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(情報掲載日:2013年5月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

強い現場力を取り戻すための「チームビルディング」

VOL.17


かつての日本企業の強みは「強い現場」にありました。しかし、バブル経済が崩壊した後あたりから、多くの企業で、チームより個人の成果を問う体制へと移行したことによって現場の力が落ち、組織の活力が失われてきています。そのような中で近年、「強い現場」を取り戻すために「チームビルディング」を中心とした施策を講じる企業が増えています。そこで、今日行われている「チームビルディング」について、ご紹介します。

今、「チームビルディング」が求められる背景

●チームで対応していくことで、複雑な問題を解決できる

日本企業において、組織が疲弊し、現場におけるチーム力の低下が叫ばれるような状況が長く続いています。職場の上司と部下、同僚同士の関係性が希薄となり、OJTなど現場における人材育成が十分に行われなくなった結果、チーム力の低下を招いている職場が少なくないようです。グローバル化が進み組織としての競争力を上げていかなければならない中、このような状態を打開するために、日本企業が持っていた強みである「チーム力」を取り戻そうとする動きが出てきています。

職場には、一人で解決できない問題がたくさんあります。毎日仕事をする上で、いろいろな人に協力を求めなくてはいけない場面はいくらでもあります。より良い解決策を見つけるために、異なる意見を持つ人を集めてチームを作り、意見をぶつけあうことによって、新しい考えが生まれたり、互いに相手から刺激を受け、学ぶことができます。しかし、多様な意見を持つ人たちが一定期間のうちに一つの結論を出すことは簡単なことではありません。ここにチームを作る力である「チームビルディング」が求められる理由があります。

近年の「チームビルディング」における傾向

●相互信頼から始まる「チームビルディング」

「チームビルディング」は日常の職場マネジメントにおいて非常に重要となっており、誰もが身に付ける必要のあるものであると言えます。
近年の職場では従業員同士の対話不足が著しくなっていますが、対話不足によって人間関係が希薄になれば、上司が部下を、先輩が後輩を指導しても効果が出づらくなります。これでは人は育ちません。その結果、複雑な問題の解決ができなくなります。こういったことを防ぐために、まず職場やチームの構成員たちがお互いを認め合って、信頼関係を築き、協力し合っていくこと求められています。
そのため最近では、皆で関わり合う「グループ活動」を意図的に仕掛けることで、チーム力の結束を高めていこうとする動きが出てきています。「グループ活動」を行うことにより相互信頼が醸成され、個人もチームの一員であることへの意識が高まり、チームとしてのまとまりが強くなっていくからです。例えば、「合宿ワークショップ」や「参加型研修」などを実施するケースが増えてきています。

「チームビルディング」の手法

●チームを作る際に考えること

「チームビルディング」を進めていく際に、チームを作る上では、以下のような点について十分な検討を行う必要があります。

(1)活動の枠組み

まずは、チームを作る上で必要となる枠組みをデザインし、メンバーの間で共有する必要があります。

①活動の狙い・目的(ミッション)

最初に、「チームは何を目指して活動するのか」という「狙い・目的」(ミッション)を明らかにしましょう。"なぜ忙しいメンバーが集まっているのか"ということが曖昧だと、活動がちぐはぐになるだけでなく、「私たちは何をするために集まっているのか?」という議論が始まってしまうからです。活動の意義をメンバーが正しく理解していないと、目先の作業に追われてしまい、モチベーションも下がってしまいます。

②ゴール(目標・成果物)

ミッションを達成するための具体的な「目標・成果物」がゴールです。ミッションがWHYという「狙い・目的」を指すのに対して、ゴールはWHATという具体的な「目標」や取り組みよって得られる「成果物」を意味します。「ゴールのイメージがずれていた」というのが、チームが陥る落とし穴の一つです。その多くはゴールが「新規事業を立ち上げよう」といった曖昧な表現になっているため、解釈の幅が生まれてしまうからです。「〇年以内に〇億円の売り上げを達成する事業アイデアを作り上げる」といったように、具体的で成果のレベルが分かる表現をすることが大切です。また、学習や成長といった内面的な成果を求める場合でも、「〇年以内に、〇〇ができるようになる」「〇年以内に、チームとして〇〇を達成する」など、予定通りに行った時のイメージを成果として掲げるといいでしょう。

③プロセス(段取り)

プロセスとはゴールに到達するための手順・道筋のことです。いつ、どのような順番で、どのような活動を行っていくのか、段取りを設計する必要があります。このような段取りを予め考えておかないと、活動が行き当たりばったりになったりして、効率が悪くなります。そのため、適度にチェックポイントを置いて、進捗状況を把握するようにしましょう。

④ルール(活動指針・規範)

チームの中だけで通用するルール(活動指針・規範)があれば、チームがまとまりやすくなります。会議やワークショップではこのようなルールを「グランドルール」と呼び、「人の話を遮らず最後まで聞く」「肩書や立場を忘れて行動する」といったように、なるべく具体的な行動が分かるように設定します。また、プロジェクトや定常の組織では「行動指針」「バリュー」と呼び、「多様性を尊重する」「オープンな活動を行う」といったような、チームが大切にする価値基準を設定します。

(2)構成メンバー

「チームビルディング」がうまくいくかどうかは、その土台となる構成メンバーと、メンバーの組み合わせに大きく影響されます。メンバーの数が多ければチームとしてのパワーは増えますが、まとめるのが一苦労です。逆にメンバーの数が少ないとまとめやすくなりますが、意見の多様性が減ってしまい、チームとしての良さがなくなる可能性があります。
構成メンバーの人選については、「人数」と「多様な視点を有するメンバー構成」のバランスを考えて行うことが大切です。

①人数

チームの人数は活動の性格によって大きく変わってきます。同じテーマであっても、プロセスによって活動内容が大きく異なります。頭数が必要なケースもあれば、数よりも専門的な知識・経験を必要とするようなケースもあり、内容や状況によって適したメンバー構成が考えられます。
ただ、意思決定する際に相応しい人数は5〜10人までが限度と考えられ、あまり多すぎないことが大切です。その方が一人ひとりの発言のチャンスが多くなり、参加意欲が高まるからです。

②多様な視点を有するメンバー構成

構成メンバーをどのような顔ぶれにするかについては、多様な視点から考えることが重要です。いろいろな人からの意見や情報、視点を得ることで、結論や成果が豊かになっていきます。多様な角度から十分な議論を尽くすことができ、問題解決や意思決定の質が上がってくるからです。
具体的にどのような人を集めればいいかについては、「多様な属性(性別・年齢・職種・役職・活動分野など)の人を集める」「多様な思考タイプ(性格・価値観・経験・規範意識など)を集める」、そして「メンバー同士の相性を考える」といった視点で行うようにしましょう。
また、決定権者についてはもれなく加えておくことが大切です。そうしないと、実行段階となって反対されたり、せっかくのアイデアがボツになることもあり得るからです。

(3)メンバーの関係性

チームが機能していくには、メンバー同士の関係性がうまくできていないといけません。人はそれぞれ、その人固有の枠組み(自己概念)を持っています。それはモノの感じ方や考え方であり、共通する部分もあれば、全く違う部分もあります。まずは自分と相手の枠組みを知りあうところから、関係づくりは始まります。そのために欠かせないのがコミュニケーションです。
そして、コミュニケーションを通じて自分の枠組みを開くことが自己開示です。この自己開示が、関係づくりの出発点となります。自己開示をするには、それなりの勇気が必要で、リスクを伴います。相手が受け入れてくれなかったり、反発されたりすると、自分が傷つくからです。そのため、安心して自己開示できる場がないと、関係づくりがうまくいきません。そこで、アイスブレイクや簡単なエクササイズ(協働体験)を通じて、関係づくりを促進していく必要があります。

(4)場所・環境

チームで協働作業を行う場合には、気持ち良く作業を進められる環境が必要です。人の心理は、物理的な環境に左右されることが少なくないからです。暑ければイライラします。狭ければ圧迫感を感じます。ですから、そこにいるだけで気持ちが良く、効率的に作業や学習に取り組め、チームの力を効果的に引き出すことができる空間を作り出しましょう。

チームビルディングを司るリーダーやファシリテーターは、チームを作る時に上記で指摘したような点を勘案し、「チームビルディング」をデザインしていきます。さらに、常にチームの状況や変化を観察しながら、必要な手を打っていきます。その積み重ねが、最終的にチームの活性度を決めることになります。

「チームビルディング」の実例

ある問題を解決するために、「チームビルディング」を活用した例を紹介します。

●事例:中堅メーカーでのプロジェクトチームの立ち上げ

A社では、雇用調整の結果業績が上昇してきたものの、精神的に疲れ果てたという従業員が急増してきました。そこで、この問題に対応するために、新しくプロジェクトチームが立ち上げられました。


①チームビルディングのための取り組み

■活動内容の枠組みを設定

最初に十分な話し合いの時間を設け、メンバー全員で以下のような枠組みを設定しました。

■活動内容の枠組みを設定

■構成メンバーの選出

さまざまな意見が出るように、以下のように選出をしました。

■構成メンバーの選出

■場所・環境の整備

チームのコミュニケーションや効率を考えて工夫しました。

■場所・環境の整備

■関係性

さまざまな部門から集まったメンバーの気持ちを一つにしていくためにはお互いをよく知ることが大切だと考え、プロジェクトを開始した最初の1カ月は、毎週1回相互理解のための話し合いの場を別途設け、自己紹介や興味・関心のあることなどを話し合いました。直接プロジェクトとは関係のないことなので、このようなことは無駄だと切り捨てられることが多いのですが、チームビルディングのためには、その時間をしっかり取ることが大切だと考えたからです。さらに、お互いがより打ち解けることのできる機会を設けようと、飲み会を1カ月に1度開催しました。


②取り組みによる効果

さまざまな取り組みをしたことにより、チームでは以下のような効果がみられました。

■チームにおける効果

■チームにおける効果

プロジェクト開始から6カ月後、当初の課題として挙げられていた「従業員のメンタルヘルス対策」について、プロジェクトチームから経営層に対し、無事解決策の提案がなされました。その結果、メンタルヘルス相談窓口の設置、上司と部下との定期面談やノー残業デーの実施など、メンタルヘルス対策への取り組みがスタートすることになり、全社的なメンタルヘルスに関する意識が高まった結果、心身の体調不良を訴える人が35%減少しました。また、プロジェクトチームの成果に対しては、経営陣からも高い評価を得ることができました。

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