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(情報掲載日:2019年9月10日)

いまを勝ち抜く人間力

欧米では10年以上前から「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方が広まっています。「ワーク・ライフ・バランス」よりも一歩進んだ意味を持ち、より良い人生を過ごすために望ましいキーワードだと言われています。仕事の生産性も生活の質も共に高めるという、この考え方についてご紹介します。

●高い相乗効果がある

「インテグレーション(Integration)」は統合を意味し、ワーク・ライフ・インテグレーションは「仕事と生活の統合」と訳すことができます。ワークもライフも、人生の構成要素の一つとして対等に捉えて、柔軟に人生の中で統合させ、両方の充実を求めた働き方を指します。公私を調和させて、人間らしい充足感と幸福感に充ちた状態を目指した考え方と言えます。 「社会の中での働き方」と「個人の生き方」が高い次元で統合することによって相乗効果が生まれると、一人ひとりの生活の質の向上が実現されるだけでなく、社会全体の生産性や成長拡大にも結びついていくと考えられています。

ワーク・ライフ・インテグレーションのポイントは、ワークとライフを別のものとして分けて考えないということです。「ワークか、ライフか」という二者択一だったり、「ワークが先か、ライフが先か」といった優先順位はつけません。仕事とプライベート、社会生活と私生活、職場と家庭などとはっきり線引きをせずに、どちらにも両方の意味が含まれていると認識して行動します。
例えば、プライベートの時間だからといって、浮かんだ仕事のアイデアを無理に封じておくようなことは避けます。逆に、仕事中にはプライベートの話を絶対に持ち込まないということも避けます。二つを厳密に区別しない、排除しない、という行動が良い影響を与え合ってワークもライフも質が高められていくことになります。

「仕事のやりがいが生活の満足感につながっている」「趣味でのリフレッシュが仕事への集中力を高めている」といった状態が感じられることがあるのは、ワークとライフが別々のものではない証明です。この間には境界線を設けずに、ひと続きになっている人生の構成要素だという意識の持ち方はとても重要になります。

●ワーク・ライフ・バランスとの違い

ワーク・ライフ・バランスという言葉がよく知られていますが、ワーク・ライフ・インテグレーションとは意味合いが異なります。

ワーク・ライフ・バランスは、ワークとライフの二つのバランスを取って上手に両立させようという考え方です。時期(キャリアアップ)や状況(人生のイベント)に応じて、ある時は仕事を優先させたり、ある時は私生活を優先させたり、というふうにワークとライフにはトレードオフの関係があります。
例えば、一つの大きな仕事に集中した後はしばらく生活重視に戻したり、子育てや介護の間は仕事の時間配分を減らしたり、といった二つの間での増減によって調整をするという働き方です。
ワークとライフのどちらか一方に片寄り過ぎた状態が続かないように、バランスをその都度取るものの、一時的にどちらかの比重が大きくなるため片方に負担がかかることになります。この場合、同時にワークとライフの両方で充実感を得ることは、現実的にはかなり難しいと言えます。

一方、ワーク・ライフ・インテグレーションでは、どちらか片方に負担をかけたり制限する必要はありません。ワークとライフには一挙両得の関係があるため、双方で同時に充実感を得ることが可能です。働きがいと生きがいは常にリンクすることになります。

●ITインフラによる実現

『21世紀の新しい働き方「ワーク&ライフ インテグレーション」を目指して』という提言を経済同友会が2008年に発表し、今後目指すべき経営を実現させる働き方としてワーク・ライフ・インテグレーションの考えを示しました(※1)。10年あまりが経過した今、スマートフォンやノートブックパソコンが普及し、メール、チャット、オンライン会議などのコミュニケーション効率を高めるITインフラが充実したため、勤務場所や勤務時間にとらわれずに仕事に取り組める環境が整ってきました。

テレワーク、在宅勤務、サテライトオフィス、副業、リカレント(学び直し)、裁量労働制、フレックスタイム、残業削減目標、有給取得義務化など、近年導入されている制度の多くは、多様な働き方を後押ししワーク・ライフ・インテグレーションの実現性を高めるものです。従来の勤務場所、勤務時間という考え方から開放されて、自分らしく柔軟に働き、生活できる仕組みは充実してきました。

※1:経済同友会 21世紀の新しい働き方「ワーク&ライフ インテグレーション」を目指して https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2008/080509a.html

●人生100年時代

人生100年時代に入り、これからの時代に変化はつきもので、働き方や余暇の過ごし方も一定ではありません(※2)。
ワークとライフの統合は両方の視野を広げるため、長い人生の過程でそのステージごとに、自分にとっての働き方や余暇の過ごし方の最適解やヒントに気づきやすくなります。また、ワークかライフに限定しない日頃からのコミュニケーションは、アンテナを広げ、感度や感受性、多様性の理解を深めるため、変化していくさまざまな状況への適応力を向上させます。

「これまでとは違うやり方にする」「別のことを始めてみる」といった変化の行動を起こすには、少なからず負荷がかかります。ところが、ワークとライフの間に壁がなければ、「ワークはこう変えるからライフはこう変えることにする」と、それぞれについて考えたり比重を決める必要がなくなり、負荷は軽減されます。
さらに、「仕事の時間には仕事に集中しなければならない」「貴重なプライベートの時間を無駄なく過ごしたい」といった、こうあるべき、という固定観念から解放されて、ストレスが積み重なっていく心配もありません。欧州の大学の研究によると、仕事を途中までして残したまま帰宅した人よりも、勤務時間を気にせずに最後まで終えてから帰宅した人の方が、ストレスを感じない傾向があるという結果も出ています。

※2:VOL80今を勝ち抜く人間力 「人生100年時代」を考える
https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol80.html

●仕事上のメリット

働き方改革の中では労働時間削減は大きなテーマですが、人それぞれの持つ時間の長さには限りがあるため、労働時間の削減には限界があります。ところが、ワーク・ライフ・インテグレーションでは、ワークとライフの時間には境界がありませんから、ワークの時間の幅が増えると捉えることができます。いわゆる勤務時間外も、仕事に役立つ何かしらの情報、人脈、インスピレーションがインプットできる貴重な時間となり、ひいてはアウトプットとして、生産性、働き方改革に貢献すると考えられます。

ライフの時間から得た刺激は、ワークのアイデアやイノベーションのヒントにもなります。最近、従業員同士が交流しやすい空間や異業種間交流のできるスペースが注目されているのも、仕事を意識せずにリラックスできるライフ的な時間から生まれる創造性や生産性の向上を意図したものです。

ワークとライフが統合されると、意識をどちらか一方に限定させないため、思考がより自由になります。仕事の中から生活に役立つ情報、生活の中から仕事に役立つ知識、などに気づくケースも増えます。「これは他の何かにも活用できるのではないか」という閃きが得やすくなり、察知する力や応用する力もつきます。

●心がけたいポイント

ワーク・ライフ・インテグレーションを実践するためのポイントは、ワークとライフを別のものとして分けて考えないことですが、まずは、ライフをワークに統合する意識から持ってみるとよいでしょう。例えば、休暇や休日は次の仕事に向けての充電時間や体を休めるための時間だから仕事はしない、とは決めつけないようにします。仕事のヒントが思いつけば、メモをしたり調べたりするように心がけてみます。
最初から、すぐに行動に移さなくても大丈夫です。頭の中で「これは仕事にも通じる」と考えることから始めて、少しずつ行動も変えてみてください。基本となるのは、いつでもワークとライフを意識が行き来するようなイメージ、ワークとライフを時間に相乗りさせる感覚です。

休暇や勤務時間などに関する制度をできるだけ活用して、自分のこれまでの時間の使い方を積極的に変えてみることも大切です。それによって充実感のある姿が周囲に伝わると、制度を活用する人が増えて好循環を呼び、ワーク・ライフ・インテグレーションが広まっていきます。

ワーク・ライフ・インテグレーションという考え方をベースに、働き方や日々の過ごし方を見直してみませんか。仕事面も生活面も両方がより充実し、自分らしい理想的な生き方に近づけます。

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