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(情報掲載日:2020年4月13日)


春は、職場環境の変化、仕事内容の変化、目標や評価指標の変化など、さまざまな変化が訪れる季節です。それらに応じて上手にアジャストしていく力が、ビジネスパーソンには求められます。社会や経済の情勢が予測困難になったと言われる今の時代、どんな変化の中でもしっかりと自分を成長させていくための「アジャストメント力」について考えます。

●先の読めない時代を生き抜く力

アジャストメントの動詞形「アジャスト」には「適応する」「順応する」「調整する」「調節する」という意味があり、「アジャストメント力」とは、環境に合わせて自分の行動や考え方を適切に変えていくことのできる能力を指します。
AI(人工知能)の台頭もあり、ビジネス環境の激動が避けられず、変動性や不確実性が高いというこれからのVUCA時代は、情報の集め方や伝え方、仕事自体の進め方や取り組み方も変化していきます(※1)。そんな環境変化に対応し続けていくために、アジャストメント力はビジネスパーソンにとって重要なスキルと言えます。

「10〜20年後には702の職業の必要性が減るだろう」と述べられた論文が2014年にイギリスで発表されましたが、今存在している仕事でもやがてAIに代替されたり、業務領域がこれまでとは大きく変わる可能性があります。また、自然災害による想定外の問題や、サイバー空間という新しい社会基盤で起こる突発的な問題など、事業活動に直結しかねない出来事が近年増加しています。このような状況をふまえると、アジャストメント力の高い人材がより求めるようになると考えられます。

●キャリア・アダプタビリティという概念

キャリア研究の第一人者ドナルド・スーパーが提唱した「キャリア・アダプタビリティ」という概念があります。将来何が起こるか分わからないのがキャリアであり、キャリアを切り拓いていくためには、変化に直面した時にそれを受け入れて適応していける能力が必要になるという考えで、アジャストメント力の必要性を唱えたものです。

環境変化に対しては、「受け身」で変化するのではなく、自分から「能動的」にチャレンジし変化していく姿勢が大切になると指摘されています。変化を受けた後に必要性に駆られて変わり始めるのではなく、自分からあらかじめ変わることによって適切な状況を率先してつくり出していく、将来の目的を見据えて自分を変えていく、という積極的な姿勢です。
また、自分の可能性を限定させずに「なりたい自分の像やキャリア」を思い描くこともポイントです。このままで十分だと納得して現状維持をしているだけでは、次の成長ステージは遠ざかり変化への対応も遅れます。現状に満足できていたとしても、その先にまだ潜んでいる自分の可能性を信じて思いを膨らますようにします。
そんな姿勢を持ちながら働くことによって、自分自身のキャリア形成や成長が望めるだけではなく、予測困難な転機やそれに伴って生じるストレスを軽減させることも可能です。

進化論で有名な科学者ダーウィンは、「最終的に生き残るのは、最も強い者ではない。最も知的な者でもない。変化に最もよく適応した者である」という言葉を残しています。アジャストメント力は時代を生き抜くための鍵となります。

※1:テンプナレッジマガジンvol.84「VUCA時代に向き合う」
https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol84.html

●自分の可能性を広げる力

アジャストメント力が高まると日々の思考や行動が変わってくるため、仕事に役立つさまざまなスキルに好影響が表れます。

新たな情報や知識を積極的に得ようとするようになるため、知識のストックが増えます。従来の手法や思考法にこだわることなく、未知のものに対して解放的になり好奇心も旺盛です。すると、思考の際に応用の幅が広がり、沢山の選択肢を想定できるため「決断力」が高まります。

なんとか対応していけるだろうと物事を前向きに考えるようになるため、困難や問題に遭遇した時でも気持ちを素早く切り替えられます。落ち込んだり悩んだりせずに、何らかの策を求めて夢中になります。すると、諦めることなく打ち込めるため「忍耐力」が高まります。

変化の方向や流れを頭に入れて、大きな目的や意味を考えるようになるため、目先の小さな事柄に振り回されずに円滑に取り組める用意周到なプランが立てられます。リスクの回避も想定して先手を打つなど準備万端です。すると、要点をおさえて効率よく物事が遂行できるため「問題解決力」が高まります。

●相手との関係を深める力

アジャストメント力が高まると、周囲とのコミュニケーションにも好影響が表れます。

自分の考え方や思い込みにこだわらないようになるため、相手の気持ちや考え方を素直に受け止めて理解に努めます。話し合いや交渉の場面で、自分の見解と違う見解や批判的な意見が出ても、感情に左右されることなく適切に事を運べます。すると、自分の主義や主張に固執せずに余裕を持って幅広い対処ができるため「柔軟性」が高まります。

それぞれの人の立場を把握しようと意識が働くようになるため、臨機応変にその場に望ましい雰囲気作りを心がけます。相手が意見を言い出しやすい表情やしぐさを取ったり、波風が立たないように会話をつないだりまとめたりすることができます。すると、チームや相手のために自分が今すべきこと、自分が求められていることを客観視できるため「メタ認知能力」が高まります(※2)。

また、アジャストメント力が高い人は、どのような環境下でも、状況に応じた最適な判断を下してパフォーマンスを発揮しつつ、周囲のメンバーの様子を見ながら一緒に前進することに長けていると考えられます。そのため、チームやプロジェクトを率いるようなリーダー的なポジションでの活躍も期待できます。

※2:テンプナレッジマガジンvol.57「メタ認知能力を高めよう」
https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol57.html

●常識を捨てる

アジャストメント力を高めるためには、まずは「常識を捨てる」ということから始めてみると効果的です。

例えば、当たり前だと思っていたことを敢えて、考え直したり疑ってみたりします。社内で引き継がれてきた方法、業界で基本だと考えられている事柄など、固定観念に縛られないように心がけます。時代の変化の中で、正しいと思っていたことが少しずつずれてきた、長年使ってきた仕組みが上手く機能しなくなってきた、ということはいつでも起こりうると頭に入れておきます。
できるだけ避けたいのは、「こうすべき」「これが普通」という考え方です。目の前にあるいくつものルールよりも、目指したい大きなゴールを意識することが大事になります。

また、自分には興味が湧かない、理解しがたいことであっても、世の中に広がっている流行に少しでも乗ってみるようにします。自分の仕事や生活との共通点が感じられない流行りの品やブームの中にも、大勢から支持されている背景や人を引き寄せる理由など、どこかに新しい発見やヒントが隠されていると観察します。今起こっている社会の大きな変化、次の新しい変化の気配に、触れたり感じたりすることは、自分の中の固定しがちな思考や思い込みを活性化するカンフル剤です。
視線を向けたいのは、「自分とは関係ない」「関心ない」という分野です。自分のこだわりや嗜好よりは一旦横に置いて、世間が求めているもの、注目されている場所を見つめてみることがポイントです。

●チャレンジする

「チャレンジする」ということも、アジャストメント力を高めるために有効です。

例えば、仕事を進める時に、いつもとは違うやり方をしてみる、他の手段を選んでみるなど、別の方法を試してみます。効率面で劣る、無駄が増える、と考えてきたために避けてきた方法にも目を向けます。実際に手足を動かして得られた実感は、物事の見方や捉え方に刺激を与え、豊かな経験値としてストックされます。
抑えたいのは、「きっと無理」「結果は見えている」という否定的な感情です。過去の成功例や失敗例は、未来もずっと同じようになるとは限りません。

また、尊敬する上司、憧れる先輩、活躍している同僚などの真似を取り入れてみます。行動パターンや手順、会議や打ち合わせでの発言の特徴や表情に注意を払い、一部分だけでも実践します。自分との違いや自分に不足しているスキルなどについての気づきが得られて、次に踏み出すべき一歩も自覚できます。
封じたいのは、真似をするのは「気がひける」「恥ずかしい」という消極的なマインドです。ほんの少しの勇気が大きな道を切り拓く原動力になります。

アジャストメント力は、大きく環境が変化する時代に欠かせない力です。思考やスキルの向上の源となり、ビジネスのさまざまな場面で力を発揮します。日頃からアジャストメント力を高めるよう意識を向けてみませんか。

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