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(情報掲載日:2019年8月19日)

いまを勝ち抜く人間力

2020年度からプログラミング教育が、小学校で必修化されることになりました。プログラミングはビジネスパーソンに求められるスキルの一つとしても経済産業省の報告書に記載されており、必修化の背景や教育テーマには社会人にとって参考になるような内容が含まれています。大手企業が参加している官民協働の組織も、プログラミング教育の推進活動を始めました。そんなプログラミングについてご紹介します。

●何を学習するのか

2017年に文部科学省が新しい「小学校学習指導要領」を発表しました。「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動」を各教科で行うとし、プログラミング教育が必修化されることになりました。様々な教科・学年・単元で取り入れ、各学校の創意工夫によりプログラミングのエッセンスを取り入れた教育が実施されます。コンピュータに関する教科が新しく設けられるわけではなく、理科や算数など既存の教科の中に自由に組み込まれる形です。

手引として例示されている一つが、正多角形をプログラムを使って描く、という算数のテーマです。正多角形を構成する辺や角の要素とそれらの関係などの性質を理解するという算数の学びに付随させて、プログラミング学習としては、正多角形の性質をふまえた時にどのような順序でどんな条件でペンを動かしていけば正しく描けるかを考えます。プログラミング言語を学んだり、プログラムを動かすための専門的な学習ではありません。

小学校におけるプログラミング学習は、イギリスでは2014年に、アメリカと中国では2015年に必須化されています(※1)。世界と比較すると、日本のプログラミング教育は遅れているため、スピーディーに進めた方がよいと考えられています。

●経済産業省や文部科学省の動き

プログラミング教育には、文部科学省、総務省、経済産業省の3省が連携し、従来から取り組みを進めてきました。学校、自治体、各種企業と共に、官民協働の組織「未来の学びコンソーシアム」を設立し、教育の充実・普及のための教育現場や保護者のサポート、推進を行っています。
「未来の学びコンソーシアム」のサイトには、算数、理科、図工、社会の授業にプログラミングを取り入れた指導案や授業事例など、既に先行的に授業に取り入れている小学校の情報のほか、高校の授業、プログラミングを取り入れた農家や食堂も紹介されています(※2)。

同組織は2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間」と定め、プログラミング教育の実施に向けた準備をより推進します。 「地域の魅力発信アプリを開発して、商店街を盛り上げよう」「AIとプログラミングで、身近な課題を解決しよう」「自動化の進展とそれに伴う自分たちの生活の変化を考えよう」など、いくつかのユニークなテーマが掲げられ、企業訪問や教材提供、外部講師による特別授業が全国各地で実施される予定です。これらの活動には、17の大手メーカーやIT企業などが協力しており、経済界からのプログラミング教育への関心の高さがうかがえます。

※1:経産省「EdTechや民間教育サービス産業創出に向けた基礎調査」
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000204.pdf

※2:未来の学びコンソーシアム「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」
https://miraino-manabi.jp

●第4次産業革命

小学校でプログラミング教育が必修化されるようになった背景には、世界的に見られる大きな時代の変化があります。
2016年の世界経済フォーラムでは主要テーマとして第4次産業革命が取り上げられましたが、現在はまさにそのさなかにいると言えます。IoTやAI、ビッグデータなどのテクノロジーによって、技術が劇的に進化し産業の形が変わりつつあり、今後もあらゆる分野においてITの活用は欠かせません。先進のITによって新たな価値が創出され、多種多様なニーズや潜在的なニーズにきめ細かく対応するモノやサービスが提供され、それらが身の回りにあふれている豊かな超スマート社会、いわゆる、Society 5.0が訪れると考えられています。

そのような社会を支えていく子どもたちが未来に向かい生きていくためは、単にモノやサービスを利用するだけではなく、家電がなぜ自動で動くのか、なぜ車は自動運転できるのか、ロボットがなぜ人に反応するのか、といった仕組みを知っておくことが大事になります。次の豊かさを考えたり、新たな目的を実現したりするための、知識や知恵のベースとなるためです。受動的ではなく能動的に、ITに関わっていく姿勢が求められると言えます。Society 5.0を生き抜いていけるような思考力・判断力・表現力を育成するために、プログラミング教育は重要になります。

●時代に即した人材育成

経済産業省のレポートに「技術革新とビジネスモデル変革の相互影響、デジタル化、応用分野への波及が鍵を握る」と記述されているように、今後あらゆる業種でITが活用されていくと考えられます(※4)。IoTアナリティクス、自動化・ロボティクス、サイバーセキュリティ分野におけるスキルが業種横断的に求められているものの、人材需給が一致していないため人材育成が急務になるという指摘もあります。
実際に、IT人材の具体的な人数の不足については、2025年には約36万人、2030 年には約45万人が足りなくなるという試算がまとめられています(※3)。この現象は日本に限ったものではなく、アメリカでも今後のIT人材の不足は懸念されています。

また、IT系の職業・業界には関係なくとも、これからのビジネスパーソンには、コンピュータに関するある程度の素養は必要になると考えられています。直接的にプログラミングをする仕事ではない場合でも、プログラミングを使えば実現可能になるモノ・サービスがあるためです。例えば、新たなビジネスモデルや商品サービスがひらめいた時に、そのアイデアをプログラミングのできる協力者に伝えます。プログラミングを使えば効率的にアイデアを形作ったり検証できるため、IT系の職業・業界でなくとも仕事に活かせる上、スピード感や実現性も高まります。

一方、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏は13歳でプログラムを書き、グーグルを創業したラリー・ペイジ氏は6歳の頃からコンピュータを操作し、アップルを創業したスティーブ・ジョブズ氏は13歳の時にヒューレット・パッカードでアルバイトをしました。小学生からのプログラミング教育必修化は、世の中に大きなインパクトを与える起業家やイノベーションを生み出す可能性を広げるとも考えられます。

※3:経済産業省「産業界が求める能力・スキル」
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/jinzairyoku/jinzaizou_wg/pdf/003_05_00.pdf

※4:経済産業省「IT 人材需給に関する調査」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

●プログラミングとは何か

プログラミングとは、プログラムを作る作業のことです。プログラムとは、コンピュータにさせる一連の処理をまとめたもので、どういう順序で、どう動けばいいのかと、処理内容に対して一つ一つ指示を出します。
例えば、ロボットに「歩く」という動きをさせるためには、「歩け」という指示ではなく、「右膝を上げる」「右膝から下を前に出す」「右足を踵から地面に着ける」「右足に体重を移動させる」といった細かな指示が必要です。さらに、障害物がある場合には、歩く動作を止めると同時に、体の方向を変えたり、迂回したり、といった別の動きが取れるような指示も欠かせません。つまり、人間の意図した処理をコンピュータに行わせるためには、順序よくきめ細かな動作をあらかじめ何パターンか想定しておく作業が求められます。
また、コンピュータは人間の言語を理解することはできないため、コンピュータが理解できる言葉(=プログラミング言語)で指示を伝達することになります。プログラミング言語は、求める動きやシステムの種類などによって適したものが異なり、HTML、PHP、JavaScript、C#、Rubyなど様々なものが存在しています。

身近なところでは、プログラミングによって、エアコンが人を感知してピンポイントに冷やしたり、炊飯器が好みの加減に米の量に応じて炊き上げることができています。スマートフォンやパソコンのアプリケーション、ゲーム機器や各種SNSもプログラミングなしには作れません。仕事が効率化されるようなアンケートの自動集計やメールの自動送信も同様です。プログラミングを使えば、これらをさらに使いやすく効率よく動作するように、 進化させることができます。

●プログラミング的思考力とは何か

文部科学省は、プログラミング教育を通して育成する思考力を、プログラミング的思考と呼んでいます。プログラミング的思考とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と同省は説明しています。つまり、コンピュータの規則性に基づいて論理を組み立てたり、課題を解決していく力を意味します。

この思考は、目的やゴールから逆算しながら、いくつもの物事を想定して順序立てて、仮説を導いてまとめる、といった問題解決や計画立案の際の流れと同じです。プログラミング的思考力は、コンピュータとは関係のないような場面でも活かすことができるものなのです。また、プログラミングの言語は時代と共に変化していきますが、プログラミング的思考力は、時代に関係なく普遍的に使えると言えます。

ITが大きく進歩し、事業環境や仕事内容の変化が小さくない現代、新しい需要や現象は次々と現れてきます。そんな変化を上手に受け止めて、次の目的に向かう手法を考えたり問題を解決していくために、プログラミングの考え方は役立ちます。

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