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(情報掲載日:2013年1月21日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

人材の長期的確保・活用を実現する「社員の多様な働き方」の支援

VOL.13


労働力人口が減少局面を迎えている中、人材を企業内で長く活用するためには、社員の多様な働き方へのニーズに対応できるような体制をつくることが重要です。では、それを実現するには、どのような施策が有効なのでしょうか。「社員の多様な働き方」の支援策と事例をご紹介します。

「社員の多様な働き方」が注目されている背景

これまで正社員と言えば、「フルタイムで毎日出勤し、残業を前提として働く」「辞令に応じて、どこにでも異動する」といったように会社の業務上の都合に柔軟に対応するイメージがありました。このような正社員像は会社側から見ると、人材活用の柔軟性が高いものと言えるでしょう。その代わり、正社員は相対的に雇用の安定性や賃金等の待遇が保障されることになり、会社優先、仕事優先の働き方を受け入れることが前提となっていました。
しかし、そうした働き方が変化してきています。正社員に占める女性の割合や共働き世帯が増えていく中で、正社員であっても、会社や仕事を優先した働き方ができない人が増えてくるなど、働き方に対する考え方も多様化してきています。そこで、企業にとって優秀な人材を長期的に活用していくためには、各人の事情に対応した「ワークライフバランス」の推進が不可欠になってきたのです。
また近年のITの発達により、仕事の内容によっては、時間や場所に捉われない働き方(在宅、サテライトオフィス等)が可能となったことが、このような変化を促すきっかけになっています。
社員にとっては、出勤しないことで通勤時間を節約できる、自分の都合(家事・育児、時間・場所など)に合わせて仕事ができる、集中して仕事に取り組める、などのメリットがあり、仕事と生活のバランスを取りやすくなった結果、時間当たりの生産性が高まる、といった効果も出ています。

「社員の多様な働き方」への課題

社員のワークライフバランスを図るためには、ライフステージやその時々の社員のニーズに応じた柔軟な人事制度の運用が求められます。ただ、従来の会社優先・仕事優先で、人材活用の柔軟性の高い正社員を想定した施策に慣れ親しんだ組織風土を変革していくことは、決して簡単なことではありません。従来の正社員モデルを見直し、社員の多様な働き方を実現する施策を導入・運用していくためには、経営層の意識改革・施策導入への決断、人事部の施策を企画・設計する能力、そして、現場の実行力が不可欠です。

多様化への対応例

「社員の多様な働き方」に対する企業の支援策にはさまざまなものがあり、それぞれ以下のようなメリット、デメリット、導入に当たっての留意点があげられます。

①勤務時間の柔軟性

【フレックスタイム】

【フレックスタイム】

【みなし労働時間制】

【みなし労働時間制】

【短時間勤務】

【短時間勤務】

②勤務場所の柔軟性

【在宅勤務】

【在宅勤務】

【モバイルワーク】

【モバイルワーク】

【サテライトオフィス勤務】

【サテライトオフィス勤務】

③勤務地の柔軟性

【勤務地限定制度】

【勤務地限定制度】

④雇用の柔軟性

【再雇用】

【再雇用】


●具体事例

「社員の多様な働き方」に対する支援策の事例をご紹介します。

(1)大手生命保険:勤務地・雇用の柔軟性を担保し、長く活躍できる制度を充実

①取り組みの背景

同社では、女性社員の占める割合が多く、女性社員を長期に活用していくためには、勤務時間や雇用の柔軟性に対応した制度の拡充が求められていました。そこで、育児を支援するための短時間勤務制度を導入するとともに、復職しやすい環境の整備を推進してきました。

②施策

【育児短時間勤務制度】
同社の「育児短時間勤務制度」は、「子どもが小学校卒業月の月末まで」取得できます。2010年6月に施行された改正育児・介護休業法では、「3歳に満たない子を養育する労働者」への短時間勤務制度(1日6時間)の導入が義務づけられていますが、この法定期間を大きく上回っています。さらに、先進的な他社のケースを見ても、「子どもが小学校3年生末まで」にとどまっている企業が多いことと比べても、同社の制度がいかに充実しているかが分かります。
また、育児短時間勤務は6時間としていますが、子どもが3歳までの間はこのうち1時間分について勤務しなくても勤務時間として扱うため、実質5時間勤務が可能となっています。給与・賞与とも時間比例となり、原則的にはフルタイム8時間勤務の75%支給となりますが、5時間勤務であっても6時間勤務と同等の収入を確保することができます。
短時間勤務をする場合は、8時〜18時までの間で始業・終業時刻を所属長に申請し、その承認を受けます。子どもが小学校を卒業するまでの間は、フルタイム勤務に戻った後でも、事情の変化に応じて再び短時間勤務を選択することが可能となっています。

【ファミリー・サポート勤務制度】
勤務地について、家庭の事情に合わせて働ける制度「ファミリー・サポート制度」を導入しました。結婚や配偶者の転勤、家族の介護など家庭の事情で転居の必要性が生じた場合に、会社選考で認められれば、転居先の所属(本社・支社・支部)に転勤できるという制度です。
同制度を利用する場合、申請書を所属長経由で人事部に提出します。人事部は、転居先の所属の人員状況を確認の上、打診を行い、受け入れニーズがあれば調整に動きます。
異動先では、既に自社でのキャリアを積んだ即戦力として転勤者を活用できます。また、同じ業務でも所属によって業務のあり方・進め方が異なっていることもあり、新たな視点を持った転勤者が入ることでよい刺激となります。そのため業務改善につながることも多く、転勤先では歓迎されることが多いようです。
本人もそれまでのキャリアを活かし、さらに異動先でも新たなキャリアを形成することができるので、会社・本人双方にとって、メリットのある制度と言えるでしょう。

【ジョブカムバック制度】
「ジョブカムバック制度」とは、自己都合退職者を再雇用する制度です。
同社の制度の特徴は、退職事由を問わないことがあげられます。退職事由を結婚や出産・育児に限定していません。そして、退職後の離職期間も問いません。他社の同様の制度と比べると、再雇用の間口が広いことが目立ちます。
同制度を利用したいと考えている社員は、「エントリーシート」で登録を行います。再雇用制度へ応募する際には、一般の採用選考と同じプロセスを踏みますが、この登録を行うことで、退職後の求人情報などを確実に入手することができるというメリットがあります。


(2)大手メーカー:勤務時間と場所の柔軟性を高め、多様なワークスタイルを可能に

①取り組みの背景

事業のグローバル化に対応していく中で、海外の社員や取引先・顧客とのコミュニケーションが増えてきました。時差のある欧米の社員や取引先と電話やインターネットを通じて会議を行う場面が増え、定時の時間内では収まらない働き方が求められるようになってきました。そこで、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境を作り出す取り組みを進めてきました。

②施策

【短時間勤務制度】
短時間勤務は、「育児や介護などの事由により、通常勤務が一時的に困難である社員のキャリアとプライベートの両立を支援すること」などを目的に導入されました。勤務形態は1日の勤務時間の短縮(80%または60%)、もしくは週3日、4日の勤務となります。この組み合わせで12のパターンを用意しています。
利用者の多くは「育児」を理由にこの制度を利用しています。育児の場合は、子どもが小学校入学までは会社の承認を不要としていますが、学童保育を利用できないなど、むしろ小学校に入学してからの短時間勤務を必要とするケースが出てきています。そのため、中学校就学前まででも、所属長が承認すれば短時間勤務制度を利用できるなど、柔軟な対応を取っています。
短時間勤務制度の適用中の給与は、勤務の割合に応じて調整されますが、福利厚生などに関しては、通常勤務の社員と同様の制度が適用されます。

【フレックス短時間勤務制度】
「短時間勤務制度」は所定労働時間を短縮できるものの、始終業時刻が固定されているので使いづらいという声がありました。そこで、コアタイムのない「フレックス短時間勤務」を導入することにしました。「8時から18時30分までの間で始業・終業を社員が選択でき、コアタイムは設けず1日最低2時間以上勤務し、月単位で指定された労働時間を満たしていればよい」という内容です。
同制度を利用することで、勤務時間帯を柔軟に設定することができるようになりました。

【在宅勤務】
同社の「在宅勤務」には「eワーク」と「ホームオフィス」の2種類があります。
「eワーク」は、1日の一部または全部を自宅で勤務する制度です。実態としては、週1〜2日を自宅で勤務するケースが多くなっています。対象は副主任以上、勤続1年以上の社員です。当初この制度を利用するためには紙の申請書が必要でしたが、メールで申請・承認が行えるようになったことで利用者が一段と増えてきました。同制度は就業時間の一部を在宅勤務とするため、PC(会社が業務上使用を認めたもの)や電話は、本人が用意することになっています。ただし、業務にかかる通信費は申請に基づき会社が負担しています。
一方、「ホームオフィス」は週4日または5日の終日を自宅で勤務するという本格的な在宅勤務で、対象は主任以上の社員です。同制度は就業時間の大半を在宅勤務することになるので、仕事を遂行する上でその点に問題がないかどうかを、上長と人事部との面談を行った上で判断が下されることになっています。その分、申請するだけで許可の出る「eワーク」と比べてハードルが高くなっていますが、適用者と認定された場合には、会社から必要となるITツールが用意されることになっています。そのため、自宅にいてもオフィスにいるのと同様の環境で業務を遂行することができます。原則として、最低月1回、所属長とミーティングのために出社することになっており、オフィスに出社した時は、部門内の共有スペースを利用することになります。
また、このような「在宅勤務」を可能とするために、同社では以下のようなサポート体制を整えています。

<在宅勤務をサポートする制度>
<在宅勤務をサポートする制度>

社員の多様な働き方を支援する施策を実施していくためには、社員が活用しやすい制度を構築していく柔軟な対応や、きめ細かな運用が求められています。

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