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(情報掲載日:2019年4月10日)

いまを勝ち抜く人間力

何かを始めようとする時、誰かと一緒に物事を進めようとする時に、“センスメイキング”は、行動や推進の源として力を発揮します。多様性や変動性の高い社会において、ビジネス上でも注目されているキーワードでもあります。物事を好転させる力も持つセンスメイキングについて紹介します。

●センスメイキングとは何か

センスメイキングとは、周囲の人が目的に向かって行動できるようにするために、身の回りの状況や動きを感じ取って「現状は何か」「そのために何をするといいか」を意味付けしたストーリー(構想、提案、未来図など)を示す一連のプロセスと行為を意味します。組織心理学者のカール・E・ワイクを中心に、20年ほど前から発展してきた理論です。

例えば、ある情報が事実かどうか判断の難しい場合や、どう捉えて理解すればいいのか曖昧な場合は、情報に対してどんな行動を取るべきか迷います。そんな情報に解釈や補足を加えて意味付けをして、周囲の人が「なるほど」と感じて行動に移せるようなストーリーを示すことがセンスメイキングです。
この理論のポイントは、身の回りの状況や動きといった情報を、単純に「受動的」に見聞きして「客観的」に受け止めるのではなく、「能動的」に集めて「主観的」に捉えて周囲の人に働きかける、というところにあります。

本来、人間には多様性があり、唯一絶対の価値判断基準で行動するわけではありません。また、環境や社会的な変化の激しい不確実性の高い時代はしばらく続くと考えられています。そのため、「正確性」よりも「納得性」を重視するセンスメイキングは、これからの時代により適合しているといえます。

●センスメイキングの重要な働き

センスメイキングの理論によると、意味付けされたストーリーに納得した組織やチームは、一つの方向へ一体感を持って動き出すことができます。すると“状況が好転する”“想定以上の成果が得られる”など、組織やチームにとって望ましい結果を手に入れやすくなります。
こうしたセンスメイキングの働きを表した例としてよく取り上げられているのが、次のハンガリー軍の実話です。

ある部隊がアルプスの雪山で猛吹雪に遭い遭難します。視界は遮られ、一面の銀世界によって景色も変わり進むべき道がわかりません。さまよい続けて体力を消耗し、にっちもさっちもいかなくなり絶体絶命の状況に陥ります。
そんな時に偶然、隊員の1人がポケットの中から地図を見つけます。隊長は、その地図を頼りにすれば悪条件下でも下山できると、その場で救助を待ったり体力を温存せずに歩き出すことを提案しました。全員が同意し雪山の中を行軍し、ついには無事に生還を果たしました。
安堵し、地図を改めて眺めてみた一同は驚きます。それはアルプスではなく、ピレネーの地図だったのです。

この話は、情報を元に意味付けされたストーリー(この地図に従えば下山できるという提案)に周囲の人が納得すれば、全員の意思が統一されて行動が起こり、ゴールにたどり着ける(アルプスを下山できる)ことを表しています。たとえ確かな情報ではなくとも(ピレネーの地図であっても)、実現に向かう大きな力が生じるという一つの証です。

●早く目的に到達したい時

センスメイキングは周囲の人に働きかける力を持つため、仕事にも活かすことができます。

不確実性の高い昨今は、情報収集や分析に時間を割いているうちに状況が変化してしまうため、スピード感が求められます。ところが、企業が進める新技術や新サービスがもたらすメリットやデメリット、変化の予測は困難です。新技術や新サービスの開発者一人一人にとっても、開発によって未来に得られるであろう意義は明確には感じ難く、スピーディーな行動に結び付きにくいといえます。

そこで、プロジェクトや組織の目標を、「この技術が完成すれば、これができるようになり、その結果こんな豊かな未来が実現する」といった意味付けされたストーリーにして語れば、ゴールのイメージを描くことができます。何を目指して取り組めばいいのか、どんな意義があるのかを把握しやすいため、素早く動き出せます。

また、意味付けされたストーリーは、「こうするといい」「結果が期待できる」という肯定感や安心感を与えるため、ポジティブな感情が強まります。個々のプラス思考や信じる力は相互に作用して、目的に向かう“大きな推進力”にもつながります。

●周囲の人を上手に巻き込みたい時

プロジェクトのような大きな仕事に限らず、プレゼンテーションや日常的な会議の場面でもセンスメイキングは活用できます。データや数字を用いると説明や主張の論理的な裏付けになりますが、さらに、人の心を大きく揺さぶったり感動させることができると、説明や主張に強さが増します。

そこで、論理的な説明や主張に加えて、「この計画を進めれば、ここがこう変化していくため、その結果こんな改善ができる」といった意味付けされたストーリーを語れば、メンバーの想像力を刺激し、心に強く響かせることができます。賛同や共感を得やすくなり、好ましい行動を促したり支持や協力に結びつきます。

特に、課題が多い時、問題が難しい時などハードルの高い局面では、壁に立ち向かい乗り越える力を奮い起こす効果を発揮します。ブレイクスルーのきっかけにもなると考えられます。

●情報を編集する力

センスメイキングの基本は、情報の意味付けです。そのためには、情報を積極的に収集して、その中から情報を多面的に捉えてストーリーを組み立てる作業が必要になります。
この作業によって、情報の側面や背景にある事象・情報が持つ隠れた意味などを感じ取る力、複数の情報の間にある関連性・共通項などを元につながりを見つけ出す力を鍛えることができます。

ストーリーの組み立てには、新たな発見、意外性、大胆さなどを織り込む工夫を加えるとより効果的です。「風が吹けば桶屋が儲かる」といった突飛で思いがけないような話には、「何だろう?」と不思議に思った後に「そういうことか!」と納得するような、プラスの反動やギャップが大きくなるためです。
この工夫によって、発想力やアピール力を高めることができます。起承転結をつけたり、話の流れを構成する力も伸ばせます。

●モチベーションを高める力

意味付けをして示すストーリーには、周囲の人が同じ方向に動き出せるように、共通の認識やイメージを持てる明解さが重要です。そのためには、解釈や補足を加えるていねいさが必要になります。
ていねいさを心がけると、わかりやすく伝わりやすい言葉を語る力が向上します。また、専門用語や難解な単語を噛み砕いて説明する力も養われます。

多様性を考えると、個々に対する時には臨機応変に、例えを使ったり話す順序を変えたりした方が理解も進みます。すると、当事者意識も高まり「自分がやるべきことは何か」「自分にできることは何か」「自分が考えることは何か」を自発的に考え、先取りする自律的な行動も生まれます。
臨機応変を心がけると、個々の立場、自身との関係性、性格、能力などを考慮して言葉を柔軟に変換できる語彙力が豊かになります。

センスメイキングは、周囲の人の行動を促し、望ましい結果を手繰り寄せる力を持っています。情報に対する感受性や相手への伝達力が磨かれるため、自分の能力の可能性も広がります。センスメイキングを仕事に取り入れてみませんか。

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