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(情報掲載日:2012年11月20日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

雇用形態の多様化に対応した「契約社員・パートタイム労働者」の 戦略的活用

VOL.11

経営を取り巻く環境が激しく変化し、雇用形態の多様化が進んでいる中、非正社員の人材活用のあり方が企業の生産性に大きく影響しています。なかでも、契約社員やパートタイム労働者は、非正社員の中でも大きな割合を占めており、実効性のある戦略的な活用が求められています。そのためには、どのようなことに留意していけばいいのでしょうか。契約社員・パートタイム労働者の活用の実態と方法をご紹介します。

契約社員・パートタイム労働者の活用の実態

●この10年間で非正社員が増加、雇用者に占める割合は35.2%に

働く人の就労観の変化とともに、雇用形態の多様化が進んでいます。総務省の「平成23年労働力調査」(※1)によると、平成23年平均の雇用者(役員を除く)(4918万人)のうち、正社員は3185万人と前年に比べ25万人減少している一方、非正社員は1733万人と48万人増加しています。この10年間で非正社員は約460万人増加し、雇用者全体に占める割合は35.2%にまで達しています。
非正社員には、派遣社員や雇用契約を結ぶ契約社員、嘱託社員、出向社員、臨時的雇用者、パートタイム労働者などがありますが、その中でも、契約社員とパートタイム労働者の占める割合が高くなっています。そこで、契約社員とパートタイム労働者について、活用の実態を見ていきます。

●契約社員・パートタイム労働者の割合

厚生労働省の「平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査」(※2)では、契約社員とパートタイム労働者を以下のように定義しています。

【契約社員】
特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者。
【パートタイム労働者】
正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週間の所定労働日数が少ない労働者で、雇用期間が1カ月を超えるか、または定めのない者。

同調査の事業所調査によると、非正社員のいる事業所の割合は全体で77.7%。契約社員・パートタイム労働者のいる事業所の割合を見ると、契約社員13.8%、パートタイム労働者57.0%となっています。前回調査(平成19年)と比べると、契約社員が10.9%から3ポイント近く増えているのが目立ちます。一方、パートタイム労働者は2.0ポイント減少していますが、それでも6割近くの事業所が活用しています。
これを労働者の割合で見ると、非正社員は全体の38.7%を占めており、契約社員は3.5%(前回2.8%)、パートタイム労働者22.9%(同22.5%)となっています。前回調査と比べ、両者ともその割合が増加しています。

●契約社員・パートタイム労働者の割合

●契約社員・パートタイム労働者の割合

●活用する理由

企業が契約社員・パートタイム労働者を活用する理由を見ると、契約社員は「専門的業務に対応するため」41.7%が最も多く、次いで「即戦力・能力のある人材を確保するため」37.3%が続いています。パートタイム労働者では「賃金の節約のため」47.2%、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」41.2%が多くなっています。
前回調査と比較して上昇している割合の高い理由を見ると、契約社員は「賃金以外の労働コストの節約のため」13.0%(前回8.1%)、「1日、週の内の仕事の繁閑に対応するため」9.1%(同4.5%)のほか、「正社員を重要業務に特化させるため」15.1%(前回10.6%)、「高年齢者の再雇用対策のため」14.6%(同11.0%)で高くなっているのが目に付きます。それに対して、パートタイム労働者では、「賃金以外の労務コストの節約のため」30.8%(同21.3%)、「賃金の節約のため」47.2%(同41.1%)、「景気変動に応じて雇用量を調整するため」23.2%(同18.0%)などが上昇しており、同じ非正社員でも企業が活用する理由が異なっていることが分かります。

●活用する理由

●活用する理由

●各種制度の適用状況

福利厚生等の各種制度が契約社員・パートタイム労働者に適用される事業所の割合については、契約社員は「雇用保険」71.9%、「健康保険」70.8%、「厚生年金」68.6%などの割合が高くなっています。一方、パートタイム労働者では「雇用保険」58.4%以外は、契約社員と比べると総じて割合が低くなっています。
前回調査と比べると、契約社員は「福利厚生制度等の利用」50.1%(前回47.4%)、「社内教育訓練」49.4%(同46.0%)、パートタイム労働者では「雇用保険」58.4%(同55.5%)、「社内教育訓練」30.5%(同26.2%)、「福利厚生制度等の利用」23.7%(同22.3%)、「自己啓発支援制度」10.8%(同8.7%)などの制度の上昇が目立ちます。

●各種制度の適用状況

●各種制度の適用状況

平成19年は「フルタイム正社員への転換制度」及び「短時間正社員への転換制度」について、平成22年は「正社員への転換制度」について調査をしていない。

※1 総務省 平成23年労働力調査(速報)(岩手県、宮城県、福島県を除く全国)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.htm

※2 厚生労働省 平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/10/index.html

契約社員・パートタイム労働者の意識

●現在の就業形態を選んだ理由

次に、個人調査の回答を見てみます。現在の就業形態を選んだ理由について、契約社員は「専門的な資格・技能を活かせるから」41.0%、「正社員として働ける会社がなかったから」34.4%が上位を占めています。パートタイム労働者では「自分の都合のよい時間に働けるから」50.2%、「家計の補助、学費等を得たいから」39.6%、「家庭の事情(家事・育児・介護等)や他の活動(趣味・学習等)と両立しやすいから」30.9%が多くなっています。
前回調査と比べると、契約社員は「専門的な資格・技能を活かせるから」41.0%(前回37.0%)、パートタイム労働者では「通勤時間が短いから」29.7%(同25.1%)などの理由が上昇しています。
契約社員は専門的な資格・技能へのこだわりが強い一方で、パートタイム労働者では通勤時間などに対する理由が多くなっていることが分かります。

●現在の就業形態を選んだ理由

●現在の就業形態を選んだ理由

●今後の働き方に対する希望

今後の働き方に対する希望を聞いた結果では、「現在の就業形態を続けたい」は、契約社員の46.8%に対して、パートタイム労働者は78.1%と8割近くを占めています。前回調査と比べると、その割合は契約社員で2.2ポイント減少しているのに対して、パートタイム労働者では1.1ポイント上昇しています。
契約社員については、現在の就業形態を選んだ理由で「正社員として働ける会社がなかったから」が多かったことなどが背景にあることから、正社員への転換についての要望がより強くなっているようです。一方、パートタイム労働者は、時間に対するこだわりが強いこともあり、時間調整が可能な現在の就業形態を続けていきたいという人が多くなっていると推測されます。

●今後の働き方に対する希望

●今後の働き方に対する希望

契約社員・パートタイム労働者の活用のポイント

●活用のポイント

契約社員・パートタイム労働者を活用する際には、まず自社における導入の目的を明確にすることが必要です。例えば、「正社員じゃなくても対応可能な業務をパートタイム労働者に任せることで、正社員の残業時間削減をする」や、「需要期に営業販売業務に人員投下をし、売上拡大をする」や、「正社員登用を前提としながらも一時的に有期の雇用形態とすることで、採用リスクを軽減する」など、それによってどの程度の期間を見込んでいるのか、どの程度のスキルや経験を必要とするのかを明確にしておきます。

前述のデータにもある通り、労働者はさまざまな理由でその雇用形態を選んでいます。採用時には「応募してきたから採用」するのではなく、その人が何を求めてその雇用形態を希望しているのかを理解した上で、自社の募集の背景や意向にあっているかどうかをみる必要があります。既に勤務している労働者についても同様に、志向を理解しておくことが大切です。

その上で、「契約社員」「パートタイム労働者」といった雇用形態や先入観にとらわれず、会社が期待する能力を発揮してもらえるように工夫することが大切です。そのためにはやはり、労働者に対する理解が必要です。会社が何を与えれば、労働者のモチベーションにつながるのかを検討・実施します。そうすることで会社にとっても労働者にとってもよい関係性が築けるようになります。

その他に留意しなければいけない事項があります。平成24年8月に公布された「労働契約法の一部を改正する法律」において、有期契約労働者と無期契約労働者(主に正社員と言われる労働者等)との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設ける事が禁止されたため、注意が必要です。

≪改正法概要≫

◆無期労働契約への転換 (平成25年4月1日施行)
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換する(5年のカウントは、このルールの施行日以後に開始する有期労働契約が対象。施行日前に既に開始している有期労働契約は5年のカウントには含めない)。

◆「雇止め法理」の法定化 (平成24年8月10日施行)
「雇止め」とは、有期労働契約において、使用者が更新を拒否したことにより、契約期間の満了により雇用が終了することをいう。「雇止め法理」とは、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール。今回の法改正は、雇止め法理の内容や適用範囲を変更する事なく、労働契約法に条文化された。

対象となる有期労働契約

上記に該当するかは画一的に判断できるわけではなく、従事する仕事の種類・内容・勤務の形態、地位の基幹性・臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無、契約更新の状況、契約更新手続きの厳格性、継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度、同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無、契約締結の経緯、勤続年数などを総合考慮して、個々の事案ごとに判断されるとされている。

◆不合理な労働条件の禁止 (平成25年4月1日施行)
同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルール。

対象となる労働条件

詳細は厚生労働省のHP内に掲載されている資料をご覧ください。

※3 厚生労働省 労働契約法改正のポイント(2012/8/29)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

契約社員・パートタイム労働者の活用事例

契約社員・パートタイム労働者が能力を発揮できるような取り組みを行っている企業の活用事例をご紹介します。

●契約社員(食品メーカーの例)

(1)契約社員活用の目的

フリーターの増加が社会問題となっている中、就業機会、能力育成の場を提供したいと考えていました。
また、やる気のある契約社員を入れることで、正社員の契約社員に対するマネジメントや人材育成への意識を高め、職場も活性化したいと考えました。

(2)モチベーションを高める工夫

①3つの契約社員コースを用意
同社の契約社員制度は、職種が選べることが大きな特徴となっています。職務内容は3コースに分かれており、応募者はそれぞれコースを選択して応募できる形となっています。契約期間は1年契約で最長5年までと期間を区切った採用を行っています。
◆生産技術・管理コース
生産工場で品質管理やオペレーションに携わります。具体的にはラインオペレーション、工程管理・分析、品質管理、成分分析などです。経験・能力に応じて、工場全体を俯瞰する業務にも携わります。
◆マーケティングコース
本社や営業拠点で、取引先の訪問、開拓、販売管理などの営業活動を通じて、マーケティングや市場調査などの業務に従事します。
◆総合コース
職務や勤務地を限定しないで、さまざまな分野のビジネスを通じ、同社の企業活動全体に渡る業務に従事します。正社員と同様に企画、営業、技術、クリエイティブなど、国内・海外を問わず多様な職務に携わります。

②賃金と労働条件
賃金は時給制で、3コースとも1年目1000円、2年目1200円、3年目以降1400円となっており、賞与の支給はありません。正社員と同様、所定労働時間は9〜18時の実働8時間で、完全週休2日制、祝日・年末年始が所定休日となっています。社会保険にも加入し、年次有給休暇も初年度10日で、最高20日を付与します。
また、契約社員に対しては残業をしないですむよう業務量を調整しており、基本的には残業をしない労働条件としています。

③研修・資格取得支援
正社員と同様に、資格取得支援・研修制度を用意しています。
具体的には、公的な資格(一部民間資格も含む)を取得した場合に、最高100万円までの費用を給付する資格取得支援制度、4〜5年目に必ず参加できる海外研修などです。海外研修は、海外拠点での実務経験を中心とした研修で、直近の例では上海で現地社員とともに、展示会のブースを担当する実務研修を行っています。

(3)導入効果

フリーターへの就業機会、能力育成の場を提供したいと考えていましたが、契約期間満了後の進路を見ると、同業である食品関連の職業ほか、ベンチャー企業や外資系企業への就職など、多くが「入社時に描いていた夢」の方向へと進んでいるとのことで、一定の効果が出ているようです。
同社の契約社員は職務内容が選べる、残業がない、研修・資格取得支援制度が充実していることから、近年では契約社員の採用数が正社員を上回るようになってきました。実際、マーケティング部門などでは契約社員が半数以上を占めるようになっており、そのことで、正社員側の契約社員に対するマネジメント、人材育成への意識が高まり、正社員の能力開発の機会へもつながっているようです。
一方、契約社員側も5年以内という期間を意識し、その間にできるだけ有意義な経験をしようという前向きな姿勢で仕事に取組み、キャリアアップを図っています。また、研修・資格取得支援などのインセンティブがあることでモチベーションがアップし、結果的に仕事への成果と結び付いています。また、残業ゼロを前提とした働き方だけに、どうしたら所定内時間に成果を上げられるかと工夫し、正社員より生産性意識の高い契約社員も多く、正社員への良い刺激となっています。このような契約社員の存在が、活気のある社内風土の形成へとつながっていると、同社では高く評価しています。


●パートタイム労働者(飲食業の例)

(1)パートタイム労働者活用の目的

少子化が進む今後、若年労働力の不足が一段と問題となっています。若年層のパートタイム労働者に頼っている飲食・サービス業界においては、優秀なパートタイム労働者を定着させ、活用していくことが最も重要な課題となっています。そのため、パートタイム労働者にやる気をもってもらえるような施策を取り入れたいと考えていました。

(2)モチベーションを高める工夫

①行動レベルで測る評価項目で格付け
郊外型ロードサイドを中心にイタリアンレストランのチェーン展開を行っている同社では、さまざまなツールや仕組みを活用し、パートタイム労働者へのきめ細かな評価を行い、モチベーション向上に尽力しています。
まず、パートタイム労働者の評価については、ホールとキッチンで独自に評価項目を設定、行動レベルに重きを置いた、きめ細かな運用を行っています。基本的な態度(挨拶、無遅刻・無欠勤、身だしなみ、衛生、返事・伝達、明朗度、清潔さ、スマイル、チームワーク、約束)から業務スキルまで、その評価項目は「何々をやっている」「何々ができる」といったように、初級・中級・上級に分けて、全て行動レベルで測る評価項目となっています。また、その各項目を自己評価と上司評価で行うことにより、各級に応じた基本的な態度・スキルの取得状況を、上司・メンバーともどもチェックし、確認し合うことができるようになっています。
この他にも、「30回連続無遅刻無欠席」「ユニークサービスの提案」といったボーナスポイントも加えられ、これら一連の評価ポイントの合計で、職務ランクが格付けされる仕組みとなっています。

②評価上位者を対象とした研修会形式の食事会
評価の高いパートタイム労働者については、上位者を社内で公表しています。そして、その人たちを、社長を交えた研修会形式の食事会に招き、報奨金を渡してその頑張りを称えます。と同時に、実際に食事をしながらお客様の立場になってもらいます。そこで、料理メニューやサービスのあり方をチェックしていきます。食事会の後では、そこでの感想をレポートとして提出してもらっています。
こうした目に見える形の表彰制度を設けることは、評価の場や金銭的報酬を用意することになり、パートタイム労働者が頑張ろうという意欲を持つことへとつながっていきます。

③情報カード
同社独自のパートタイム労働者の活用のツールとして、「情報カード」があります。正社員だけでなく、現場のパートタイム労働者に至るまで情報の共有化を推進するために用意されているもので、「情報カード」を介して社長に直接、意見を上げることができます。「お客様からクレームを言われたら赤い紙に書く」「褒められたら青い紙に書く」「自分の意見があったら白い紙に書く」ということで、3種類のカードを各店舗に備えています。そして、これらは商品開発のアイデアや社内改革の課題発見のきっかけの宝庫となっています。特に、「白い紙」では、自分の意見がメニューに載ったり、店舗のオペレーションが変わったりすることで、「会社は自分たちのことを大切に考えてくれている」と実感してもらえることとなり、パートタイム労働者のやる気を引き出すことに大きく貢献しています。

④制服をランクによって変える
店舗では、制服によってランクが設定されています。ホールではビギナー、チーフ、社員、店長がそれぞれ別の色のエプロンを着用しています。キッチンでも同様に、ビギナー、社員、料理長がそれぞれ別のエプロンを着用しています。このことでモチベーションが向上し、店舗間の人たち同士のやる気を促す仕組みとなっています。

(3)導入効果

こうした取り組みは非常に好評で、このような制度を導入してから、パートタイム労働者の定着率が非常に向上していきました。頑張ったらそれが報いられる仕組み、自分の提案が取り入られる仕組みとしていくことで、現場のパートタイム労働者のモチベーションが高まっていくのです。そのことが、店舗の活性化、売上向上へと結び付いています。

その他にも、上記の例のように必ずしも長期的に雇用するのではなく、会社の取引社数を拡大するために期間限定で契約社員を活用し、新規開拓のためのテレアポを行うと言った活用例もあります。

契約社員・パートタイム労働者の有効活用を図っていくためには、労働者が能力を発揮できるような施策、マネジメントを行っていくことが非常に重要となっています。

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