために仕事が続けられなくなるとしたら、会社にとっては大きな損失になります。技術や技能の伝承が断絶するリスクもあります。

●団塊世代の高齢化で要介護者が増え、介護離職者も増える?

2022年には人口の多い団塊世代(1947〜49年生まれ)が75歳に到達し始めます。ある年齢階級人口のうち要介護者の占める割合を要介護出現率といいますが、みずほ総合研究所が発表したレポート(※3)によると、この数値は65〜69歳では2%に過ぎませんが、70〜74歳で4.4%、75〜79歳で9.3%、80〜84歳で19.0%と、75歳を過ぎるあたりから明確に上昇することがわかっています。
今後の要介護者数の推計については、2015年の392万人から2025年の589万人へと10年間で200万人近く増加し、その後も着実に増加し続けると見られています。このように今後、高齢化の進行によって要介護者の増加が見込まれるため、その介護を担う子ども世代が鍵を握ることになります。
介護を担う団塊ジュニアを中心とする若い世代は、①兄弟姉妹の数が少ない、②未婚率が高い(2030年には生涯未婚率が男性3割、女性2割を超える)、B共働きが一般的になり専業主婦が少なくなる、等要因により、親が要介護状態になれば、その負担をひとりで引き受けなければならない可能性が高くなります。そのため今後、介護離職者がますます増加することが見込まれます。

※1 総務省「就業構造基本調査」 (2013年7月12日)
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/pdf/kgaiyou.pdf

※2 生命保険文化センター「平成24年度生命保険に関する全国実態調査」
http://www.jili.or.jp/press/2012/pdf/h24_zenkoku.pdf

※3 みずほ総合研究所「懸念される介護離職の増加」(2012年1月24日)
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/pl120124a.pdf

介護と仕事の両立の現状

●介護離職者の離職理由

厚生労働省が発表した「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」 (※4)によると、仕事と介護の両立をめぐる不安としては、「自分の仕事を代わってくれる人がいない」という声が最も多く、他には「介護休業を利用すると収入が減る」「介護サービスや施設の利用方法がわからない」などの声が多くなっています。

介護のために離職した理由は男女とも「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」と答えた人の割合が最も高く、男性で21.4%、女性で20.0%を占めています。その他の理由としては、「自分の心身の健康状態が悪化したため」、「介護に専念したかったため」などが上位となっています。


介護離職者の離職状況
介護離職者の離職状況

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」
(2012年度厚生労働省委託調査)


●介護休業等の制度の利用者は15.7%にとどまる

育児・介護休業法では、介護休業、介護休暇に関して労働者から申し出があった場合、事業主は原則として、これを拒むことはできないとされています。
介護休業は、家族に介護が必要になった直後に、入院や介護サービスの利用のための体制を集中的に整える必要に迫られた労働者の利用を想定したもので、家族が1人要介護状態になるごとに1回、通算93日まで休業できる制度です。
一方、介護休暇は日常的に家族の介護を行う労働者の利用を想定したもので、要介護の状態にある家族1人について年5日まで(2人以上の場合は年10日まで)、休暇を取得できる制度です。しかし、「就業構造基本調査」によると、実際には介護休業や休暇の制度を利用する人はごくわずかであることがわかります。


雇用形態別、介護休業等制度の利用の有無について (単位:%)

*無回答については省略しているため、合計は100%にならない。
雇用形態別、介護休業等制度の利用の有無について

総務省「就業構造基本調査」2013年7月発表

前掲の「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」によると、「勤務先の両立支援制度を利用しない理由」としては、就業者・離職者ともに「介護に係る両立支援制度がないため」と回答した人が最も多くなっていますが、回答率に差があり、就業者の27.3%に対し離職者は45.3%となっています。


勤務先の両立支援制度を利用しない理由 (単位:%)

勤務先の両立支援制度を利用しない理由

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」
(2012年度厚生労働省委託調査)

回答項目に「両立支援制度がないため」とありますが、介護休業及び介護休暇は法律で義務化されていますから、少なくとも介護休業及び介護休職は制度として設けられているはずです。そのため実際は、制度がないというよりは認知されていない可能性があります。あるいは介護休業及び介護休職の制度が設けられるだけでは、仕事と介護を「両立」することが難しく実質的に「両立支援制度がない」という回答に至った可能性もあります。
また、「家族・親族等の理解・協力が十分に得られるため」や「在宅勤務等の柔軟な働き方で対応しているため」と回答しているのは、離職者に比べ就労者が圧倒的に多くなっています。家族の協力があったり、在宅勤務が可能など、環境が整っている場合に継続就労につながりやすいということがわかります。

※4 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(2012年度厚生労働省委託調査)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf

制度の周知と利用しやすい職場づくりが必要

●介護と仕事の両立支援制度の周知徹底を図る

今後、介護負担の増大による人材の流出を防止するには、企業の取り組みが極めて重要であると考えられます。そうした取り組みの第1段階としては、育児・介護休業法で定める介護休業及び介護休職についての情報を周知徹底することが必要です。情報を周知徹底するには、親の介護が必要になってくる40代以降の世代向けに、キャリアプラン研修の一環として、介護経験者が体験談を話したり、介護休業・休暇の制度や介護保険制度の利用のしかたについて情報提供したりする方法が有効でしょう。

また、前掲のアンケート調査の結果からも明らかなように、両立支援制度を知らずに離職したと思われる人が多くなっています。現在会社が設けている制度が十分認知されているかどうかを確認するとともに、その制度が本当に両立を支援するものになっているかを確認する必要があります。支援するものになっていないのであれば、どういう制度が必要なのかを把握する必要があるでしょう。介護は個人のプライベートな問題としてすべてを自己責任に任せるのではなく、人事部門などが「社内ソーシャルワーカー」的な機能をもつのもよいでしょう。

●両立支援制度を利用しやすい職場環境づくりが必要

第2段階としては、介護のためにどうしても休まなければならないようなときには、安心して両立支援制度を使って休業・休職できるような社内の協力体制や職場風土づくりが挙げられます。
まずは管理職層に対して、介護離職を防止することの重要性を認識してもらい、介護と仕事の両立をしなければならない部下に対しての支援のあり方や、短時間勤務等の柔軟な働き方を導入した際の労務管理や評価の方法等の情報提供をする必要があります。
介護と仕事の両立のための情報提供をしたり、個別の相談対応等の介入をすることによって、貴重な人材の流出を防ぐことができるとともに、差し迫って親の介護の必要がなくても、将来に不安をもつ人たちが安心して働き続けられる職場環境を整えていくことができると考えられます。

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