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(情報掲載日:2012年12月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

社員が「働きやすい会社」の条件

VOL.12


いくら優秀な社員が集まっていたとしても、社員が働きやすいと思う環境を会社が提供できなければ、社員は持っている能力を十分に発揮することは難しいのではないでしょうか。そこで、社員が働きやすい会社の条件と、それを実現するための施策をご紹介します。

社員が求める「働きやすい会社」の条件とは

日本経済新聞社が実施した2012年の「働きやすい会社」調査のビジネスパーソン編の調査結果によると、ビジネスパーソンが働きやすい会社の条件に「重視する」と答えた項目のトップに「労働時間の適正さ」43.5%があげられており、さらに「休暇の取りやすさ」42.3%や「半休や時間単位など年次有給休暇の種類が充実」32.0%など、『時間・休日』に関連した項目が上位を占めています。また、「社員の勤続年数の長さ」36.8%や「若手社員の定着率の高さ」30.1%といった『長期勤務』できる会社であること、さらには「人事考課の結果伝達、反論・修正機会の有無」32.2%、「評価結果・目標達成度フィードバックの有無」28.6%など『評価』に対する要望が、上位にあげられています。

働きやすい会社の条件に「重視する」と答えた項目

日本経済が成長期から円熟期に変わる過程で、働く人の会社に対する考え方が徐々に変化してきたと言われています。かつてよく見られた滅私奉公的に働くようなワークスタイルから、現在ではワークライフバランスの考え方に代表されるような仕事と私生活のバランスを重視するワークスタイルになってきました。そうした中で長期的に自分の能力やスキルを活かせるような会社が「働きやすい会社」となってきたように思われます。またそうした働きやすい会社であることが、社員が仕事に対して高い意欲を持つことにもつながります。では、社員が仕事に対する高い意欲を持ち、会社に対して貢献していこうと思ってもらうためには、どのような施策を整えていけばいいのでしょうか。

社員が「働きやすい会社」を実現する施策と留意点

社員が「働きやすい」と思う会社にするための施策にはどのようなものがあるのか、また、それらを実施していくにはどのような点に留意していけばいいのかについて、以下、ご紹介します。

(1)時間・休日

●労働時間を適切に保ち、残業を慢性化させない

前述の調査結果では、「労働時間の適正さ」がトップにあげられていましたが、そもそも会社が法定労働時間を順守するのは当然の義務です。もちろん、業種業態や季節変動などによって、残業が避けられないケースも出てきますが、残業するにはそのためのルール[時間外労働・休日労働に関する協定届(いわゆる36協定)]があります。時間外管理を適正に行い、実際に行わせた残業については、ルールに従って時間外手当を支払う義務が会社側にあることを、再認識する必要があります。
近年、ワークライフバランスが重視されるようになってきたことで、仕事と私生活のバランスを取り、各人の事情を尊重して働けるような環境整備が求められています。長時間労働が続く職場では社員は次第に疲弊していき、心身の健康に支障をきたす場合も出てきます。その点からも、職場における時間外労働の実態を明らかにし、恒常的な長時間労働が行われている職場に対しては、さまざまな工夫をする必要があります。例えば、仕事の作業手順の見直し、標準化・マニュアル化、作業工程の分業化や、担当変更による効率アップなどの改善策を実施していくことが求められます。さらには、現場の管理職が率先して定時に帰社するなどして、意味もなく社内に残るような習慣を改めていくような働きかけも大切です。

●有給休暇を取得しやすい職場環境をつくる

「休暇の取りやすさ」や「半休や時間単位など年次休暇の種類が充実」という調査回答に見られるように、有給休暇を取得しやすい職場環境の実現が求められています。しかし、現実的に忙しい時に社員が有給休暇を申請してきた時に、それにどう対応すればよいかという問題があります。
有給休暇の取得は、労働基準法で認められている労働者の権利です。そのため、有給休暇の取得申請が出された場合は、その休暇取得が事業の正常な運営を妨げる場合(*時季変更権)を除いて、社員の申し出を認めなくてはなりません。
ただし、「有給休暇を取りにくい雰囲気が漂っていて、言い出すことができない」とか「実際に取る社員がいない」といったケースが少なくないようです。事実、有給休暇の取得率は厚生労働省の調査などを見ると、おおむね半数程度に止まっています。
確かに、業務の繁忙期に有給休暇を申請するのは社員としても言い出しにくいことでしょう。有給休暇を取得しやすくするためには、人事部門が先導役となり、現場の業務の繁閑を確認した上で、現場の責任者と話し合いを持ち、できるだけ忙しくない時期を見計らって一定日数の休暇を取得できるよう、現場へと働きかけていくことが必要です。それでもなかなかできないような場合には、ある程度強制的な形で有給休暇の計画取得を義務付けるように「有給休暇計画取得予定表」などを人事部門に提出させるなどの方法を考えてみることです。また、有給休暇の取得に否定的な態度を取る現場の管理職がいるような場合は、そのような意識を是正する指導も必要でしょう。
とにかく、休みたい時に休める環境を整備することが大切です。そのためにも、「ワークライフバランス」の考え方を職場に浸透させるよう人事部門が先頭に立って、職場風土の改革を進めていくことが求められます。

※事業の正常な運営を妨げるかどうかは、当該事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の作業の内容、性質、代替要員の配置の難易等を考慮して、客観的に判断すべきもので、使用者が恣意的に判断することは許されません。

*時季変更権
労働基準法第39条第5項では、「使用者は、(中略)有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と定めている。このただし書きの部分が、有給休暇の時季変更権である。しかし、労働者は有給休暇をいつでも自由に取得できることが原則であるため、使用者は労働者が希望した日に有給休暇が取れるよう、状況に応じた配慮(代替勤務者の確保、勤務割の変更など)が求められている。


(2)評価

●評価制度を公正に運用し、フィードバックする仕組みを機能させる

「人事考課の結果伝達、反論・修正機会の有無」「評価結果・目標達成度のフィードバックの有無」などを要望する声が高かったように、会社で働く人の多くは、自分の働きを正当に評価されたいと思っています。そのためにも、どのような評価制度を作るかだけでなく、その評価制度を公正に運用することがとても大事です。
評価制度を公正に運用していくためには、まずは何のために仕事の結果や成果をフィードバックするのかを、評価者である現場の管理職に理解させる必要があります。その上で、評価においては仕事の成果の良かった点、悪かった点についてフィードバックすることで、評価される本人の強み・弱みが明らかとなり、人材育成に向けた課題が明確となります。また併せて、管理者に対しても「評価者トレーニング」などの研修を実施して、成果のフィードバックの意義を伝え、部下のモチベーションを高め、能力開発へとつなげていくための「面談スキル」を身に付けてもらうようにすることが大切です。

(3)その他

●社員に選択的自由度を与える制度を導入する

『時間・休日』『評価』という観点からの施策を見てきましたが、仕事に対しては、誰にも向き・不向きがあります。配属や異動に伴って、本人の仕事の適性と職場のミスマッチが発生する可能性もあります。そのようなことが起きると、社員が働きがいをなくし、会社を辞めてしまうことにもなりかねません。
こうした事態を回避するためにも、社員に選択的自由度を与えることのできる仕組みや制度の導入を検討していくことが求められます。これらは働きやすさを感じてもらうためにも、とても重要なものとなります。

具体的には、以下の表にあるような採用から配置、評価・処遇、退職に至るまでの一連の段階で、何らかの形で自己選択性を加味した人事制度を考えていくことが大切です。
例えば、毎年一定のタイミングで社員へ異動希望を確認する「自己申告制度」、社員が希望する仕事や職場を選べる「社内エージェント制度」などを取り入れるといったことです。選択の自由度が高まることで社員のモチベーションが高まり、より働きやすい会社となっていくことでしょう。

●社員に選択的自由度を与える制度を導入する

●会社のビジョン・方針を浸透させる研修を行う

社員が長く勤めたいと思える会社になるためには、会社が掲げるビジョン・方針に対して、社員に共感を持ってもらうことが大切です。
会社のビジョン・方針を社内に正しく浸透させていくためには、それを社員と共有する機会を持つことです。例えば、「ビジョン・方針研修」などを企画・実施するのも有効な方法です。また、新たなビジョン・方針を策定する場合は、全社横断的なプロジェクトチームを作成し、自社の将来に対して語り合う場を持つこともよいでしょう。
そのほかに、人事評価の項目の中に社員の「行動基準」として取り入れることも、ビジョンや方針の定着に有効です。

●年齢に関係なく、安心して働ける職場を実現する

「高年齢者雇用安定法」では、社員が65歳になるまで働き続ける環境づくりを企業に義務付けています。具体的には、@定年年齢の引き上げ、A継続雇用制度の導入(労使協定により基準を定めた場合は希望者全員を対象としない制度は、平成25年4月1日の改正法施行をもって廃止)、B定年制の廃止、などです。これらのいずれかの措置を取るよう、企業に求めています。当然ながら、このような動きに適切に対処していくことが、働きやすい職場づくりに寄与することになります。
上記に対処するためには、以下のようなステップを踏みながら、制度の検討をしていくことが望まれます。

●年齢に関係なく、安心して働ける職場を実現する

高齢者の処遇を考えて職場環境や各種制度を整備していくことは、短期的には企業にとって負荷となる場合も出てくるかもしれません。しかし、これから労働力人口が急速に減少していく中で、高齢者をいかに活用していくかということは、本人と企業の双方にとっての重要な問題です。何より、高齢になっても会社がその人の活用や処遇に尽力しているという姿勢を示すことは、若い人たちにとっても長期的にこの会社で頑張っていこうというモチベーション向上につながるでしょう。

社員が働きやすい会社を実現するための施策をいくつかあげてきましたが、大切なのは制度が活用されて、少しずつでも具体的な成果を出していくことです。うまくいっていないケースの多くは、仕組みはあるものの、現実には機能していないというものです。このような場合は、制度・仕組みの存在自体が社員のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。その点からも大切なのは、制度・仕組みをうまく活用して、社員のやりがいと成長の実感へとつなげていくことです。

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