配信申込

(情報掲載日:2018年11月9日)


一つの仕事に専念するのではなく、大小に関わらず複数の仕事に日常的に取り組んでいる人は少なくありません。「マルチタスク」という言葉が広く使われるようになり、複数の仕事を同時に進めるスキルが注目されています。上手にマルチタスクを行うポイントをご紹介します。

●マルチタスクの意味

マルチタスクとは、複数の仕事を同時進行で処理することを意味します。パソコンの性能向上とソフトの充実により、複数の画面を開きながらの同時処理が可能となって生まれたコンピューター用語に由来します。
これに対してシングルタスクは、複数の仕事を一つずつ順番に処理していくことを意味します。例えば、マルチタスクでは、仕事Aと仕事Bを平行して行いますが、シングルタスクでは、仕事Aを完了してから、仕事Bにとりかかることになります。

市場や社会の環境変化が激しい昨今、昔ながらの職人のように一つの仕事に打ち込むタイプの仕事よりも、社内社外にある縦横のつながりの中で複数のプロジェクトやチームの一員として関わるタイプの仕事が増えてきました。マルチタスクは、そういった環境変化に対応しやすく、適応力や柔軟性の醸成に役立つ働き方といえます。

●脳の処理能力に合った方法

そもそも人間の脳とは、一度に一つの作業しか処理できないと言われています。電話で話しながらメールを打つ、会議に参加しながら企画書を作るなど、同時作業の数が増えると脳の処理能力が低下するという研究結果が、欧米の大学からも報告されています。一度に2つ以上の作業を行う際には、脳内で瞬時に各作業へのスイッチ切り替えを継続することになり、脳への負担とストレスが大きくなるためです。人間はパソコンとは違い、「ながら仕事」ではマルチタスクはうまくいかないことになります。

マルチタスクを上手に行うには、「ながら仕事」のような「瞬間的」な同時進行ではなく、ある期間で見た時に「結果的」な同時進行となるように取り組みます。例えば、ある日の9時には一つの仕事にしか取り組んでいなくとも、翌日には三つの仕事が全て完了している、という進め方を目指します。
そのためには、複数の仕事をそれぞれいくつかの部分的な作業に分けて、一つの作業が完了してから、横断的に次の作業に取りかかる形で進めます。この繰り返しによって、複数の仕事を並行して行います。効率を高めるためには、部分的な作業への分け方、作業の順序付けが重要になります。

●タスクに分解する

マルチタスクを取り入れるには、まずは仕事をタスクに分解します。タスクとは、一つの仕事を部分的な作業に切り分けた一つひとつを指し、タスクの集まりが一つの仕事になります。例えば「仕事A」と「仕事B」に取り組む場合、「仕事A」を「仕事A1」「仕事A2」「仕事A3」…、「仕事B」を「仕事B1」「仕事B2」「仕事B3」…と仕事の流れに沿ってタスクに分解します。

分解の際には、完了しやすい単位になるように、できるだけ小さなタスクに分けることを心がけます。これは、「ここまでやらなくてはいけない」「これもしなくてはならない」「もっと考えなくてはいけない」という後ろ向きの感情が生じるのを避けるためです。この感情は、目の前のタスクに意識を集中しにくくさせる傾向があると心理学的に言われています。各タスクのゴールまでの道のりが短いほど先が見通せて、やる気が起こりポジティブな感情が湧きやすくなります。
小さく分解しにくい仕事の場合は、「この作業の5割ぐらいまで終える」「アイデアを3案出す」「30分間でできる範囲まで行う」と数字を使って区切りタスクに分けます。タスクは1つにつき、30〜90分程度で終えられる内容に設定するのが目安です。

小さなタスクであっても次々とこなしていく行為からは、仕事への達成感や満足感が得やすくなります。また、大きな仕事を任された時でも、小さなタスクに分解してみると、ハードルが低く感じられるため、チャレンジしやすくなります。

●タスクをランク付ける

分解したタスクは次に、基本的な2つの指標によってランク付けをします。締め切りはいつか、急ぐ必要はあるか、といった「仕事の緊急度」と、量は多いか、難易度が高いか、といった「タスクの所要時間」が基本の指標です。2つの指標のレベルを星や数字を使って数ランクずつ設定します。
最初は2つの指標によるシンプルなランク付けで十分ですが、慣れてきたら、経験値の多少、得意不得意、やりがい実感度など、タスクの取り組みやすさや進めやすさを考えてオリジナルな指標を設定して、ランクに反映させます。

仕事のタスクへの分解・タスクのランク付け(例)

さらに、「熟考が必要」「手順が複雑」という質、「自分のタスク完了を待つ人が多い」「上司の承認が必須」という段階、「誰かに部分的に任せられる」「誰かと一緒に進められる」というシェアなどの視点から、留意事項をタスクに印付けやメモで追記しておくと効果的です。

分解とランク付けによって、それぞれの仕事の内容が客観視できると同時に、仕事に対する自分の意識の持ち方やスキルの現状を改めて知ることができます。

●スケジューリングと見える化

ランク付けを元にタスク単位でスケジュールを組みます。基本は、「仕事の緊急度」の高いものを優先させつつ「タスクの所要時間の合計」が多いものを組み込むという順序付けです。

上の表の場合は(B)は緊急度が高く(A)は所要時間の合計が多く(C)は緊急度が低く所要時間の合計が少ないため、例えば、(B1)(B2)(B3)(A1)(A2)(B4)(B5)(A3)(C1)(A4)(A5)(C2)(A6)(A7)(C3)と順序付けられます(上の表の※欄)。(B)のタスクを半分以上進めたところで(A)のタスクにもある程度着手し、(C)のタスクは合間に適宜組み込む形のスケジュールです。

基本を押さえておけば、細かな順序付けは自由です。ただし、勤務時間に対してタスクをぎっしりと詰め込まず、スケジュールに余裕を持たせるように気を付けます。突発的な仕事やタスクの予定所要時間オーバーに備えるためです。
突発的な仕事が生じると「すぐに着手しなければ」と考えがちですが、着手する前にタスクへの分解とランク付けを習慣化します。他のタスクと比べてスケジュールに組み入れれば、突発的であっても他の仕事への影響が最小限に抑えられます。
時間が余った場合には、翌日以降に行うタスクを先に行っても良いですが、日常的なルーティンワークといった、緊急性がなく所要時間の短いミニタスクを常に用意しておき余った時間に行うと、空いた時間が活かせます。

タスクの進捗をチェックするためには、スケジュールを書き出して見える化することが重要です。文字の色を使い分けたりマーカーを活用したり「未着手」「実行中」「完了」など各タスクの状態を記入すれば、複数の仕事の進捗状況が把握しやすくなります。
各タスクの予定所要時間と実際の所要時間を記入し残しておくことも効果的です。タスクに対する時間感覚がつかめるようになり今後のランク付けに役立つうえ、所要時間の短縮や一日のタスク量の増加などからは、自分のスキルの向上が実感できます。

書き出したスケジュールを周囲と共有すれば、お互いのサポートにもつながります。「この時間帯は集中したいタスクだろうから極力声をかけずにいよう」「同じタイプの仕事に取り組んでいるから参考になる資料を渡そう」と考えたり行動したりできるため、マルチタスクがよりスムーズに進められます。

●気持ちや環境の流れとバランス

スケジュールを組む際には、ランク付けだけにこだわらず、自分自身のエンジンの入れやすさやモチベーションの高めやすさを考慮することも大事です。
例えば、気分転換したほうがはかどるため、所要時間の長いタスクの後にはミニタスクをはさむ、達成感が強まるため、所要時間が短いタスクから始めるなど、臨機応変にスケジュールの流れを調整します。
職場環境に合わせたバランスを考えて、電話の少ない午前中にじっくり考えるタスクを入れる、急な会議の多い時間帯に手慣れたタスクを入れる、といった工夫も加えてみてはいかがでしょう。
また、毎日30分だけでもオフラインタイムを設けてみることも有効です。できればスマートフォンやパソコンを無音に設定して、思考力や創造力が特に必要とされるタスクに充てます。

慣れてくると、取り組みやすい自分なりのタスクの流れやバランスがわかるようになります。打ち合わせの後にはじっくり考えるタスクが取り組みやすい、異なる仕事のタスクに交互に取り組むほうが気分が盛り上がるなど、より快適に仕事に向き合える自分だけの法則が見つかれば、タスクの順序付けもより容易になり、マルチタスクも上達します。

マルチタスクをうまく取り入れると、複数の仕事が上手にこなせるようになり効率も一気に高まります。タスク単位に絞って次々と取り組んでいくため、集中力が高まり、頭の切り替えもスピーディーになります。変動の大きなこれからの時代に適応できるマルチタスクを実践してみませんか。

配信申込

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ