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(情報掲載日:2012年2月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

内定者フォローと研修で、新入社員の定着&戦力化を図る

VOL.2

内定者は、入社前に多くの不安を抱えています。そのためにも、自社に対する理解を深め、同期生同士の連帯感を養うなど、入社に対する動機づけをしっかりと行うことが大切です。特に2012年春の新入社員の場合で言うと、東日本大震災の影響もあって、選考プロセスにおいて、対応が例年と比べて質・量ともに不十分だった企業が少なくありません。そのために、入社に対する動機づけに関して、不安を覚える採用担当者も多いようです。このような不安材料を払拭し、入社後の定着と促進を図るためにも、入社前後における教育と、受け入れの対応がポイントとなってきます。

入社前の対応

●内定者を取り巻く環境とそのフォロー

内定フォローというと、以前は10月1日の内定式の後に行うのが一般的でした。それが、採用活動の前倒しが進んでいくに従い、早い段階で内定を出すこととなり、内定者の対応をしなければならない期間が長くなっています。一方で学生はこの期間に、いろいろな問題に直面し、戸惑いが生じています。そのため、多くの企業では内定を出した後、長い場合は1年間をかけてその時々の学生の状況に応じて、さまざまな形で内定フォローを行うケースが多くなっています。

『不安解消のために、内定者とコミュニケーションをとる』

近年、企業を取り巻く経営環境が厳しくなっていく中、「たとえ大企業に就職しても、それは安定した職業生活を保障するものではない」という意識を持つ学生が増えてきました。そのような状況下では、果たしてこの会社へ入社してよいのだろうか、といった不安を抱えている内定者が少なくありません。内定先企業への不安が拭えないまま、違う企業に興味をもち、結果的に内定辞退に至ることもよくあることです。

また場合によっては、不安に対して内定者が自分なりの解釈で自分を納得させていることも考えられます。入社後に、それまで曖昧にしてきた不安点が露呈し、結果的に早々に会社を辞めてしまうこともあります。

自分が希望する仕事や配属先は叶うのか、この会社で成長していくことができるのか、会社に求められる期待に応えられるのか、このような不安を企業は入社前にできるだけ把握し、解消させておくのがよいでしょう。そのためには、内定者とコミュニケーションをとり、内定者が求めているものが何かを理解し、適切に情報提供をすることが大切です。

例えば、「希望する仕事や配属先は叶うのか」について言えば、希望する仕事や配属先で何をしたいのかを理解することろから始まり、入社後すぐ希望する仕事ができるのか、できないとしたらいつ頃・どういった過程を経たらできるようになるのか、実際にできるようになるのはどのくらいの確率なのか、といった情報提供が必要です。「成長していくことができるかどうか」について言えば、その内定者にとっての「成長」が何であるかを理解するところから始まります。その上でその成長が自分の会社でできるのか、できるとしたらどの仕事をどのようにすることによってその成長が可能になるのか、といった情報提供が必要です。「会社に求められる期待にこたえられるか」について言えば、会社として期待していることが何でどのレベルなのか、そこに達するために必要なことは何か、そのためには何をどのようにすればよいのか、といった情報提供が必要です。

さらに情報提供だけではなく、各人のキャリアがこの会社へ入社することによってどのように形成されていくのかをイメージさせておくことも重要です。そして、短期的なキャリアデザインを明確に示し、具体性を持たせることが有効でしょう。昨今の若者は、「ここまで成し遂げれば、こういう結果・成果が得られる」という「目標」や「到達地点」が明らかであればあるほど行動する傾向にあります。ただ「頑張れ」と言うだけではなく、「今、これをやれば、半年後、あるいは1〜2年後にはこういう結果が生まれ、この分野において成長することができる。その延長線上にこういったステップがある」など、目の前にある仕事の意義を理解させることが必要です。こうしたアプローチが、大きな動機づけになることでしょう。

もちろんこういったキャリアデザインについてのアプローチは、入社後の配属や、その後異動が発生する場合には、都度実施することが理想的です。そのためには、入社前にどのような意向を持っていたのか、仕事を通してそれがどのように変化したのか、といったことを把握しておくことが大切です(これは新入社員だけではなく、従業員全体の動機づけにとっても大切と言えます)。

●入社前に実施する教育研修の意義

『入社への動機づけ、基本事項の習得』
不安を解消する以外に、入社前に教育研修を実施するケースが多く見られます。これは、社会人としての最低限の常識やマナー、業務に関する基礎的な知識を身に付けてもらうことや、同期との連帯感を養い相互サポートの関係性を作ることにあります。これによって、入社後の集合研修やOJTがよりスムーズに進められるほか、配属検討の際の情報として活かしていくことが可能です。

●「内定者事前研修」の実施方法

『内容や期間に応じて適した方法を選択』
内定者事前研修の実施方法としては、以下のようなものがあります。

①通信教育(eラーニング)…業務関連の知識や資格、語学など
②課題によるレポート提出…読書感想文や製品の感想など
③集合研修・講義…業務関連の知識やマナー研修など
④旅行・イベント形式…内外の会社の視察、市場見学など

実際には、これら方法の幾つかを併用して実施する企業が多くなっています。また、内容によって実施する期間が、短期・長期に分かれます。長期で実施するのに適しているのは、通信教育(eラーニング)やレポートです。内定者の自主性に任せると同時に、時間を拘束させないためにも、内々定の決まった時期から、翌年4月の入社式までの期間を設定し、余裕を持たせて行います。一方、短期で実施するのに適しているのは、皆を集合させて実施する集合研修・講義や旅行・イベントなどです。

原則的に、費用・経費は会社持ちとなります。ただ、遠隔地へ旅行するような場合には、その一部を負担させることもあるようです。

●「内定者事前研修」の実施内容
『「基礎知識」「基本要件」をマスターさせることに主眼を置く』

経営を取り巻く環境が一段と厳しくなっている中、新入社員に対して即戦力化が求められています。ビジネスパーソンとしての「基礎知識」や「基本要件」は、できるだけこの段階で身に付けさせ、入社後には、より実践的な教育を施していくのが理想です。

例えば、以下のようなものは、入社前に教育機会を設けたいビジネスにおける基本事項と言えます。

「ビジネス文書」の作成
公的に使う文書の形式・書式を正しく身に付け、ビジネス文書の取り扱いが効率的、効果的に行えるようにする。

「報・連・相」(報告・連絡・相談)の必要性
現場情報を上に上げるための「報・連・相」は、組織におけるメンバーの重要な責務であるため、どのような「報・連・相」が適切かを早期に理解する。

「会議」への臨み方
企業における会議やミーティングでは、参加するメンバーに求められる役割があり、メンバーの一員としての責任を果たさなければならないことを理解する。


●実施する上でのポイント・注意点
『研修の狙い・意図を伝え、理解した上で参加してもらう』

2〜3月の段階では、内定者はまだ学生の身分であり、「雇用関係」には至っていません。最後の学生生活を楽しもうと旅行を考えている学生もいますし、論文作成に取り組んでいる学生もいることでしょう。入社前教育を行う際には、学生に対して研修を行う目的と意図を的確に伝え、十分に理解をしてもらった状態で参加してもらうようにすることが大切です。

また、やむを得ない事情があって、参加できない学生が出てくる場合があります。そのような不参加者の中には、入社が近づいてくると不安感を抱くことがあるため、研修の実施内容を後日報告するなど、フォローをしっかりと行うとよいでしょう。

入社後の対応

●入社後に実施する教育研修の意義
『新入社員の思考・行動形態を把握し、適切な教育をすることが重要』

多くの企業では、入社後の新入社員教育は4月から行われます。まずは会社概要、経営方針、部門紹介などの説明から始まり、集合研修などでビジネスマナー講習、基本的なスキル習得を行った後、工場や事業所の見学、現場実習などが行われ、その後、それぞれの部門・部署に配属されていく、というのが一般的な流れです。

当初、基礎的な能力に大差のない新入社員でも、入社後1年、2年と経つに従って明らかな差が出てきます。その原因は配属先の上司や同僚との関係、導入期の新入社員教育のあり方などに、大きな関係があると言われています。この時期に適切に動機づけが行われるかどうか、必要なビジネススキルや能力を身に付け、仕事の意味と目的を考えて主体的な行動を取れるようになれるかどうか。こうしたことを実現できるかどうかが、その後の新入社員の成長に大きく関わってきます。

●「新入社員導入研修」の実施方法
『「受身型」から「参加型」「体験重視」へ』

最近の研修の傾向として、知識の習得は「受身型」から「参加型」へ、そして「講義」よりも「体験重視」へと変更する研修が多くなっています。

「ディベート」を取り入れる
海外とのビジネスが多くなっていく中で、自分の意見や主張をはっきりと言える自立したビジネスパーソンの育成を目標に、ディスカッションを取り入れる企業が増えています。例えば、一定の条件下で賛成派・反対派を分けて議論を進める「ディベート」などが、その典型的なパターンです。

「レポート」を作成させる
会社内の各部門・事業所に対して自由に取材や調査をさせて、独自にレポートにまとめさせるというものです。さまざまな事象をまとめていく中で、結論を導き出していくプロセスを実感していきます。何より、大人数の講義形式で知識を詰め込むよりも、自分で納得しながら理解できる利点があります。

「体験学習」を重視する
単に知識を習得するのではなく、体験を通して学ぶことを行う企業が増えてきています。実際問題として、いくらeラーニングで教えても腑に落ちない、なかなか覚えられないという新入社員が少なくないからです。例えば、ある電子サービス系の会社では、パソコンやプリンターを分解・組立を体験させて、その中でネジの締め付け、ギアの遊び、クラッチの動作などを確認させたり、LEDを利用した信号機を作って自分で組んだC言語のプログラムで制御させる、といった体験型の研修を行っています。これも新入社員自ら匂いを嗅いだり、触ったり、時には失敗したりの体験をすることで、原理・原則を覚えていくことができるからだそうです。このように自ら体験して覚えたことは忘れることがなく、何より、現場に出た時に応用を利かせることができます。

また、昨今の新入社員に興味・関心を持ってもらい、かつ効果的に新入社員教育を運営していくためには、いろいろな工夫が必要です。

「ツール」を工夫する
マンガや映像などビジュアルや動画を取り入れた研修は、昨今の学生には分かりやすいと好評です。文字の多いテキストだけだと、長続きしないようです。また、先輩社員の体験談(成功だけでなく失敗も含む)などの資料を使うと、仕事のイメージが実践的になり、新入社員にとって把握しやすくなります。

「遊び感覚」を盛り込む
「ウォーク・ラリー」などのレクリエーションを実施したり、地域のイベントや催事に参加させたりといった"遊び"の要素を取り入れることも効果的です。研修に遊び感覚を盛り込むことで、同期生とのチームワークや共感性を育んでいきます。

「日程」を変更する
例えば、初日にいきなり「野外研修」を行うケースがあります。新入社員も、これには面食らうようです。あるいは、会社説明会を入社後すぐではなく、実践的に理解させるために半年後に行うなど、意図的に日程を変更することによって、研修効果を上げることが期待できます。

「全寮制」で行う
新入社員全員が入寮して「寮生活」を送ることにより、それまでの学生生活の気分が一新され、社会人としての自覚が促されていきます。何より、寝食を共にしたことで、コミュニケーションが急速に密となっていきます。同期意識がより強固となっていき、仕事上の悩みや不満だけでなく、プライベートな面での心配事や将来の不安なども一人で抱え込まず、皆に相談し、解決していくようになります。

「先輩社員」を参加させる
「研修講師」として先輩社員を招き、グループ単位やマンツーマン方式できめ細かく指導に当たってもらいます。身近な存在である先輩社員なら気軽に質問ができるだけでなく、実務に則した知識やスキルを新入社員のレベルに合った内容で伝えることができます。さらには、あまり年数の経たない社員を選ぶことで、先輩社員の教育効果を狙うことも期待できます。

「新入社員」に運営・進行を委ねる
上からの押し付けを嫌う新入社員に対して無理強いをするよりも、研修中の運営・進行を全面的に委ねることで、自分自身で考え、行動していく習慣を身に付けさせることができます。時には意見の衝突が出てくることがあります。お互いに意見をぶつけ合うことで、良い意味でのライバル意識が芽生え、同時に、信頼関係も醸成されていきます。また自然にリーダーシップを取る者も出てくるなど、新入社員に運営・進行を委ねることのメリットは少なくありません。


●「新入社員導入研修」の実施内容

学生から社会人へと立場が変わった新入社員には、意識や生活行動、ビジネスマナーなどいろいろな面での変革が求められています。そして、早期での戦力化が求められている昨今では、入社後研修において、より“実践的”な研修を行う企業が増えてきています。入社後教育のカリキュラムは各社各様ですが、最近、重視されている内容には以下のようなものがあります。

「理念・事業ビジョン」の浸透
入社後、自社で働くことの意味とともに、事業や仕事内容に対する理解を改め深めてもらう。

「語学(英語)」学習の徹底
近年の「グローバル化」を反映し、配属後に通信教育・社外講座などの「語学(英語)教育」の場を設ける企業は多いが、それを新入社員教育中に行うというもの。徹底した集中教育により、語学力のアップを図ることで、配属後の継続的な学習へとつなげていく。

「実務」の早期習得
社員に求められる仕事のレベルが高くなることに合わせて、新入社員の「実務研修」に力を入れる企業が増えてきている。単なる知識習得のための座学だけでなく、ロールプレイングや現場実習などを交えて、実務を早期に習得してもらう。


●実施する上でのポイント・注意点

『目的の説明、新入社員の思考・行動形態への理解』
研修というのは、一方的な「押し付け」では十分な効果が期待できません。特に最近の新入社員は、自分が納得しないと動かないと言われています。以前からこうだったとか、形式ばった内容についてはなかなか受け入れようとはせず、場合によっては反発を買うこともあり得ます。

「なぜ、これが必要なのか」「なぜ、これをしてはいけないのか」など、社会人なら当たり前と思うようなことについても、その意味を紐解いて、分かりやすく説明していくことが大切です。場合によっては、先輩やトレーナーとの討議による相互理解を行ったり、フォロー面談を行うことも必要でしょう。その意味でも、新入社員の思考や行動形態を的確に把握し、実効ある新入社員教育を行うことが求められています。

また、内容によっては、教育期間を1年、あるいは3年といった期間とし、長期に渡って段階的な教育を実施していくことが大切です。継続的に長期の教育を実施することで知識や技術を十分に身に付けてもらうと同時に、各人の適性やレベル感も明確となってくるので、それに合わせた形での能力開発や配置・配属ができるようになります。

少数精鋭・厳選採用の時代では、新入社員が早く一人前になっていくことが、今後の企業の成長に大きく影響していきます。だからこそ、入社前の早い段階から期待と情熱を持って新入社員一人ひとりと向き合い、進むべき道を示していくことが、とても大切なことではないでしょうか。

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